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1、2歳児のおもちゃの取り合いは成長の機会。親がすべき3つの対応

わが子が他の子のおもちゃを取ろうとして泣かせたり喧嘩になったり。どう対応していいか悩む親御さんも多いようです。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんは、1~2歳児であれば当然起こることで、社会性を育む大切な経験なのですぐに介入してはいけないとアドバイス。相手の気持ちがわかり、自分の気持ちを伝えられる子に育てる声の掛け方など、対応方法を具体的に教えてくれます。

おもちゃの取り合い、あぁどうする?

Question

息子が他所の子どものおもちゃを見つけると、自分のおもちゃを放っておいてすぐにその子のおもちゃを取ってしまいます。当然、喧嘩になってしまうわけですが、毎回どうしたらいいのかと悩みます。(2歳男児のお母様より)

柳川さんからの回答

1~2歳児の子どもたちの間では、おもちゃの取り合いはよく起きます。自分のものと他人の物の区別がまだつかないので、気になるものは全て自分の物だと思っているからです。親としての対応をお伝えします。

1.出来るだけ見守る

モノの取り合いが始まると、親が、相手の親に悪く思い、すぐに介入している姿を見かけます。けれども、2歳の子どもにとっては、なぜ親が介入するのかもどうしてそのおもちゃを取り上げられてしまったのかもわからないままになります。

お互いの保護者同士で、子どもたちの様子をしばらく何もせずに見守りましょう。子どもたちは、自分の思い通りにならないことを身をもって学び、心の成長に繋がります。

2歳では、まだ「心の理論」(外から見えない相手の心の働きを想像すること)が未熟なため、相手の気持ちは全くわかりません。「自分の物は自分のもの、相手の物も自分のもの」状態です。

しかし、この時期の子どもの成長には目を見張るものがあります。昨日できなかったことが今日できるようになることもあるのです。ですから、まずは子どもの欲求を抑圧せずにそのまま表現させ、しばらく見守ることをお勧めします。もちろん、取り合いがエスカレートした時には、仲裁に入りましょう。

2.子どもの気持ちに共感する

子どもが言葉を上手に話せない時期は、親が子どもの気持ちに共感したり、確認したりしてその気持ちを声に出してあげましょう。例えば、「そのおもちゃ、お友達に渡したくないの?」「〇〇ちゃんごめんね、まだ使いたいから貸してあげられないの」。

同様に「そのおもちゃ、楽しそうね、使ってみたい?」「お友だちに使っていいか聞いてみようか?」。おもちゃを取られて泣いているときは、「取られて悲しくなっちゃった?嫌だって言おうよ」と、自分の気持ちを相手に伝えることを教えましょう。

そして、「貸して」「いいよ」「ありがとう」「ごめんね」という言葉をそのつど使い、子どもに、どういう時に「貸して」と言うのか、そう言われたらどう答えるのか、貸してもらった後は何と言うのか、泣かせてしまったら何と言うのか、などを経験させつつ学ばせましょう

3.気をそらす

子どもは、新しいものが大好きです。取り合いに収拾がつかないときは、他のおもちゃを提案したり、他の遊びをしたりして興味をそらせることも一つの手です。

うまくいかない場合も多々ありますが、楽しそうに遊んでいる姿を見せると大抵の子どもは興味を持ちます。親がひと工夫することで、取り合いが収まる場合もあります。

3~4歳になると、お互いの気持ちを考えることができるようになってきます。「心の理論」が出来上がるからです。それまでは親として「子どもの心の成長」をさせるためにも、思う存分子どもに取り合いをさせ、経験を積ませましょう

家庭教育アドバイス…「心の成長力アップ」

取り合いを通して、子どもは自分の物と人の物の区別がつきます。同時に、自分の気持ち、相手の気持ちに気づくようになります。それがだいたい3~4歳の頃で、「心の理論」が完成する時期です。

その時期を迎えると、これまで親が言っていた「貸して」「いいよ」「ありがとう」「ごめんね」が「親から言わされる」のではなく、自分の口から自然に出るようになります。相手の気持ちがわかるからです。

おもちゃの取り合いは、人とのコミュニケーションを構築するための第一歩です。社会性を学べる絶好の機会とも言えます。「転ばぬ先の杖」とばかりに親が先回り介入して、取り合いの経験を持てない場合は、社会性は育ちません。みすみす子どもの成長の場を奪ってしまうことになります。

お友達とうまく遊んでほしいと思うのなら、思う存分、取り合いや喧嘩を経験させることです。喧嘩がエスカレートするようであれば、親が介入し、相手に怪我をさせるような危険な行動はダメ、ということをその場でしっかり教えることが大切です。

子どもをしっかり観察し、気持ちに寄り添いつつ体験させることが「心の成長」には一番の栄養です。親は「待つこと」「先回りしないこと」「共感すること」が仕事です!!

image by: Shutterstock.com

家庭教育アドバイザー 柳川由紀この著者の記事一覧

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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