新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受けた業種に、接待を伴う夜の飲食業があります。休業要請が解除されたとしても、しばらく続きそうな苦しい状況を想定し、乗り越えていく術を『銀座ママ日高利美のメールマガジン「銀座の教え」』著者で銀座ルナピエーナのオーナーママが伝えます。利美ママは、「最悪のこと」を想像し、経営者として閉店という「最悪」を避けるために、期間限定でZoomによるオンラインクラブを開店することを目指しています。
新型コロナウイルスの影響を機に今後加速する5つのこと
この新型コロナウイルスを機に、人々の価値観が大きく変わりました。特に、通勤のために会社に通いやすい場所に住んでいた人たち、会社に満員電車に乗って出勤していた人たち、テレワークやリモートワークに移行できる職種の方たちは、通勤しなくても仕事ができるようになったり、会社に通う日数が減れば、職場への通勤を考えて都心に住む必要がなくなるはずです。
それは学生さんも同じかもしれません。今回の意識の変化は今後も変わることがなく浸透していくのではないかと思っています。そのため人と会う機会が今後は確実に減ります。会議や出張などで移動することも今までより減ることでしょう。そして、いま既に起きていて今後加速することが5つあります。
1.オシャレをしなくなる
ネイルサロンや美容室、エステなど美容に関係するところも、お店がクローズ。自宅にいることが増え、ジャージなどの部屋着で過ごしていると女性は化粧をしなくなる。人は誰かと会ったり人から見られている意識がないとオシャレをしなくなります。
2.高価なものが売れなくなる
いまメルカリなどで高級バックなどがよく出品されているようです。現金を手元に置いておきたいとの心理からだと思います。今後、ブランド品や不動産、車などの高額のものの売れ行きが悪くなるはずです。
3.大人数で集まらなくなる
コンサートやスポーツ観戦、イベントやフォーラムなど人が多く集まるものだけでなく、50人、30人、10人などの会議や研修、ミーティングなどの集まりも控えるようになっていくのではなかいと思います。
4.不景気になる
これから日本だけでなく世界中の景気が悪くなっていきます。店舗を閉めたり、会社が倒産したり、大手企業が倒産したり、合併したり、失業者が増え、残念ながら自殺する方も増えると思います。
5.治安が悪くなる
夜の銀座だけでなく昼間の銀座からも人がいなくなりました。人が街からいなくなった場所には泥棒が入ったりもしています。不景気になるとどんどん治安が悪くなっていきます。
「最悪」を想像しておく
さまざまな業界が新型コロナウイルスの影響を受けています。心が暗くなってしまうことがあるかもしれません。そんな中、私が大切だと思うことがあります。それは…1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、半年後、1年後、2年後、3年後…自分がいま想像できる未来を見据えて、今日のTODOリストや目標を立てること。きっと、TODOリストや目標を立てて行動していけば、気持ちも明るくなるし、物事も良い方向に向かっていくと思います。
そして、そうしつつも逆のことも想像しておくこと。私たちのような銀座の夜のお店や飲食店だけでなく、今回の新型コロナウイルスの件で売上が下がった、もしくは、0になったというところは、最悪なことを想像して対策をしておくのがいいと思います。
私が想像できる最悪なこと…それは、夜の銀座の文化がなくなること。経営者として最悪なことは銀座ルナピエーナをクローズすること。地震、津波、富士山噴火などの災害が起こること。想像できる最悪のことを想像して起こらなかった時には、よかったと思えるのではないでしょうか?
大抵の場合、自分が想像できる最悪のことは起こらないことが多いかもしれません。ですが、自分が想像できる最悪のことが起こった時のために、対策を講じておけば不安を少しでも解消することができます。だからこそ、さまざまな災害で想像できる備蓄をしておくことが大切だと思います。
また、オンラインでできることはできるだけ移行しておくといいのではないかと思います。苦手意識のある人もこのタイミングで時代に順応しておくことが大切です。私自身も苦手だと思っていたことや人にお願いしてやっていたことを自分でもできるように学び始めています。いままでは会って打ち合わせしたり、電話で話したりしていましたが、ZoomやMeetになれるため積極的に活用しています。
オンラインで銀座のクラブ飲み
そして、今後、お店を開けるにしても、お客様の安全や安心、スタッフの安全や安心のために私にできることは何かと考えています。自粛前からやっていたように店内の除菌を徹底。オートソープディスペンサーを購入したので、手で触れなくてもハンドソープが出てきます。
非接触型体温計も購入したので、スタッフの体温管理。ラグジュアリーホテルでも入り口で体温を測ることを徹底していることを考えると、お客様の体温も測らせて頂く必要があるかもしれません。また、次亜塩素酸水対応の超音波加湿器の購入を検討していますが、どれがいいのかわからず、まだ購入までには至っていませんが、お店の再開までには購入予定です。
私たちの職業柄、マスクや防飛沫メガネはできないと思っていましたが、お店を開けるなら、それも検討してみなければいけないのではないかと思っています。
いますぐに私たちがオンラインで出来ることを考えた時、すぐに置い浮かんだのは「オンライン飲み会」という言葉。そして、Zoomなどでキャバクラがやっている「オンラインキャバクラ」がすぐに思いつきました。
銀座の品格を考えると色々と思うところはありましたが、新型コロナウイルスの影響から人と会うこと自体がリスクと考えると、Zoomでの営業がお客様やスタッフにとって一番安全なのではないと考えました。
そこで、銀座ルナピエーナのお客様限定、新型コロナウイルス自粛期間限定で、オンライン銀座ルナピエーナをZoomでする予定です。Zoomで自宅で話せるスタッフ限定ではありますが、話したい女の子にバーチャル花束をプレゼントしていただいたお客様で、ご希望のお客様とZoomでの会話をさせていただけたらと思っています。また、キープボトルの販売や貸切チケットの販売を検討しています。近々公開の予定です。
Zoomでの営業には様々な問題点や課題があります。お客様が既婚者が多く、自宅でテレワーク、リモートワークをしている方が多くいらっしゃいます。また、元々銀座ルナピエーナの営業時間は19時30分から25時までですが、Zoomでお話する時間帯が夜である必要はないかもしれません。
銀座ルナピエーナをオープンした時、満月のように優しいひかりでお客様を包み込み、安らぎの場所になれたらとの思いから、イタリア語で満月という意味のルナピエーナと店名を決めました。そして、2011年の東日本大震災の時に銀座ルナピエーナの経営理念『私たちから日本を元気にする私たちから笑顔の連鎖を起こす』が生まれました。
最近、コロナ疲れやコロナ鬱、コロナ離婚など、いろんな言葉ができましたが、お客様やスタッフが笑顔になれて心が元気になれる…そんな時間になればと思っています。
新型コロナウイルスの1日も早い収束を願いつつ、日々、前に前にと進んでいこうと思います。皆さまもお体にはお気をつけてお過ごしくださいね。
image by: shutterstock.com