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笑えぬ現実。米が朝日新聞を「中国の宣伝機関」として認定する日

アメリカ政府が中国メディアを相次いで「外国の宣伝機関」に認定し、合計9社が米国内で様々な制約を受ける状態となっています。この決定に中国当局は「政治弾圧だ」として強く反発していますが、そもそも中国メディア自体が中国共産党のプロパガンダ機関であることは明白とするのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』にその証拠を記すとともに、朝日新聞が米国から「中国の宣伝機関」に認定される可能性についても言及しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年6月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【米中】朝日新聞が「中国の宣伝機関」としてアメリカに認定される可能性

米政府、中国メディア4社を「外国の宣伝機関」に追加で認定

アメリカの国務省は、中国の中央テレビ局(CCTV)、人民日報、中国新聞社(CNS)、環球時報の4社を、「外国の宣伝機関」に認定しました。2月に新華社、中国国際テレビ(CGTN)と中国国際放送(CRI)、英字紙チャイナ・デーリー、米国海天発展の5社を「外国の宣伝機関」に認定したことへの追加措置であり、これで同認定を受けた中国メディアは9社になりました。

これらのメディアは原則的に中国の外交官と同じ扱いを受け、アメリカ政府に従業員のリスト提出が義務づけられ、またビザ(査証)や財産取得も制約を受けることになります。保有資産の届け出や新規物件取得前の事前認可なども義務付けられるそうです。

これに対して中国外務省は、「中国メディアへの政治的弾圧だ。誤ったやり方をやめるよう促す」と強く反発し、対抗措置も辞さない考えを示しました。

4社を「宣伝機関」 米政府認定で中国反発

しかし、中国のメディアが中国共産党の宣伝機関であることは、子どもでも知っている周知の事実です。中華人民共和国の建国以降、中国のメディアは、中国共産党の「喉と舌」とされてきました。つまり、プロパガンダということです。

それを統括しているのが、中央宣伝部です。報道の統制を行い、国内世論をコントロール、さらには中国共産党に都合の悪い情報は隠し、都合のいいニュースだけを海外にも発信しています(対外工作機関には統一戦線工作部もある)。

そもそも、習近平は2017年の第19回党大会において、「党政軍民学、東西南北中、党是領導一切的」という、文革時代に毛沢東が使った言葉を引用して、すべてを中国共産党が指導することを強調しています。自ら、メディア統制を行っていることを公言しているわけです。

毛沢東時代から、中国では「公正、公平な報道」は、ブルジョワ階級によるプロレタリアへの攻撃であり、敵視されてきました。そのことを理解していない日本の知識人などは、中国メディアの実態を見誤ってしまうわけです。

たとえば、かつて劉少奇は外国記者が客観的で公正な報道を求めるのに対して、中国では自らの立場を強調する主観主義の報道が蔓延していると発言しましたが、これに対して毛沢東思想教育を主導した文革派は、「(劉少奇の)こういった考えこそが外国のブルジョワ階級の記者に対する全面降伏であり、プロレタリア階級の報道機関に資本主義の考えを全面的に持ち込もうとするものだ」として切り捨て、劉少奇を「外国の奴隷」だと断罪しました。そのことは、樋泉克夫氏の以下の寄稿に詳しく書かれています。

昔も今も変わらない!中国共産党のメディア戦略

毛沢東は中国を統治するためには「搶杆子(鉄砲)」と「筆杆子(ペン)」という2つの「両杆子」が必要だと主張し、それを実践してきました。軍事力とメディアによって人民を押さえつけてきたというわけです。

そして「筆杆子(ペン)」については、外国のメディアにも強要してきました。よく知られているのが、「日中記者交換協定」です。1968年、中国側と、田川誠一ら日本の親中派政治家によって、それまでの日中記者交換協定が破棄され、新たな日中記者交換協定が結ばれましたが、そこでは、「中国を敵視しない」「2つの中国をつくる陰謀に加担しない」「日中国交正常化を妨げない」という「政治三原則」の厳守が求められました。

つまり、これらの3つの項目に抵触するような記事は、日本の新聞は書かないということを、中国に約束したわけです。もしそれを破れば、中国に支局を置くことができなくなり、記者は追放されることになります。

こうして、日本のメディアは中国批判がまったくできなくなってしまい、中国のプロパガンダ機関に堕してしまったのです。「なんでも戦前の日本が悪い」とする自虐史観も、こうした中国のプロパガンダに乗って、日本に広まりました。いまだ一国の首相が靖国神社に参拝できないでいるのも、そのためです。

作家の曽野綾子氏は、『この世の偽善』(金美齢氏との対談、PHP研究所)において、次のように語られています。

この40年あまり、産経新聞と時事通信を除く日本のマスコミは、絶えず中国の脅しを受けながら、特派員を受け入れてもらうために、完全に中国政府の意図を代弁する記事を書き続けてきということです。

 

『朝日』『毎日』『読売』などの全国紙、東京新聞他のブロック紙などは、中国批判はただの一行たりとも書かず、私たちにも書くことを許さなかった。私が少しでも中国の言論弾圧を批判すれば、その原稿は私が内容表現を書き直さないかぎり、ボツになって紙面に載らなかったのです。

 

ちゃんと曽野綾子という署名を入れた小さな囲み記事ですら、印刷中の輪転機を止めてまで掲載を許さなかった新聞もあります。

さて、アメリカが中国メディアを「宣伝機関」と認定したことで、何が起こるでしょうか。参考になるのはファーウェイです。アメリカ政府は安全保障上の理由から、アメリカ企業に対して、ファーウェイとの最先端技術を使用する製品の取引を禁じました(米国輸出管理改革法=ECRA)。

さらには、ファーウェイに対してアメリカの先端技術を含む製品を取引する外国企業との取引も禁じました。つまり、日本企業であっても、ファーウェイに対して、アメリカの先端技術を含むパーツやソフトを提供すると、アメリカ企業と取引できなくなるわけです。

当然、アメリカの銀行が取引を停止しますから、ドル取引ができなくなります。また、そのような日本企業と取引をしている日本の金融機関もまた「同罪」と見なされ、アメリカの銀行と取引ができなくなりますから、国内銀行はそうした日本企業とは取引停止せざるをえなくなります。

要するに、アメリカ企業のみならず、日本国内のどの企業からも縁を切られることになるわけで、そのような企業は倒産するしかなくなるわけです。だから2019年5月、グーグルはファーウェイへのOS提供を停止し、日本のメーカーはファーウェイへの製品出荷を一時的に停止せざるをえなかったわけです。ドコモなどの通信キャリアもファーウェイの新製品の発売を延期しました。

その後、アメリカの意向を見ながら、恐る恐るファーウェイとの取引は続けられてきましたが、今年5月、アメリカ商務省がファーウェイへの輸出規制強化を打ち出したことで、世界最大の半導体デバイス企業である台湾のTSMCがファーウェイへの部品供給を停止することが決まり、半導体業界に衝撃が走りました。

半導体の歴史に重大事件、ファーウェイは“詰んだ”

このアメリカのやり方を見れば、前述の中国メディアと協力関係にあるメディアもまた「中国の宣伝機関」と見なされる可能性が高いと言えるでしょう。つまり、アメリカで取材活動をしたいならば、その構成員リストをアメリカ企業に提出し、さまざまな取引についても、制限を加えられるということです。

さらにアメリカの規制が強まれば、ファーウェイ同様の措置が取られる可能性も否定できません。すなわち、アメリカでの取材活動も禁じられるばかりか、内外の銀行や企業との取引が規制される可能性があるわけです。

人民日報のホームページを見ると、朝日新聞、日経BP社、日経QUICK、みずほ銀行などとニュース提携を結んでいることが書かれています。

人民網日本株式会社へ ようこそ!

とくに朝日新聞は「人民日報日本支社」と揶揄されるほど、人民日報と同じような主張を展開することでも有名です。朝日新聞元北京特派員だった人物が人民日報海外版の日本代理人を務めたこともあります。

朝日新聞がアメリカから「中国の宣伝機関」と認定される可能性も、揶揄や冗談ではなく、現実になる可能性があるわけです。


 

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image by: Osugi / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年6月24日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

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