新型コロナワクチンの開発は言うに及ばず争奪戦にすら破れ、「ワクチン敗戦国」となってしまった日本。菅首相は9月までに接種対象者全員分を確保できるめどが立ったとしていますが、今のところ接種率は先進国のそれとは思えぬほどの低さとなっています。このような状況にあって、「ワクチン接種を65歳以上にこだわっていては感染拡大を防げない」とするのは、小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さん。石川さんは自身のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』で今回、都市部への傾斜配分の決断も含め、ワクチンの接種優先度を今一度議論することこそが日本政府が取るべき政策と主張しています。
ワクチン接種は「65歳以上優先」ではダメだ/開発も獲得競争にも負けた日本がいますべきこととは
東京、大阪、兵庫、京都へ緊急事態宣言が発出されることになった。
まん延防止等重点措置では感染の拡大を防ぐことができないと判断したためだ。とくに英国型の変異ウイルスの力が強い関西では、感染率が急カーブを描いている。
菅総理との関係を重視している大阪府の吉村洋文知事は、訪米前の緊急事態宣言要請を遠慮したと言われているが、失敗だったと言えよう。
日本はワクチン開発、取得競争で世界に大幅に遅れをとってしまった。菅総理が訪米してファイザーにワクチンの追加を依頼したが、アメリカまで行ったのに電話会談というしまらない結果になってしまった。
ファイザートップとがっちり「グータッチ」でもしていたら、国民に対して安心感を与えたと思うが……。
現在のワクチン接種率を世界と比較してみる。
国・地域別の100人当たりのワクチン接種完了人数
(日本経済新聞より)
1位 イスラエル 54
2位 チリ 28
3位 米国 25
4位 UAE 22
5位 英国 14
日本 0.61
日本は世界と比較すると完全に遅れている。米国国立研究機関の峰宗太郎博士研究員は「ワクチン2回摂取70%まで」は我慢しないと日本のように何度も感染拡大の波が来ると警告している。
「現在は第4波」と政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長が国会で明言したとおり、第3波を超える波が関西に押し寄せている。
英国型に加えブラジル型が混合したウイルスが「第5波」となって押し寄せたときにはオリンピックどころではなくなる。
いま日本政府が取るべき政策は、限られたワクチンを誰に優先的に接種するかをいま一度議論することだ。65歳以上にこだわっていては感染拡大を防げない。
クラスターが発生しているところはどこか。それは福祉施設である。医療関係者の優先接種と同時に、いまからでも介護や福祉の現場で働いている方々に優先的にワクチンを接種すべきである。介護や福祉の現場でのクラスター発生率が高いことを考慮すると当然の措置である。
そして、東京や大阪の感染状況が収まらない限り結局、コロナは収まらない。2大都市で緊急事態宣言が出されていれば、田舎の果てまで影響する。
そのことを我々は身をもって知っている。経済はすべて東京や大阪を中心に回っているからだ。批判があるかもしれないが、ワクチンを都市部へ傾斜配分する決断も必要だ。
さらにいまからワクチンパスポートの議論もすべきである。
ハンコ問題なんて、いまはどうでもよい。
河野太郎大臣はいまこそ力を発揮してほしい。
image by: 首相官邸