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コロナワクチン、打つべきか打たざるべきか。京大教授が最終回答

先日掲載の「京大教授が呆れた、吉村府知事「飲食店いじめ」発言の支離滅裂」等の記事で、国や自治体のコロナ対策を痛烈に批判した京都大学大学院教授の藤井聡さんですが、ではコロナワクチンについてはどのようなご意見をお持ちなのでしょうか。今回藤井さんは自身のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』で、ワクチン接種に迷う80歳を超える個人的知り合いから相談を受けた際に、「打ったほうが良い」と即答した理由を詳述。社会政策の視点から鑑みても高齢者にはワクチンを打ってもらうべきではあるものの、だからといって個人の「接種するかしないかを決める自由」は制限されるべきではない、との見方も記しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2021年6月5日配信分の一部抜粋です。続きはご購読の上、お楽しみください)

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「私、ワクチン打った方が良いんでしょうか?」という質問を受けました

今、ワクチン接種が進められています。政府はこれを強力に推進しようとしていますし、TVメディアもこれを強力にプッシュしています。

一方で、「ワクチン接種に伴うリスク」もメディアでは取り上げられており、因果関係は立証されていないと言われていますが、接種後の死亡例も多数報告されています。

こうした状況の中、国民の反応は、概ねワクチンに肯定的である一方、ワクチンに懐疑的な見解を持ち、打たないと思っている国民、あるいは、打つべきか否かを迷っている国民もおられるようです。

この問題について先日、親しい80才以上の高齢者の知人から電話があり、「藤井先生、ワクチンは接種した方がよいですか?ダメだという医者もいるし、打ったら良いよという医者もいるし、どっちかわからんのだよ。是非、藤井先生の意見を聞きたいんです」という相談を受けました。

この友人、コロナについては全く頓着しておらず、いつもマスクを付けずに、コロナ前と全く同じ生活をしている方でした。

当方、言論活動としてワクチンについて言及することは今の所差し控えています。なぜなら、今の政府の「高齢者からワクチン接種を加速する」という方針が絶対間違えているという確信が持てないからです(※)。

(※ 当方、ワクチンについての言論は差し控える一方、「補償も不十分なまま徹底自粛させるという政府方針」について積極的な批判言論活動を展開しています。それは、そんな徹底自粛路線は大いに間違いであるリスクが甚大にあると確信しているが故です。当方は、「政府が正しい限り、言論は不要、しかし間違えているリスクが大いにある場合には、批判言論活動を展開すべきだ」というのを、言論の基本姿勢しております。)

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……とはいえ、そんなワクチン問題でも、個人的にご質問を頂いた範囲なら、もちろん、当方の見解をお伝えできます。ついてはこの件についてお電話をいただいた時、当方から即座に次の様に答えました。

「僕は、お受けになった方がいいと思います。確かに、ワクチンにもリスクがあり、かつ、どういうリスクがあるかも分からないというリスクもある、っていう風に聞いています。

ですが、コロナに罹患して重症化して死亡するリスクはほぼ明らかに存在し、かつそのリスクは80才以上の高齢者においてはそれなりに高いものです。ですから、○○さんの場合は、80才以上ですから、コロナリスクは高く、今明らかになっているワクチンによるリスクよりも、コロナのリスクの方が高いと思います。

ですから、○○さんの場合は、少なくとも僕は、打たれた方がいいと思います」

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繰り返しますが、当方、この方が、コロナを全く恐れておらず、普段通りの生活をしていることを知っていました。それにも関わらずこの様にアドヴァイスしたのは、次の様に考えたからです。

  1. まず、この方はコロナのリスクをゼロだと思っているのではなく、コロナのリスクはある事を知っている上で、普段の生活をしている方であると当方は考えた。つまり、彼は、一定の確率のコロナリスクを受け入れ、万一の馬合、罹って死んでしまってもまぁ、しょうがないわな、という気持ちで生活されていると、まず当方は解釈しました。
  2. 次に、ワクチンのリスクもあるにはあるのだが、そのリスクは、少なくともこれまでワクチンの専門家の先生のお話をお聞きした限り(当方、有り難いことにTV番組でワクチンの専門家や医師の皆さんと共演することも多く、肯定派、否定派、双方の意見を詳しくお聞きする機会があります)、少なくとも短期的には、そして少なくとも高齢者に対しては、コロナに罹患して、死亡するリスクよりも、「低い」様に思われます(もちろん確証はありませんが、少なくとも当方はそのように判断しています)。
  3. ただし、ワクチンの「長期的なリスク」については、明らかではない。が、それを気にすべきは非高齢者で、高齢者の場合には、考慮すべき寿命自体が短いことから、長期的リスクが若年層よりも大幅に小さくなる。
  4. 以上より、高齢者の死亡リスクを最小化するという視点から考えた場合、ワクチンを打つ方が、打たないよりも、死亡リスクが小さくなるだろう、と考えている。
  5. したがって、この高齢者のケースにおいては、以上を説明した上で、「コロナで死亡するリスクを受け入れて生活しておられると思いますが、一応、ワクチンを打った方が、死亡リスクをさらに下げられると思うので、○○さんがご自身の死亡リスクを引き下げたいとお考えでしたら、受けた方が良い、とアドヴァイスさし上げます」と説明いたした次第です。
  6. もちろん最後に「まぁ、死ぬリスクをできるだけ下げたいなんて思うのが嫌なら、もちろん、何も打たなくてもいいと思いますが、ワクチンは危ないから止めた方がいいですよ、とは当方は思いません。当方はそのワクチンリスクよりも、コロナリスクの方が、高齢者の○○さんにおいては高いと思っているからです」と付け加えました。

以上は、当方の知人に対してただ単に個人的なアドヴァイスをさし上げる、という状況下における当方の判断です。

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ちなみに、当方はこの知人に対して大いなる好意を抱いており、幸せに生きて貰いたいと思っていますから、こういうアドヴァイスとなりましたが、社会政策の視点から、国民の全高齢者に依頼するとすれば、もう少し違うニュアンスが混入することになります。

というのも、高齢者にワクチンをうってもらうことで「医療崩壊」のリスクが減少するからです。

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そもそもコロナで重症化し、死亡するのは、その殆どが高齢者。だから、高齢者さえ感染しなければ、重症者・死者は激減することになります。現状の、60才以上が感染しなくなれば、死者数・重症者数は5%程度にまで激減することが予期されます。

(例えば、こちらの死亡者の年齢分布をご参照下さい。60才未満は5%前後しかおられません)

だから、社会政策を推進する立場に立てば、高齢者ならば是非、ワクチンを打って貰いたいと考えるわけです。そうすることで、医療崩壊が防げ、かつ、死者数も激減させることができるからです。

もちろん知人に対しては、「日本の医療崩壊を避け、死者数を激減させるという目的のために、ワクチンを打つリスクを甘んじて受け入れてもらえないですか?」とはアドヴァイスしにくいということはあると思います。ですが、政府としては、医療崩壊を防ぎ、より多くの命を助けることが可能となる以上、高齢者にワクチン接種を奨励していくことは、ワクチンリスクがあるにも関わらず、必ずしも不当だとは言い切れぬ判断なのです。

(誠に残酷な話ですが、政府は1人の命を犠牲にすることで99人を助けると思しき政策を、10人の命を犠牲にして90人を助けると思しき政策よりも優先せざるを得ないからです)

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だから今政府が、ワクチンリスクがある事を知りながら、高齢者のワクチン接種を加速しているのは、当方としては反対する理由を見いだすことが出来ないのです。

ただし…政府であろうが、知人であろうが、ワクチン接種を奨励した時に、その対象者が「僕は僕の幸せの観点から言って打ちたくないんだ」と言うのならそれを無理強いすることはできない、とも思います(無論、例外もあるのですが…)。

だから私は、ワクチンを打つか打たないかをきめる自由を我々は持つべきなのだと考えます。つまり私達は、コロナリスク回避を優先するか、ワクチンリスク回避を優先するかをきめる自由を持つことが必要なのではないかと思います。

だから政府は、コロナリスク回避を優先してワクチンを打つ人のためにワクチンを用意し、その接種の副作用に苦しむ人を助ける医療体制をつくらねばなりません。同様に、ワクチンリスク回避を優先してワクチンを打たない人のために、コロナに罹った場合の医療体制を、政府は整えておくことも必要だと考えます。

(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』より一部抜粋・敬称略。続きはご登録の上、お楽しみください)

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京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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