京大教授が猛批判。緊急事態宣言の延長で「重症患者が逆に増える」不条理

fujii20210510
 

菅首相は7日、当初は11日までを予定していた緊急事態宣言の期限を、5月末まで延長すると会見で発表しました。その効果については様々語られていますが、「害悪しかない最悪中の最悪の感染症対策」と酷評するのは、京都大学大学院教授の藤井聡さん。藤井さんは自身のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』で今回、そう判断せざるを得ない4つの理由を挙げるとともに、この程度の理屈が理解できない専門家の能力に疑問を呈しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2021年5月8日配信分の一部抜粋です。続きはご購読の上、お楽しみください)

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「緊急事態宣言・延長」が如何に不条理なのかを、解説します

緊急事態宣言の延長が、正式に政治決定されました。

もうそうなるだろうとは予期していましたが、改めてその決定を耳にすると、心の底から残念な思いをしています。

今国民の多くは、「正にいま医療崩壊が進行しつつある。感染者も高止まり状況だ。緊急事態宣言は解除して貰いたいが、こうなれば延長は致し方無いだろう」と考えています(TV局でニュース解説等しておりますと、街頭インタビューで実に多くの人々がそう話しています)。

そんな中、当方は、実証的、論理的、合理的な根拠を示しながら「延長はすべきでない」というメッセージをネットやSNSで配信しているのですが、案の定「コロナを楽観するような藤井はダメな奴だ!」「藤井は他のテーマについては納得できるが、コロナについては滅茶苦茶だ!」と、道徳的にも知性的にも藤井はダメな奴だという、激しい批難が差し向けられていました。

これはもう、まさに、不条理なポリコレ、全体主義の暴走現象。連日のTVコロナ報道に翻弄された多くの国民が思考停止に陥り、常識でものを考える事をやめてしまったことで、コロナ対策についてまともな判断が出来なくなってしまったのです。

ついては改めて、本メルマガ読者に向けて、「今回の緊急事態宣言」が如何に不条理であるのかを、簡潔に解説して参りたいと思います。

1)東京の医療崩壊のリスクは小さく、緊急事態宣言は直ちに求められる状況でない

今回の緊急事態宣言の継続を求める人々が一番気にしているのが、「医療崩壊」の危機の回避です。実際、大阪では重症者が増え、病院で対応仕切れなくなっており、それがコロナ被害を拡大してしまっています。

しかし、東京は状況が全然異なります。重症者病棟の使用率は3割程度に留まっています。今後さらに増えていく見通しではありますが、今後、緊急事態宣言をしなければ10割を超えてしまうのだという説明は一切されていません。

実際、今、東京は既に新規感染者数の増加が止まり、減少しつつある可能性も指摘される状況になっており、医療崩壊が危惧されているわけではないのです。

今の東京で緊急事態を発出する意義そのものが明確には見当たらないのです。

そして、同様のことが、明確に医療崩壊のリスクを迎えている大阪以外の宣言対象地域において見られるのです。

つまり、大阪以外の多くの地域において、緊急事態宣言で自粛や時短、休業をどれだけやったとしても、別に医療崩壊リスクの回避という行為に繋がるわけではないのです。そもそもそんなリスクそのものが明確に存在しているわけではないのですから。

逆に緊急事態宣言を出すのなら、大阪のように、明確に医療崩壊のリスクが危惧される(あるいは実現している)エリアに限定すべきなのですが、そういう限定を図ろうとする動きは、我が国には存在していないのです。

これはまさに、「副作用の強い劇薬を、病気でない状況でも念の為に処方しておきましょうか」という恐ろしい処置がおこなわれているようなものです。実に恐るべきコロナ対策が今、まかり通っているわけです。

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