京大教授が猛批判。緊急事態宣言の延長で「重症患者が逆に増える」不条理

 

2)今更、緊急事態宣言を延長しても、大阪の医療崩壊リスクはさして減らない

じゃあ、大阪なら延長するのが合理的なのかといえば、一切そんな事は言えません。

そもそも「大阪は医療が崩壊しているのだから、緊急事態宣言の延長は仕方ない」というのが、松井・吉村氏らを始めとした、人々の認識ですが、緊急事態宣言を延長し、仮にそれによって感染者数を抑止できたとしても、それが重症者数の推移に影響を及ぼすのは、過去のデータを見ると5~6週間後の話し(なぜなら、陽性者数のピークの約3~4週間後に重症者数のピークが来ているからです。で、陽性発覚と感染の間に2週間のラグがありますから、約5~6週間のラグがあるのです!)。

じゃあ、その頃、医療崩壊が続いているかと言えば、その可能性を完全に否定することもできませんが、そうではない(医療崩壊はまだ続いていない)可能性も十二分に考えられる、というか、そちらの可能性の方が圧倒的に高いのです。

まず第一に、そもそも新規感染者ピークは、現時点において既に過ぎている可能性が高く、ピークは4月下旬~末日あたりであると考えられます。

ということは、重症者数ピークはその5~6週間後ですから、6月上旬くらいになります。で、今日の「延長」が影響を及ぼすのは、5月11日から約5~6週間後の中旬ということになりますから、重症者数のピークを迎えてからおおよそ10日前後後ということになります。

したがって、仮に延長が将来の重要者数を減らす効果を持っていたとしても(というか、実際そんな効果は無いということが別途示されているのですが、それをさておくとしても)、その効果が出てくるころには、重症者病床が満杯になっている状況から少し余裕が出てきた頃である可能性が考えられるわけです。

しかも、今、吉村氏は、必死になって対応病床を拡大しようとしています。それは大変に結構なことですが、そうすることで、「延長の効果が出始めた頃の、病床の余裕」はさらに拡大する事になります。

こうした事を全て勘案すると、大阪の医療崩壊を回避するために(仮に大阪の緊急事態宣言に、重症者を減らす効果があったとしても)、大阪での宣言延長は必ずしも必要がない、と予期されることになるわけです。

3)「今の緊急事態宣言」をどれだけ延長しても重症者はさして減らず、むしろ増える

感染者の多くは今、非高齢者です。にも関わらず、重症者・死者の大半が高齢者です。

最近、変異種は若年層の重症率は上がったなどとも言われますが、こうした傾向にほとんど影響はありません。相変わらず、重症と死者の大半が高齢者なのです。

で、今問題となっている「医療崩壊」を防ぐには、非高齢者の感染者をどれだけ減らしても、高齢者の感染者を減らさなければほとんど何の意味がないのです。

したがって、医療崩壊を防ぎたいのなら、

  1. 高齢者の(高感染リスク)行動の自粛
  2. 非高齢者の、高齢者に移す(リスクの高い)行動の自粛

の二つを徹底すればいいのです!

にも関わらず、今の緊急事態宣言では、1.2.は全く触れられておらず、兎に角、自粛だ時短だ禁酒だとやっているわけです。

その結果、今、「高齢者施設の感染症対策」がおろそかになっており、三密空間やマスクのない会食や飛沫を飛ばし会う会話などが横行しているのです! その結果、高齢者施設のクラスターが頻発し、それが医療崩壊を導いているのです!!

何と言う愚かな政府なのでしょう…。

自粛だ時短だとやって経済を崩壊に導き、高齢者対策を怠って医療を崩壊に導いているのです。

アホという他ありません。

だからやるべき高齢者クラスター対策をやらずして、無駄な自粛や時短のみを要請する緊急事態宣言など、単に経済を痛めつけるだけの帰結しかもたらしていないわけですから、とっとと止めてしまえばいいわけです。

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