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「Dappi」だけじゃない。ネトサポやカルト信者を使った自民党「野党攻撃」、総選挙前にも加速か? 中国の五毛党と変わらぬ日本の惨状

Twitter上で自民党など与党を擁護・応援する一方、立憲民主党などの主要野党を批判するツイートを大量に投稿していた、フォロワー16万人超を誇るアカウント「Dappi(@dappi2019)」に「法人運営」の可能性が浮上し、ネット上で大きな話題となっている。問題は、その法人が主要取引先として挙げているのが「自由民主党」だったことが判明し、総選挙を前に物議を醸しているのだ。

きっかけは立憲・小西議員の訴訟

その発端は、立憲民主党の小西ひろゆき参院議員が、「Dappi」から自身を誹謗中傷するツイートを投稿されたとして、今月6日に名誉毀損の訴訟を起こしたことだった。以下のツイートは実際に小西議員がTwitter上でDappiを批判しているツイートだが、このツイート1本を根拠として訴訟を起こしたのかについては現在まで分かっていない。

この裁判の過程で「情報開示請求」をおこない、Dappiアカウントを運営していたのが「法人」だったことが判明したのだ。

Twitterの「Dappi」アカウント

今回の「Dappi」アカウント運営元の法人は、複数のメディアが報じている通り、民間の信用調査会社が掲載している同法人の主要販売先には「自由民主党(自民党)」の名があり、Buzz Feed Japanが11日に公開した「野党批判を繰り返すアカウント「Dappi」の運営法人?自民党支部や国会議員が取引、政治資金収支報告書などで明らかに」という記事によれば、自民党の小渕優子元経産相(衆院群馬5区、党組織運動本部長)や自民党東京都参議院比例区第18支部とは、過去に取引をしていた形跡が政治資金収支報告書に記載されていたと報じている。

MAG2 NEWSでは、独自の調査をおこなった結果、この法人と思われる会社を特定。社名が報道された訳ではないため実名は控えるが、都内に実在する同法人はホームページのトップページに現在「テレワーク中」であると記載しており、同アカウントについても社員が自宅等から更新をおこなっていたものとみられる。また、問い合わせについても「お問い合わせフォームよりご連絡を」とのことで、直接の取材には応じていない模様だ。

野党攻撃ネトウヨ系アカ「Dappi」とは? 過去にもあった「法人」疑惑

「Dappi」が問題視されたのは今回だけではない。すでにDappiは「法人」か「組織的」運営が疑われてきたアカウントである。

たとえばDappiは、すでに凍結されたアカウント(現存せず)で2018年5月22日の午前9時50分、以下のようなツイートを投稿した。

マスコミと野党が2015年2月25日に安倍総理が加計理事長が面談したというメモが出たと騒いでますが、当時の新聞を引っ張り出してみたところ朝日・毎日・産経・読売・日経・東京に掲載された首相動静にはそのような面会があったことはどの新聞社も報じてません。(Dappi(@take_off_dress)より。現在同アカウントは凍結中)

この「2015年2月25日に安倍総理が加計理事長が面談したというメモが出た」という話題が初めて報道されたのは、前日の5月21日午後5時頃のNHKニュースデジタル版だ。しかしDappiは、翌朝9時台に、朝日・毎日・産経・読売・日経・東京の新聞の実際の紙面の「首相動静」欄の写真を掲載してツイートしたのである。

3年前の新聞紙面をデジタル版ではなく新聞本紙で用意し、その画像をアップできるなど、個人レベルでできることではない。これについて、ネット上では「組織的に運営されているアカウントでは?」との疑惑が浮上。投稿時間の傾向などから「シフト制の可能性」も示唆されていただけに、それを裏付ける形となってしまった。

この疑問に対して、政治ジャーナリストの安積明子氏は同22日、ツイッターで「国会図書館分館(院内)を使えばたやすい」と投稿した。

国会議事堂内にある「国会図書館分館」とは、国会議員、議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などが利用できる施設だ。つまり、この施設に出入りできる者からの協力なくして、このスピードで新聞紙面アップは不可能に近い。安積氏の推測が正しいとすれば、ここに出入りできる人物からの協力によってツイートに使用した安倍首相擁護のための画像を収集できたと言えるのだ。

つまり、このアカウントのツイートには、「自民党関係者による協力があった」と考えるのが妥当なところだろう。

自民党のネット工作は「Dappi」だけにあらず

今回問題となっているDappiアカウントによる執拗な「野党攻撃」や自民党の不正に関する「擁護デマ」については、何も今に始まった話ではない。

すでに自民党は「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC、通称:ネトサポ)」という主にネットを介して活動する支援組織や安価な値段で雇えるクラウドワーカーたちを使って、巨大掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」やTwitterなどで、自民党を擁護する発言や野党を攻撃するためのデマ投稿などを多数おこなっていることが確認されている。これらは全て時給や「1書き込みにつき●●円」といった報酬を支払って雇われた短・長期のアルバイトだ。

また、同じような投稿は「別の組織」の関与も取り沙汰されている。それが、カルト宗教団体の信者と思われる人々だ。特に「統一教会」の名前で知られている「天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合」と「幸福の科学」2団体が自民党を強く支持しており、信者と思われる人物による「野党攻撃」や「モリカケ擁護」のネット工作は有名な話だ。

安倍晋三氏と「統一教会」の深い関係

以前も「安倍晋三、統一教会との蜜月を笑顔でカミングアウト。イベント登壇&韓鶴子総裁を称賛で本性あらわ、「票とカネ」目的の歪な関係」の記事で紹介した通り、安倍氏は統一教会系のNGOが主催するイベントにリモートで出演して会場を沸かせたことはネット上で大きな話題となった。安倍氏の祖父である岸信介元首相が、統一教会に協力して反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立させたのは有名な話である。

安倍氏自身も官房長官時代の2006年、統一教会系の「天宙平和連合」の合同結婚を兼ねた集会に祝電を送るなど、統一教会への関与がしばしば取りざたされてきた。

そうした団体の信者たちが、自民党や安倍氏をネット上で支援するのは不思議な話ではない。Dappiアカウントのようにお金を支払って協力を依頼した法人やネトサポ、クラウドワーカー、そして結びつきの強いカルト宗教信者の支援を受けていた自民党だが、今回の「Dappi」問題で疑われるのが、その資金の出どころだ。

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中国の五毛党と変わらぬネット工作が「官房機密費」で行われている?

中国では、ネット上に中国共産党が雇った工作員たちが多数存在しており、その工作員たちは「五毛党」と呼ばれている。一つの書き込みにつき「5毛(0.5元、約8.5円)」がもらえるためその名が付いたと言われているが、日本のネトサポなどもこれに当たるだろう。こうした無数の人員を雇うにはある程度の資金が必要となる。いくら日本最大の政治政党とはいえ、政治資金にも限界があるに違いない。そこで疑われるのは、何に使ったのかを公開せずとも使える「官房機密費」の存在だ。

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は2021年10月10日のデジタル版で、

菅義偉前内閣が約1年間の任期中に支出した内閣官房機密費(報償費)は約13億3000万円に上ることがわかりました。このうち加藤勝信官房長官(当時)が自由に使える領収書不要の「政策推進費」が約11億6000万円と87%を占めました。

と、多額の資金を使用していたことを報じている。こうした「領収書不要」で使える11億円を超える資金から、こうしたネット工作への資金が使われていた可能性は否定できない。現に、「野党批判」と「自民擁護」を繰り返していたDappiアカウントは10月1日に、菅義偉前首相の緊急事態宣言の解除を告げるツイートのリツイートを最後に投稿はおこなわれていない。菅政権との「契約」がここで終了したからだろうか?

総選挙前の今、ネット上の「野党攻撃」「自民擁護」には注意が必要

岸田政権が発足し、新しい顔になった自民党だが、その後もネット工作がおこなわれていないという証拠はない。そして10月31日に投開票が行われる総選挙に向けて、「野党攻撃」やデマ投稿はますます加速していく可能性もある。心から信じてしまっている「純粋なネトウヨ」はアレとして、こうしたネット工作によるデマ情報に惑わされないよう、われわれ国民も注意する必要がありそうだ。

岸田・自民は、今回の「Dappi法人」問題を機に、ネット工作などという中国共産党まがいの姑息な手段をやめて、大人の党へ「脱皮」していただきたいと思うのは私だけだろうか。

Twitterの反応

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: shutterstock.com

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