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フェミニズムは都合が悪い。中国共産党が上野千鶴子氏の著作を発禁にする日

一人っ子政策や子育て費用高騰の影響もあり、我が国以上の少子化に頭を抱える中国政府。そのような状況の中、中国の女性たちの間で「おひとりさまシリーズ」で知られる上野千鶴子さんの著作が人気を呼んでいます。そんなニュースを取り上げているのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、日本と同様高齢化が進む中国及び台湾の「介護事情」と、習近平政権の涙ぐましい少子化対策を紹介するとともに、これ以上の非婚化の風潮進行を望まない中国共産党が、上野氏の書作を発禁処分にする可能性を指摘しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年3月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国で流行している上野千鶴子氏の著書。リベラル思想を警戒する中国共産党の皮肉

65歳以上が2億人超…中国で「付き添い屋」大繁盛 「大切なのは真心」一部悪質被害も

高齢化が顕著な中国で、「付き添い屋」が好調だというニュースです。高齢者に付き添って病院へいき、煩雑な手続きや予約などの雑務を引き受けて報酬を得るという仕事です。

報道では、今では65歳以上の高齢者は2億人以上、付き添い屋の事業者は全国で500以上、付き添い屋になるための資格は今のところないとのことです。

高齢化社会の先輩である日本の介護事業者は、今後、中国市場に大きな魅力を感じるかもしれません。しかし、中国は保険制度がまだまだ未成熟であるため、病院へ行けない人もたくさんいます。

「親を施設に入れるのは親不孝」との考え方が根強い台湾

一方、同じく高齢化社会である台湾では、介護市場がかなり整備されてきている印象です。

「2025年に超高齢社会へ突入、介護サービス市場は2,000億台湾ドル規模に「《台湾における介護市場調査》」結果発表

この報道は2020年7月のものです。ワイズコンサルタントグループという企業の台湾支社による統計で、2025年には台湾は65歳以上の人口の割合は全人口の20%を占める超高齢化となる、と言っています。

日本では、高齢者の介護は施設に任せる、在宅でデイサービスなどを利用するなど、今では様々なサービスを選ぶことができます。台湾では、親を施設に入れるのは親不孝との社会概念が根強いため、高齢者の約半分は在宅介護というデータもあります。

高齢者の介護を専門に行うのは、住み込みで雇われている東南アジアから来たお手伝いさんです。

これまでは、施設に入れるよりもお手伝いさんを雇ったほうが安かったこともあり、在宅看護が主流でしたが、台湾政府が介護施設を増やしたり、入所の際の補助金を増額したりと努力しているため、これからは台湾でも介護の仕方の選択肢が増えるようです。

【超高齢社会へ】台湾の介護業界

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もはやGDPでアメリカを抜けそうにない中国

社会の急速な高齢化とともに、中国では1979年から35年以上続いてきた一人っ子政策の影響から、少子化も深刻な状況となっています。中国政府は2016年に一人っ子政策を撤廃して2人目の出産を認め、さらに2021年には3人目の出産を認める「三人っ子政策」を打ち出しました。

加えて、子育ての費用、とりわけ教育費が家計を圧迫するため、2人以上の子供を持ちたいと思う夫婦が減少していることを受けて、習近平政権は塾禁止令まで発令しました。

「学習塾禁止令」の中国で親の教育負担軽減 一部の塾は名目だけ変え継続

これで中国の少子化に歯止めがかかるかどうかはわかりませんが、すでに中国は日本の出生率(2021年は1.33)を下回っている状況です(同年1.16)。そのため、かつてさかんに言われた「中国のGDPがアメリカを抜く」ことは不可能だという観測も出てきています。

中国は「GDPアメリカ超え」を諦め、ゼロコロナを突き進む

中国では女性の高学歴化にともない、婚姻率が過去最低になっています。習近平政権としては、何としても出生率を上げたいところで、婚外子の制限を撤廃する省も出始めています。

習近平政権が上野千鶴子の書籍を発禁にする日

朝日新聞によれば、そんな中国で、フェミニズムの上野千鶴子氏の著作が流行しているとのこと。共産主義の中国では表向き男女平等ではありますが、儒教の影響から男尊女卑の気風も強く残っています。朝日新聞も、上野氏の著作が受けている背景に、家庭での性別役割分業が色濃く残っているため不平等感を抱える女性が多いことを挙げています。

中国で上野千鶴子ブーム、20万部超えの本も 自立を望む女性が共感

最近、習近平政権は、「娘炮」と呼ばれる、女性的な男性をテレビに出演させることを禁じ、「男は男らしく、女は女らしくあるべき」という、日本の保守派でも表立って主張しないような政策を打ち出しています。とりわけ男性の女性化を悪として、マッチョな教育を導入するようになっています。

「ニャンパオ」を許さない!中国政府が中性的イケメンを憎む理由
「中国の男は弱く、女々しくなりすぎた! マッチョな教育を導入する!」習近平の恐るべき野望

これはひとつには国防の観点で、雄々しい中国人男性を育成するという目的もあるでしょうが、「家庭を築き、妻と子供を守る」のが男の甲斐性であり理想であるという古き価値観を復活させることで、少子化を食い止めようとする狙いもあると思われます。

このような習近平政権からすると、上野氏の著作に感化された女性が増えることは、非婚化の風潮がさらに進み、「おひとりさま」を増やす可能性があるという点で、真逆の方向性だともいえます。共産主義である中国の脅威を削ぐのは、もしかすると、こうしたリベラル思想なのかもしれないというのは、皮肉な話です。

最近の中国政府の過剰なほどの言論・思想統制からすると、もしかすると中国ではフェミニズム思想の流布が禁止され、上野氏の著作も発禁になるかもしれません。

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