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絶対に生かしてはおかぬ。プーチンの「秘密」を握ったまま出国したプリゴジンの命運

世界を驚愕させた、ロシアの民間軍事会社ワグネル創始者プリゴジン氏の反乱。モスクワまで200kmの地点で進軍を停止し内戦は回避されましたが、そもそもなぜ彼はロシア国内でここまで力を持つに至ったのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、海外報道を引く形でプリゴジン氏の波乱に満ちた半生と、彼がプーチン氏に重用された理由を紹介。さらにプリゴジン氏が身の安全を図るため取るべき行動を提示しています。

ロシア傭兵部隊「ワグネル」ブリゴジンは何を考えているのか?

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が、ロシア政府と衝突、反乱にまで発展しました。

ワグネルはロシア南西部のロシア軍拠点に入り、首都モスクワへ向かって北上していました。

しかしワグネル創設者のプリゴジン氏は24日夜、流血を避けるために前進を中止したと明らかにしました。ベラルーシへ移動するそうです。

6月25日午前現在では事態が今後どうなるか流動的です。

しかし、このワグネルを指揮するブリゴジンはどのような人なのでしょうか?

英国BBCニュースの記事抜粋です。

ワグネルの創業者エフゲニー・プリゴジンは、ホットドッグ・スタンドのチェーン店経営からキャリアをスタートさせた。

 

ロシアの軍部指導部に対して批判的な発言を数週間にわたって繰り返してきたエフゲニー・プリゴジンは、ロシア国内で反乱を起こし、傭兵部隊に命じて主要な軍事施設を占拠させた。

 

プリゴジンはワグネル・グループのリーダーとして、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻のキーパーソンとなった。ワグネルの戦闘員は、戦争の主要地域でロシアの猛攻を指揮した。

 

戦闘が進むにつれ、彼はウクライナにおけるいわゆる「特別軍事作戦」が失敗していると見なし、ロシアの軍高官に対する批判を強めていった。

 

しかし、過去に親密な関係にあったロシアのプーチン大統領を非難することはしなかった。

 

では、なぜこのような経歴の男が、あれほどの影響力、そして恐るべき残虐性の評判を得ることができたのだろうか?そして、なぜ彼はロシア国内の反乱の指導者になったのか?

 

プリゴジンは、プーチンの出身地であるサンクトペテルブルク出身だ。

 

1979年、わずか18歳で初めて前科を受け、窃盗罪で執行猶予付きの2年半の判決を受けた。その2年後、強盗と窃盗で13年の実刑判決を受け、うち9年は刑務所で服役した。

 

刑務所から出所したプリゴージンは、サンクトペテルブルクでホットドッグを売る屋台チェーンを立ち上げた。商売はうまくいき、数年のうちに市内に高級レストランを開くことができた。

 

そこで彼はサンクトペテルブルク、そしてロシアの上流階級の人々と交わるようになった。

 

彼のレストランのひとつ、「ニューアイランド」は、ネヴァ川を上り下りする船だった。

 

ウラジーミル・プーチンはこのレストランを大変気に入り、大統領になった後、外国からの客をそこに連れて行くようになった。

 

そして、それが2人の最初の出会いだったようだ。

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プーチンにとって理想的な人物だったプリゴジン

解説

このブリゴジン、2000年にはシェフとしてプーチンと日本の森首相ももてなしているそうです。

その人が民間軍事組織(傭兵部隊)の長となって、正規軍以上に頼りにされたのです。専制君主国家で君主に気に入られるという事の意味が分かります。

記事は続きます。

しかし、プリゴジンが普通のビジネスマンではなかったという兆候が現れ始めたのは、2014年のロシアによるウクライナ侵攻の後だった。

 

彼とつながりがあるとされる影の民間軍事会社が、東部ドンバス地方でウクライナ軍と戦っていると最初に報じられたのだ。

 

ワグネルとして知られるその傭兵グループは残忍さで恐るべき評判を得るようになった。

 

しかし、なぜクレムリンはプリゴジンのような人物に世界中で情報操作や軍事作戦を行わせたいのだろうか?

 

その大きな理由のひとつが、いわゆる「もっともらしい否認権」である。

 

民間の工作員を使うことで、ロシア政府は機密性の高い作戦への関与を否定することができる。

 

プリゴジンの過去も理由のひとつだと専門家は言う。「プーチンは、非の打ち所のないクリーンな評判の人物を好まない。この点からすれば、プリゴジンは理想的な候補者だった」。

 

何万人ものロシア軍がウクライナで殺害された後、プリゴジンは刑務所でリクルートすることを許された。

 

彼は自ら多くの刑務所を訪れ、有罪判決を受けた犯罪者に対し、ウクライナでワグネルのために6ヶ月間戦った後、もし生き残れば、無罪放免で家に帰れると約束した。

 

しかし、ロシアの侵攻が頓挫するにつれ、プリゴジンはロシアの軍事指導部への批判を強めていった。

 

国防省との関係は悪化し、2023年初めには捕虜の増員を禁じられた。

 

彼は、国防省がワグネルに弾薬を供給していないと繰り返し主張し、セルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長を訴えたこともあった。

解説

ブリゴジンは、まだロシア国民へソーシャルメディアを使って訴えかける手段を保持しています(BBCはロシア政府のIT管理の甘さを指摘しています)。

おそらく彼はプーチンが公表されたくない秘密も握っています。もしプーチンとの全面対決になったときには、どのようなメッセージを出すでしょうか。

プーチンは今は融和姿勢をとっても、秘密を握っているブリコジンを絶対に生かしておきたくないでしょう。

ブリコジンは、プーチンの考え方を知っています。

ブリコジンはベラルーシに行くと報道されていますが、本当に身を守るなら西側への亡命でしょう。

身が安全となったところで、プーチンの悪行を暴露すればよいのです。

そしてウクライナは今の状況を反転攻勢の機会ととらえています。

三つ巴、四つ巴でウクライナ戦争が大きな転機を迎えています――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』6月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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image by: ssi77 / Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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