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慰安婦追慕公園を作った画家、まさかのセクハラ事件で論争勃発

韓国・ソウルに2016年に造成された慰安婦追慕公園はその当時も物議を醸しましたが、7年経った現在では、違ったかたちで論争を巻き起こしています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 その造成に関わった画家が起こしたセクハラ事件の流れについて詳しく語っています。

慰安婦追慕公園を作ったセクハラ画家

2016年、ソウル南山(ナムサン)の旧統監官邸跡に「記憶の場」が造成された。李完用(イ・ワンヨン)と寺内統監が韓日併合条約を締結し、1939年まで日帝の朝鮮総督官邸だったところに、日本軍慰安婦被害者を記憶する追慕公園を作ってメッセージを継承しようという趣旨だ。当時、パク・ウォンスン(ソウル市長)と日本軍慰安婦記憶の場造成推進委員会が中心になり、市民1万9,755人の寄付金が集まり同年8月29日除幕式が開かれた。

ところが、ここが造成されてから7年経った最近、存廃論議が巻き起こっている。「記憶の場」を設計し作品まで作った人間が最近MeToo犯罪で法廷に立った被告人イム・オクサン(73)という画家というのが論争を巻き起こしたわけだ。

「民衆美術界の巨木」として活動してきたイム・オクサン氏は2013年8月、自身が運営する美術研究所職員A氏を強制わいせつした疑惑で先月起訴された。イム氏は7月6日、初公判で「瞬間の衝動と誤った判断で被害を与えた」として疑惑を認め、検察は懲役1年を求刑した。

「記憶の場」にはイム氏が残した設計意図が銅板に刻まれている。「初めて日本軍慰安婦記憶の場を朝鮮侵略の橋頭堡である統監官邸に建てるということは侮辱で拒否感まであった。しかし同時に、これは全く異なる意表を突く卓越した逆発想であることに気づいた」として「それで新しい地形を構想した」と書いた。「根本から変えること、土地の形状を全く新しくしようということだった」とし、銅版にはイム氏の署名とサインが残っている。

イム・オクサンはここに「大地の目」と「世の中のへそ」という作品2つを作った。「大地の目」には慰安婦被害者おばあさん247人の名前と証言が刻まれており、「世の中のへそ」には「記憶しない歴史は繰り返される」という文句をハングルと英語・中国語・日本語で書いた。

美術界では「自分の研究所職員を威力でセクハラした犯罪者が慰安婦被害おばあさんたちを賛える公共造形物を造成するなど話にもならない」として「一日も早く撤去しなければならない」という声が巻き上がっている。美術史家ファン・ジョンス氏は「親日画家と烙印を押された画家たちの標準遺影も全て取り外されているのに、セクハラ犯が作った作品を残す理由がどこにあるのか。歴史的空間に造成されたイム・オクサンの作品はすべて撤去しなければならない」と話した。

 

イム・オクサンは2016年6月「記憶の場」起工式現場に現れた。その場で彼は「女性とは何か、傷とは何か、おばあさんたちが望むことは何かを悩みアイデアの糸口をつかんだ」として「被害者の名前と証言を鏡のように滑らかな石に刻み市民が自分の姿を照らして読めるようにした」と話した。

イム・オクサン研究所の職員として働いていた被害者A氏がイム・オクサンにセクハラを受けたのが2013年8月のことだ。それでも3年後、慰安婦被害者のための公園を設計し、大衆の前に出て「作品意図」を発表した。A氏の弁護人キム・ジェリョン弁護士は本紙との通話で「被害者は同じ美術界従事者として強力な力を持った加害者が反省せず対外活動を継続することを長い時間ニュースで見て深い怒りと恐怖、絶望を感じ、イム氏に法的責任を問うために自ら内的に強くならなければならない時間が必要だった」とし「今年2月勇気を出して告訴した」と話した。公訴時効満了を1か月後に控えて7月6日検察が懲役1年を求刑し、来月17日宣告を控えている。

京畿道広州市「ナヌムの家(=分かち合いの家)」にもイム・オクサンが慰安婦被害おばあさんたちを称えて作った作品が展示されている。腰から下の下半身を地面に埋めて両手で大地を乗り越えて立ったおばあさんが垂れ下がった胸を表わし考え込んでいる「大地‐母」連作だ。

国民の税金で運営される国家機関の展示にも同シリーズの作品が出された。国立現代美術館ソウル館で昨年10月から今年3月12日まで開かれた「イム・オクサン ここ、立ち上がる地」展示だ。

民衆美術系列美術評論家出身のユン・ボムモ当時館長が主導して開かれた個展で、被害者A氏が警察に告訴した時点が展示真っ最中だった2月だ。美術館関係者は「イム氏の回顧展をソウル館で開くのが性格上合わないと内部学芸職反対が多かったが、館長が押し付けて進行された」として「イム氏のセクハラ事実は最近記事を見てやっと分かった」と話した。

ある美術界関係者は「セクハラ犯が慰安婦被害おばあさんを賛える作品を作り、そのイメージを前面に出して自身の物欲を満たす国立機関展示作品として出したというのが気持ち悪い」とし、「イム氏が残した公共造形物が全国各地にあるが、何よりも慰安婦被害おばあさんたちを賛える作品は直ちに撤去を決めなければならない」と話した。

1970~80年代民衆運動に参加したイム・オクサンは18代、19代大統領選挙で文在寅を公開支持した。彼が描いた朴槿恵大統領弾劾ろうそく集会の作品は、大統領府本館に掲げられた。美術評論家のチョン・ジュンモ氏は「女性人権と慰安婦おばあさんたちの人生を反芻してみれば撤去以外には答えはない」とし、「このようなことにいつも火のように立ち上がって立場を明らかにしていた女性団体の沈黙は何を意味するのか分からない」と話している。(朝鮮日報参照)

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年7月30日号)

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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