企業間の取引では、実際の作業内容や人数と請求内容が一致しているとは限りません。なかには、人件費や外注費を上乗せすることで、実態以上の金額を請求するケースもあります。今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、建築現場で実際に行われた調査を通して、水増し請求がどのように行われるのか、そして企業間の信用を守るために何が必要なのかを考えます。
水増し請求調査
先日、「なかなかのパワープレイだな」と感じる調査がありました。
依頼内容は、外注業者による水増し請求の証拠を押さえてほしい、というものです。
こうした問題はそれほど珍しくありません。
業界によっては半ば横行しており、ある程度までは暗黙の了解として目をつむっている会社もある様子。。。
分かりやすく、建築現場を例にしてみます。
元請け会社が、「この家を解体してほしい」と外注業者へ仕事を依頼します。
その外注業者が、さらに別の業者へ仕事を委託し、その費用を上乗せして元請け会社へ請求する、という構図です。
このときによくあるのが、人件費の水増しです。
例えば、5人分の人件費を請求しておきながら、実際には4人で現場を回し、1人分の費用を浮かせる。
これまでにも、こうしたケースは何度かありました。
しかし、今回の現場は少し違う。
もともとの説明では、2人で作業を行い、その業務を外注することになっていました。
ところが対象者は、外注先へ仕事を出すことなく、たった1人で現場へ入り、すべての作業をこなしていたのです。
つまり、外注費を含む2人分の費用を請求しながら、実際には外注を使わずに自分1人で働いていた、ということです。
調査員からすると、「いや、めちゃめちゃ頑張って、1人で働いているやん(笑)」と思わず言いたくなる状況でした。
しかし、元請け会社からすれば、請求内容と実態が異なる以上、信用に関わる問題です。
その事実を確認するため、証拠を押さえる調査となりました。
建築業や探偵業のように、「人が動くことで料金が発生する仕事」では、稼働人数や外注費を上乗せする形で、水増し請求が行われることがあります。
さまざまな業界を見ていると、水増し請求をする人や、その被害に遭っている会社は、一般に思われている以上に多いと感じます。
なかには、それが暗黙の了解になっている業界もあります。
だからこそ、請求内容と実態をきちんと一致させること。
そして、当たり前のことですが、嘘をつかずに仕事をすること。
幼稚園で教わるような基本的なことを守るだけでも、今の時代は他社との差別化につながり、信用を積み重ねることができるのかもしれません。
それにしても、今回の対象者は本当によく働いていました(笑)
請求内容には問題があるものの、その働きぶりだけを見れば、どこか微笑ましくも感じる案件でした。
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