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台湾に連帯示すのは当然。麻生氏の発言を非難する中国贔屓の面々

訪問先の台湾での講演で、東アジア地域での戦争抑止の重要性を訴えた麻生太郎自民党副総裁。しかしその内容について、野党や一部メディアが批判を強めています。果たして麻生氏の発言は責められて然るべきものだったのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、麻生氏の発言をことさら問題視する面々を痛烈に非難。かような姿勢に対して、「中国を利するだけ」との指摘を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年8月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【日台】麻生氏「戦う覚悟」強気の態度が中国の暴走を止める

麻生氏「戦う覚悟」で抑止力強化 台湾訪問中に講演

自民党の麻生太郎副総裁が台湾を訪れ、「ケタガラン・フォーラム」で講演し、台湾海峡を含む地域で戦争を起こさせないことが最も大事だと語るとともに、「今ほど日本、台湾、米国などの有志国に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はない」と力説しました。

この麻生氏の発言に対して、多くの日本メディアは「戦う覚悟」発言があったとして、あたかも問題があるかのような報じ方をしています。

また、立憲民主党の岡田克也幹事長は「米国は、はっきり台湾有事の際に軍事介入するとは言っていない」「非常に軽率だ」と批判、共産党の小池晃書記長も「極めて挑発的な発言だ。専守防衛に明らかに反する」などと述べました。

麻生氏「戦う覚悟」発言が波紋 蔡政権は歓迎の一方、「観光客が…」

しかし思い返せば、ロシアのウクライナ侵攻は、アメリカのバイデン大統領が「ロシアがウクライナに侵攻してもアメリカは軍を派遣しない」と明言した直後に起こりました。そのことを歴史の鑑とするなら、「いざとなればともに戦う」と表明することのほうが、よほど平和を守れることになります。

そもそも麻生氏は「自由と繁栄の弧」という外交政策を掲げ、安倍晋三元首相とともに価値観外交を推し進めた人物でもあります。

民主主義国が連帯して、中国やロシアなど権威主義国に対峙する戦略を主導してきたわけですから台湾に連帯を示すのは当然ですし、「台湾有事は日本有事」という認識は、安倍首相と共有していたと思われます。

民主党政権下では、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の船に体当たりするという事件が発生、漁船の船長が逮捕されましたが、当時の菅直人首相が中国との関係を気にして、船長の釈放を命じたことが明らかになっています。

前原誠司元外相「菅首相が船長を『釈放しろ』と言った」

その民主党時代には、小沢一郎代表が600人もの訪中団を率いて中国に「ご機嫌伺い」したこともありました。このとき、民主党の松原仁議員が衆議院外務委員会で「南京大虐殺はなかった」という発言をしたということで、日本共産党は赤旗で批判しています。

小沢代表訪中の最中 民主議員が国会で「南京虐殺」否定発言

これまで日本の政治家は、自民党を含めて中国に過剰に配慮してきました。尖閣諸島にしても、日本人の接近・上陸が事実上禁じられています。自国の領土であるにも関わらず、中国への配慮から禁止し、日本人であっても尖閣に上陸すれば不法侵入となるのです。

領土「尖閣」、なぜ上陸だけで処分

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尖閣諸島は民主党の2012年に国有化されましたが、それも、石原慎太郎都知事が東京都で買い上げる考えを示したため、中国との摩擦が高まることを懸念して、「中国を刺激しないように国有化」したわけです。とはいえ、かえって中国の反発を招き、中国国内では激しい反日デモが繰り返され、尖閣周辺では中国公船が大挙して領海侵入を繰り返すようになったのは、皮肉としか言いようがありません。

私はかねがね主張しているように、こうした日本の対中配慮が、現在の中国の巨大化と横暴を育ててしまったと考えています。

3兆6,000億円という日本からの巨額の対中ODAは、中国国民には知らされず、日中友好にはほとんど役に立ちませんでした。その一方で、経済を下支えすることで、中国共産党の独裁強化と中国軍の軍事能力を高めることに寄与してきました。

日本はモンスターを育てたのか―日中国交半世紀に

また、中国の高速鉄道は、日本の技術供与によって作られたにも関わらず、現在では中国は「独自の技術」とうそぶき、国際特許を出願し、海外に売り込んで、いまや日本の高速鉄道の海外売り込みにとって大きな脅威となっています。

自分たちが供与した技術が、自分たちの脅威になるのですから、お人好しもいいところです。JR東海の葛西敬之会長はかつて「中国に最先端技術を売ることは国を売るようなものだ」と危惧し、技術供与に反対していましたが、その通りになっていしまったわけです。

JR東日本&川崎重工「中国の新幹線はJRの技術の盗用」

中国の経済的、軍事的脅威も同様に、日本が育てたようなものです。中国に対する過剰な配慮、「日中友好」という美名に酔って、むしろ日中関係を歪めてしまった政治家、実業家、進歩的文化人が少なくありません。

とりわけ、中国が民主化を求める学生らを弾圧した天安門事件後、日本は西側諸国による共同制裁を拒否し、天皇訪中まで行って中国の国際社会への復帰を手助けしてしまったことは、そうした成功体験に味をしめた中国共産党による、現在のウイグルやチベット、香港などに対する弾圧、人権軽視にもつながっているといって過言ではないでしょう。

「天安門」外交文書 脅威育てた失策の反省を

そしてこうして日本が中国の脅威を増大させてきたことは、中国の脅威にさらされる周辺国にとっても非常に迷惑なことなのです。

一方、じつは、これまで中国による台湾の侵略を阻止することにも、日本人は大きく貢献しています。

1949年、国共内戦で劣勢になった国民党軍は台湾に逃れましたが、さらに中国共産党に攻め込まれそうになった際、蒋介石は旧日本軍の根本博中将に密使を送り、国民党軍の軍事顧問になってくれるように懇願しました。根本中将はこの求めに応じて密かに台湾に渡り、軍事作戦を指導。金門島をめぐる作戦で中国共産党軍を退け、中国共産党による台湾統一を断念させたのです。

続・張家口からの脱出~台湾の窮地を救った元日本軍司令官・根本博

このような歴史も踏まえれば、今回の麻生元首相の発言は「軽率」でも「挑発的」でもなく、ごく当たり前のことを言ったに過ぎません。もともと「戦争を起こさないことが重要だ」とも発言しており、戦争を煽っているわけでもありません。

メディアも野党も、切り取りであたかも問題であるかのように騒ぎ立てるのは、またもや中国を利するだけで、むしろ中国の増長と脅威を高めてしまうことに気づくべきです。

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