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GI値の落とし穴?糖尿病患者にとって最も大切なのは糖質の「絶対量」だった

糖質はすべて同じではありませんが、糖尿病の人にとっては結果は似てくるものなのかもしれません。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生は、糖尿病患者が知っておきたい「炭水化物の構成や分類、糖質の種類ごとの血糖値への影響」を解説しています。

多糖類のご飯やパンは分解と吸収に時間がかかる?

今回は炭水化物と糖質のお話です。

炭水化物=糖質+食物繊維

食物繊維は血糖をあげません。

ほとんどの糖質は血糖を上げます。

炭水化物や糖質や食物繊維に関して、以下が健康増進法における定義です。

健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は【エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム】の五成分表示とされています。

「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。

栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも属さないものは炭水化物に分類されます。

  1. 炭水化物=糖質+食物繊維
  2. 糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
  3. 糖類=単糖類+二糖類

*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*三糖類以上

  1. オリゴ糖:単糖類が3-20分子縮合して1分子になったもの
  2. 多糖類:単糖類、数百-数千分子が縮合して1分子になったもの(でんぷん、デキストリンなど)

*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム

糖質に分類されるなかで、エリスリトールと合成甘味料は血糖を上げません。

オリゴ糖の中では、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)は、血糖値とインスリン値にほとんど影響を与えません。

ブドウ糖を摂取すると速やかに急激に血糖値が上がります。

同じ糖質でも多糖類のご飯やパンはまず単糖にまで細かく分解されないと体に吸収されません。

その分解(消化)と吸収に少し時間がかかります。

そのため血糖値の上昇はブドウ糖と比べてゆっくり進み、それほど高くなりません。

GIは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことです。

つまり、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までに血液中に入る糖質の量を計ったものです。

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GIは、特に1990年代に脚光を浴びはじめ、2003年にWHOから「過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを、低GI食品が低減させる可能性がある」というレポートが出されました。

低GI食品は、現代人に急増しつつある肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善の観点からも、注目されています。

糖尿人だと、多糖類のご飯やパンでも速やかに血糖値が上昇します。

単糖のブドウ糖とほとんど変わりません。

例えば、2型糖尿人の私が、ご飯を一膳食べれば、1時間値は200mg/dlを軽く超えます。

比較的GIの高い胚芽米を一膳食べると、私の食後1時間血糖値は、240mg/dlくらいまで上昇します。

比較的GIの低い玄米なら、食後1時間血糖値は220mg/dlくらいですが、差は小さいし、所詮200mg/dlを超えているので、動脈硬化への害はほぼ一緒です。

つまり糖尿人にとって、GIは意味がありません。

以下は米国糖尿病学会が糖尿病患者用のテキストブックとして出版している書物に記載してある表です。

これは、糖尿人にも健常人にも適応されます。

でんぷんが、血糖に与える影響は、「大きい、速い」と明記されています。

でんぷんは多糖類です。

糖尿人にとっては、単糖類だ、多糖類だという分類は役に立ちません。

糖尿人は糖質の絶対量をカウントすることが優先順位の一番です。

食物グループ中の栄養素  米国糖尿病学会

食物グループ / 血糖に与える影響 / 血糖に与える影響の速度

● Life With Diabetes A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center 2004

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image by: Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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