今後もさらなる進化を続け、それなしでは仕事も生活も立ち行かなくなるほどの存在となりうる生成AI。そんな時代を生き抜くためには「AIの博士号取得」が成功への近道のように考えてしまいがちですが、まったく逆の見方もあるようです。7月に新創刊されたメールマガジン『友村晋の「読むだけで年収が変わる!?」週刊メルマガ』の著者で、16万人超のフォロワーを誇る公式YouTube「2030年の未来予測チャンネル」を運営するフューチャリスト(未来予測士)の友村晋さんは今回、グーグルの生成AIチームの立ち上げメンバーだったジャド・タリフィ氏の刮目すべき発言を紹介。さらにAI社会に生きる人間に求められる要素を考察・解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:生成AIで「資格」は陳腐化し、「実績」はさらに輝く
まだ資格取る勉強してるの?生成AI時代に成功するため求められるもの
今日のコラムを書くにあたって僕が参考にした海外ニュース記事はコチラです↓
【タイトル】AIでお金を稼ぐために「AIの博士号」を取るのは、もはや無駄!?
【要約】
- グーグルにいたタリフィ氏は、博士号を金儲け目的で取得するのはもう遅すぎると主張
- 急速に変化する現代では、大学院よりも社会で経験を積む方がはるかに速く成長できる
- AI時代に本当に必要なのは、理工系知識よりも共感力や社会的スキル
- 感情的な調和や優れた審美眼など、人間にしかない感性がAI活用には欠かせない
- 低レベルのプログラミングや雑務はAIに任せ、より高度で創造的な領域に挑む必要がある
生成AIで「資格」は陳腐化し、「実績」はさらに輝く
ここから先が、今日のメインコラムです↓
今日取り上げたニュース記事の中で、タリフィ氏は、
「変化が激しいAI分野では、博士号を取得するのに5年かけたとしても、取得した頃には、取得するために勉強した内容が古くなっているので時間の無駄になる可能性がある」
と言っています。タリフィ氏自身も博士号を取得し、さらにグーグルの生成AIチームの立ち上げメンバーだったので、説得力は申し分ありません。
このニュース記事を読んで僕が感じたのは、これは博士号だけの話ではなく、資格優位社会である日本にとって大きなインパクトのある未来予測だなと感じました。
と言うのも、これからあらゆる資格が陳腐化していく可能性が高いと思ったからです。
ただし「国家資格」は除きます。
国家資格…「この仕事はこの資格を持つ人でなければできない」と国が法律で決めている資格のこと。例)医師、弁護士、美容師など。
国家資格ではない一般的な資格は、この記事内で、タリフィ氏が博士号に対して言ったことがそのまま当てはまると感じました。
なぜなら、何かの資格を取得するとき、その試験内容は「過去に定められた範囲の正解」を測るものがほとんどだからです。
つまり、変化の激しい社会では、その資格を勉強してやっと合格発表の通知を受け取ること頃には、その勉強した内容が、AI社会の変化の激しさゆえに、古くなっていた!!!ということが起きやすくなります。
そうするとその資格にも実質的な価値はありません。
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企業側はどのように即戦力があるか否かを見抜くか
日本は、欧米型の実績優位社会と違い、資格優位社会と言ってもいいかもしれませんが、これからますます資格の優位性は無くなり陳腐化していき、欧米型の実績優位社会になるでしょう。
つまり、資格が大事!肩書が大事!という日本の空気感が、薄くなっていくと思うんです。
例えば、いくら資格が大好きな日本人でも、生成AIがますます進化しAIエージェントが企業内でタスクを自動的にこなすようになれば、
「エクセル上級者の資格をもっています」
「簿記2級の資格をもっています」
「マーケティングの資格をもっています」
「プロジェクトマネジメントの資格をもっています」
と言ったところで、その資格を使って行う仕事そのものをAIがやってくれたら、資格が陳腐化するどころか、そもそも資格の価値がゼロになってしまいます。
いや、もっとひどい言い方をすると、生成AI社会で時代遅れになることが明白な資格を今現在勉強していることを他人に知られたら、「資格取得のために勉強して努力家だね!」と思われず、「もうすぐ時代遅れになることが明白な資格を勉強しているなんて、本当に時代を読めないヤツだな…」と思われる可能性すらあります!
※ 皆さんに資格を与える認証団体側は、あの手この手を使って、「生成AI社会でも役に立ちますよ!」と言ってきますので騙されないようにしてください。
AI社会は1年で市場が激変します。そんな社会で求めらるのは
「即戦力」
この一言につきます。
では雇う側はどうやって即戦力を見抜くかというと、
- 実績
- 人柄
しか判断基準がありません。
そう考えると、以前フィンランドの学校を訪問した際に、校長先生が言っていたことを思い出しました。
「この国(フィンランド)では学歴という言葉が存在しない。就職の面接官は、卒業した大学名には興味は無くて、いまどんな能力をもっているか聞いてくる」
と言っていました。
- 何もかもが変化する時代
- 学んだ内容がすぐに古くなり陳腐化する時代
- あらゆるタスクが生成AIで可能になる時代
確かにそんな時代に、「僕はこんな資格を取得しています!」と言っても、「その資格を使う仕事は、AIを使えばド素人でもできるから!」と言われちゃいそうですね。
だからこそ、「僕はこんな実績があります」と言える人の方が価値が高くなるでしょう。
皆さんは、ご自分の実績を、同僚やクライアントにちゃんとアピールできていますか?
「この業界はね~、実績がモノを言う業界だから…」なんてかっこいいセリフをどこかで聞いたことあるかもしれませんが、実際は、全部の業界です!(笑)。
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人柄もますます大事になる!
前回のメルマガ、「vol.005 生成AIを使わないビジネスマンに訪れる地獄の未来」はご覧いただきましたか?
【関連】まだChatGPTを使わぬビジネスマンに訪れる地獄の未来。「AIに自分の仕事が奪われない自信」がある人ほど危ない現実
このメルマガの中で、けんすう氏が「性格の悪い人は淘汰されていく」と言ったことについて言及しましたが、これもまさに人柄について語っていますね!
そして、実は今回のニュース記事の中でもタリフィ氏は以下のように言っています。
Tarifi said people who want to thrive in the age of AI should develop social skills and empathy. This is because while the hard sciences can be learned, expertise at prompting and using AI involves “emotional attunement” and “good taste.”
<翻訳>
タリフィ氏は、AI時代に成功したいのであれば、社会的スキルと共感力を身につけるべきだと指摘した。なぜなら、理工系は学ぶことができる分野であるのに対し、AIを使いこなすには「感情的な調和」と「優れた審美眼」が必要になるからだ。
未来を見据えたとても深い金言だと思います。
仕事をする上での審美眼を磨こう
審美眼(しんびがん)とは、美を的確に見極める能力のことです。これだけ変化が激しい社会では、仕事に対する美意識が大事になります。その理由は、変化の激しさに耐え切れず、僕たちは時々、
- 自分の仕事はいまどこに向かっているのか?
- 自分の仕事は世の中の誰の役に立っているのか?
- 自分が頑張ってやっと取得した資格はいったいなんだったのか?
- 自分の仕事はお金のためだけにやっているのか?
- いまの上司は、自分がなりたい未来の姿なのか?
- あれ?そもそも自分はなぜ働いているのか?
このような自問自答をして精神的に苦しむ機会が増えるかもしれません。
そんなときに、今挙げた正解のない問いに対して、
「俺はこう思う!」
「俺の仕事スタイルはこれだ!」
「俺はこんな仲間としか一緒に仕事しないと決めている!」
と自分なりの美意識をもって仕事をしている人は輝いて見えます。
ぜひ今日のメルマガを読んで、「よし!自分なりの仕事をするときの美意識・ポリシーを磨こう!」と思った方は、ぜひこの本を読んでみてください。――(メルマガ『友村晋の「読むだけで年収が変わる!?」週刊メルマガ』より一部抜粋。友村さんが「ぜひこの本を読んでみてください」という「この本」の書名を含む全文をお読みになりたい方は、ぜひこの機会にご登録の上、8月分のバックナンバーをお求め下さい)
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