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NTTドコモが「独り負け」の厳しい状況に。「引き分け」たKDDI、「勝利」はソフトバンクのナゼ?

携帯キャリア大手の決算会見がおこなわれた先週、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、これら企業の会見に足を運んで全体的な傾向を掴んだようです。今回のメルマガで、NTTドコモが「独り負け」と書いた理由とは一体何なのでしょうか?

NTTドコモが「独り負け」KDDIとソフトバンクは「数より質」に転換へ

先週、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの順で決算会見が行われた。

全体的な傾向をザックリ語ると「NTTドコモ独り負け、KDDIは引き分け、ソフトバンク勝利」と言ったところだろう。

要は「値上げプランを発表したところは悲喜こもごも、値上げを先送りしているところが勝った」と言える。

NTTドコモはかなり厳しい状況にある。決算資料にも「これまでになく競争は激化した」とわざわざ書いてあるほどで、思わず質疑応答で突っ込んでしまった。

モバイル通信サービスの収入減が221億円、販促強化の費用増が551億円、ネットワーク強靱化の費用増が148億円と増えており、営業利益を下げる要因となっている。

値上げの影響かMNPでも9月はマイナスになったようだ。10月には持ち替えしているようだが厳しい。他社の攻勢に加えて、ネットワーク品質低下による顧客流出も認められた。

ハンドセット契約数は今年3~6月期に比べて9.2万契約も減少している。ネットワーク品質に嫌気が指したユーザーが流出する一方、多額の販促費をかけてユーザーを獲得している様子がうかがえる。

一方、KDDIもスマートフォン稼働数で見ると、今年6月末に比べて、9月末は2.2万契約しか増えていない。昨年同時期は12万契約増えていたため、獲得成長が鈍化しているのがよくわかる。

ただ、KDDIで注目すべきはARPUで6月末に比べて120円増えている。すべてのプランで一斉値上げしている効果が如実に出ているというわけだ。

また、解約率が1.21%に抑えられたのも注目だろう。

契約者数を減らすことなく、ARPUを大幅に上げられたのは大したものかもしれない。

「今回の値上げ、ユーザーに反発されることなく上手く乗り切ったのか」と松田浩路社長に尋ねたところ「サービス改定でしっかりとこれまで価値作りをしてきた。過去における投資が今のネットワーク品質につながり、しっかりワークしている。Starlinkや5G Fast Laneなどが価値として受け入れられていると認識している」とコメントした。

そんななか、この決算で勝利したと思えるのがソフトバンクだ。

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なぜ、ソフトバンクは決算で「勝利」したのか?

コンシューマー事業は3309億円で3%の増益。スマートフォン契約者数はQ1と比べて10.8万件、増えた。

宮川潤一社長は「好調というところまではまだまだ行っていないが守り切った。純増数もある程度確保し、売上も伸びている」と自信を見せた。

ただ、松田社長、宮川社長とも顧客の数から質に舵を切り始めた印象だ。

松田社長は「他社の過熱気味な販促費を使う形の競争に真っ向勝負している意識はない。販促費を多額にかけるところから、構造改革で一歩引いた」としている。

また宮川社長も「獲得の数にこだわっても、あまり意味はない。継続する期間が長いユーザーが大事であり、その方々にお金をかけるべきじゃないかと考えている」とした。

もちろん、現場レベルではわかりやすい「新規契約者数」が重視されるのだろうが、経営レベルでは新規獲得よりも「いかに光回線やクレジットカードをセットにして長く契約してもらうか」という視点を重視しつつあるようだ。

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image by: beeboys / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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