MAG2 NEWS MENU

夜に一番「脂肪が燃えている」理由は?睡眠中の代謝メカニズムを現役医師が徹底解説

現代では「脂肪燃焼=運動」と考えられがちですが、人類700万年の歴史をたどれば、空腹時や夜間に脂肪をエネルギー源として活用することは、ごく自然な代謝の仕組みでした。しかし、夜食や不規則な食習慣によってこの本来の流れが乱れると、脂肪燃焼は一気にストップし、逆に太りやすい体へ傾いてしまうこともあります。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生が今回紹介するのは、「夜間睡眠時に身体で何が起きているのか」そして「空腹時間の長さと脂肪燃焼がどう関係するのか」を、代謝の仕組みからわかりやすく紐解いていきます。

夜間睡眠時の脂肪燃焼

糖質を普通に摂取している人でも、食物摂取開始後数時間経過した空腹時には、基本的に脂肪が燃えて、血糖値確保のために肝臓や腎臓では糖新生が行われます。

そしてこの時間帯は、心筋や骨格筋などほとんどの体細胞の主要なエネルギー源は、「脂肪酸-ケトン体」です。

従って、人類700万年の歴史で、狩猟・採集時代も農耕時代も空腹時や睡眠時は、脂肪が燃えてエネルギー源となり、糖新生も普通に行っているわけです。

つまり、700万年間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムも、「ブドウ糖-グリコーゲン」エネルギーシステムも、日常的に普通に毎日、エネルギー源として利用しているのです。

赤血球は、ミトコンドリアをもっていないので、ブドウ糖しかエネルギー源に利用できません。

空腹時や夜間の糖新生は、もっぱら赤血球のためと言えます。

昼間の空腹時でも脂肪は燃えますが、夕食から睡眠時の絶食時間は一番長いです。

糖質のある夕食を午後6時頃食べて、午後11-12時に就寝なら、夜中は、しっかり脂肪が燃えて肝臓では糖新生がおこなわれています。

そして、朝食抜きのスーパー糖質制限食で、昼と夜の一日2食なら、約17時間くらいは絶食時間が持続して、その間は脂肪が燃え続けて、血中総ケトン体値も400-800-1200μM/ml等と上昇し、基準値(26-122μmoL/L)の数倍から10倍くらいとなります。

糖新生するためのエネルギー源は、脂肪の燃焼から得られるので、糖質摂取後、数時間経って眠るなら、睡眠中に脂肪が燃えてくれるので肥満には繋がらないのです。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

初月無料で読む

[next_linktitle=”夜食にラーメンを食べると…?”]

しかし、夜食として午後9時から10時にラーメンなどを食べたら、血糖値が上昇してしまいます。

そうすると夜間は上昇した血糖は脳でも筋肉でも使われないので、血糖を下げるため、インスリンが大量に分泌されて脂肪分解を邪魔します。

本来脂肪が燃えて、肝臓で糖新生する時間帯の夜中に、インスリンが血糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄積する方向に向かいますので太りやすいのです。

スーパー糖質制限食なら、食事中も含めて常に脂肪が燃えていますが、空腹時間が連続して長いほど、よりしっかり燃えることになります。

糖新生も空腹時間中は、摂食時より多めに行われます。

例えば絶食療法(断食)の初期は、数日目で血中のケトン体が3000-4000μM/L(26-122)くらいに上昇します。

血中ケトン体が高値ということは、それだけ脂肪が燃えている証拠です。

絶食療法で一定期間が経過すると、血中のケトン体はあるていど下がって安定します。

2002年から2025年現在までスーパー糖質制限食実践中の私の早朝空腹時の血中ケトン体は、400-1200μM/mlくらいの範囲で経過しています。

この状態で絶食を続ければ、血中ケトン体は一旦3000-4000μM/mlになると思います。

要するに空腹時間(絶食時間)が長いほど、脂肪の分解は高まり血中ケトン体も上昇します。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

初月無料で読む

imageby:Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ 』

【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け