世の中がイルミネーションに包まれ、恋人たちが予定を合わせ始めるころ。実はその裏側で、「一年で一番忙しくなる仕事」も存在しているのです。それが、探偵業。現役探偵の後藤啓佑さんは、自身のメルマガ『探偵の視点』で、今回は、探偵歴15年の中でも、今なお鮮明に思い出す「一番辛かったクリスマスイブの張り込み」について語っています。
一番辛かったクリスマス
いよいよクリスマスシーズン真っ只中に入っていきますが、一年365日の中で、探偵業における最大の繁忙期は、おそらく12月20日から12月26日あたりまでの1週間だと思います。
探偵になってから約15年、毎年クリスマスは仕事をしてきましたがどの年においても、この「24日を起点とした1週間」は、間違いなく探偵業の繁忙期です。
年間の案件のうち半分ほどは企業向けの調査ですが、この時期に限っては8割~9割、年によってはほぼ100%が浮気調査になります。
そんな中でも、今回は強く記憶に残っている「一番辛かったクリスマス」をお伝えします!
探偵の調査というのは、時間の8割~9割が張り込みです。
そしてこのシーズンは当然、真冬!
地域によっては雪も降り、張り込みが一年で最も過酷な時期でもあります。
とにかく、めちゃくちゃ寒い。
今でこそ、ハイブリッド車でエンジンを切らずに静かに張り込めたり、大容量バッテリーで電気ストーブを使えたりと、寒さ対策の選択肢も増えました。
しかし、僕が現場にバリバリ出ていた10年ほど前は、安いガソリン車が当たり前で経費も限られていたため、電気ストーブを持ち込むという発想すらありませんでした。
ただ寒い中、ひたすら「そこにいなければならない」。それが張り込みでした。
しかも、張り込みは必ずしも車の中でできるとは限りません。
特に都内では、外で立ったまま張り込むケースも少なくありません。。。
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
一番辛かったのは、12月24日、クリスマスイブの浮気調査です。
対象者は旦那さん。
銀座のクラブのママと浮気をしている可能性が高い、という案件でした。
夕方から対象者を張り込み、予想通り17~18時頃、旦那さんは会社を出て銀座の高級居酒屋へ。
2時間ほど滞在した後、女性と二人で店を出て、そのまま女性の店と思われるクラブへ向かいました。
そのクラブ周辺は、車を停められないエリア。
当然、立ったままの張り込みです。
そして、記憶が少し曖昧ですが、確かこの時、雪のようなものが降ってきました。
気温は一桁、下手をすれば氷点下に近い中、黒服の方々に睨まれながら、ビルのエントランス付近に立ち続ける。。。。
当時の僕は24~25歳。
正直、「クリスマスは女の子と過ごしたい」そんな気持ちも強くありました(笑)
「俺は一体、何をやっているんだろう」
そんな考えが、寒さと一緒に何度も頭をよぎりました。
ただ、24日は繁忙期。
「彼女を優先して24日に休む探偵」という選択肢は、この世界には存在しません。
そこから3~4時間張り込みを続け、最終的に二人が出てきて、マンションへ入っていくところを確認。
そのマンションは、おそらく愛人用に借りられていたものだと推測されました。
そこからさらに、朝まで張り込み。。。二人が出てくるのを待ち続けました。
結果として
デートシーン
マンションへの出入り
ツーショット写真
など、必要な証拠はすべて押さえることができ、調査としては非常に良い結果となりました。
ただ、クリスマスイブの冬空、雪の中での張り込みは、同じ1分でも、何倍にも長く感じられたのを今でも覚えています。
たしか、結果的には合計10時間は外で張りこんでいました。。。
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