戦争認識や靖国神社参拝といった歴史的・象徴的テーマは、その人物がどのような価値観のもとで政治を行おうとしているのかを如実に示すことになり得ます。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では辛口評論家として知られる佐高信さんが、高市氏の言動と、それを支持する勢力の性質を手がかりに、日本政治における歴史認識、右翼性、そして「腐敗をどう糾弾するか」について語っています。
高市を支持する人たち
高市早苗が、テレビ朝日の『サンデープロジェクト』で田原総一朗から、「満州事変以後の戦争は、日本にとって自存自衛の戦争だと思うか」と尋ねられ、「少なくとも私はセキュリティのための戦争だと考えている」と答えたのは、 2002年8月18日の放送でだった。
侵略戦争であることを否定したわけである。それで田原が批判した。
「あれは明らかに侵略戦争ですよ。
あんなのを自存自衛というのは、あんた無知だよ。
そんなのが国会議員をやっているのはおかしい。
こういう幼稚な人が、下品な言葉で靖国、靖国って言うから、
日本中の下品な人間、憎らしい顔の人が集まっているんだ」
田原の言葉の激しさはともかく、あの戦争が侵略戦争だったことは、保守の細川護煕でさえ認めている。
だから、靖国参拝を続けた高市が異常なのである。
しかし、一応、田原は翌日、高市に詫びる。
「下品という表現は申し訳なかった。高市さん個人のことを言ったのではなく、国会議員が集団で靖国神社に参拝することは良いと思わないし、今日も右翼から電話があったが、靖国に参拝される方のなかに下品な人が多いということを言いたかった」
ともあれ、高市を支持する勢力に「右翼」がいることは否めない。
小泉純一郎も靖国参拝にこだわったが、小泉もまた右翼を元気づけた。
しかし、韓国や中国との関係を含めて、それは著しく日本の経済や外交を歪めたのである。
私は小泉を純一郎ではなく、単純一郎だと皮肉ったが、高市もまた単純極まりない。
高市は国会議員になってから、父親に次のようにきつく注意されたらしいが、それはまったく効いていない。
「お前は、自分と違った意見を持った相手に対して、ストレートにものを言いすぎる。アメリカ流の交渉術を日本に持ち込むのはやめなさい」
半世紀を超える付き合いの田原とは私は何度もケンカをし、時評集に『田原総一朗よ驕るなかれ─佐高信の政経外科』(毎日新聞出版)という題名をつけたりもした。
しかし、田原の指摘する
「腐敗は糾弾されなければならないけれども、腐敗する自由のない国はダメだ」
というのはその通りだろう。
靖国参拝を続ける高市と右翼は、腐敗する自由を封じ込めようとする。
裏金議員も公認した高市は腐敗の糾弾をやめたという意味では右翼以下かもしれない。
また、高市と統一教会の関係が不問に付されているが、統一教会は日本の戦争を侵略戦争とし、日本の信者からカネを巻き上げてきた。
ならば、高市はその統一教会をこそ厳しく糾弾しなければならないだろう。
田原に反論する前に、まず統一教会を糾弾しなければならないと思うが、高市も支持者もそれについては素通りである。
この記事の著者・佐高信さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com