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「国家情報局設置法案」に残る大きな疑問。“雑多な情報収集”から“戦略情報分析”への転換という絶望

国家の命運を左右しかねない「インテリジェンス」の重要性。しかし我が国では、その本質的な意味や役割について十分な議論が尽くされないまま、新たな情報機関創設へ向けた動きが進んでいます。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、内閣情報調査室を格上げする「国家情報局」設置法案を取り上げ、日本に欠け続けてきた「戦略情報分析」の視点を検証。さらに戦前の「内閣情報局」や「企画院」の歴史も振り返りつつ、日本社会に根深く残る「インフォメーション偏重」とも言うべき問題と、本当の意味でのインテリジェンス能力を育めない構造について論考しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:「国家情報局」設置法案が簡単に衆議院を通過したが、こんな役所に国の生き死にを賭けた戦略判断を委ねられる訳がないだろうに!

プロフィール高野孟たかのはじめ

1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

「国家情報局」設置法案が簡単に衆議院を通過したが、こんな役所に国の生き死にを賭けた戦略判断を委ねられる訳がないだろうに!

高市早苗首相の言う「国論を二分する重要施策」の第1弾として、内閣情報調査室を格上げして「国家情報局」とし、それを首相以下関係閣僚が統括する「国家情報会議」を新設するという法案が、4月23日衆議院を通過した。

中道改革連合はじめ国民民主党、参政党、チームみらいなども賛成したので、参院でも通過し7月にもこの体制づくりが始まる公算が大きくなっている。

しかし、既存の役所の組織をいじくって看板を掛け替えさせ、同じ人材を流用しただけで、我が政府機関に「雑多情報収集(information gathering)」から「戦略情報分析(intelligence analysis)」への質的転換が生じるなどということがある訳がない。

何よりも、そもそもこの法案を作った国会議員の皆様方に、本当の意味のインテリジェンスの素質が備わっているのかどうか。まずはそこから議論が始まらなければお話にならない。

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インフォメーションとインテリジェンス

実を申せば、私は2002年に早稲田大学で田原総一朗を座長に始まった全学部学生対象の「大隈塾」授業に参画し、その翌年から13年間、同塾の一般授業を履修した者の中から毎年数十名を選抜する高野ゼミを担当したが、そのゼミのテーマが「インテリジェンスの技法」だった。毎年、4月の第1回目の授業では次のようなことを語った。

▼まず考えてもらいたいのは、日本語では同じ「情報」という翻訳が付いてしまうが、インフォメーションとインテリジェンスの違いである。辞書で引くと、インフォメーションは情報、報道、受付、案内所などであるのに対し、インテリジェンスは知能、知性、理知などが前に出てくるが、情報も必ず訳語として加えられている。つまり、日本語ではこの両者の区別が付きにくい。

▼例えば米国の国家機関にCIAがあって、これはCentral Intelligence Agencyで、「中央情報局」と訳されるが、これは本当は「中央諜報局」と訳した方が実態に近い。逆にこの場合に英語では「Central Information Agency」と言うことは不可能である。さらに逆を言うと、駅やデパートの案内所、会社の玄関の受付などは、「はい、女性用のファッションは3階です」とか「トイレは2階のエスカレーターを上がって左に行った所です」とか、公開されている情報を要領よく伝えるだけなので、こういう場合に「Intelligence Center」と言うことは不可能である。

▼以上を概念的に分かりやすく整理すると、こうなると言って図を配布した。この左側から右側へと変換するプロセスがインテリジェンス作業であり、その成果物がインテリジェンスである。

 インフォメーション → インテリジェンス
  第1次情報        第2次情報
  事実情報        意味情報
  知識          知恵
  物知り         決断
  量(の多さ)        質(の高さ)
  集める         捨てる

▼インフォメーションは「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)」などの第1次的な事実情報であるのに対し、インテリジェンスは「だからどうしたんだ?」と問いかけ、それが社会にとって一体どういう意味があるのかを考えるよう促す意味情報である。インフォメーションをいくらたくさん集めても物知りにはなるけれども、それだけでは、例えば組織の運営に責任を持つリーダーが状況を判断して何事かを決断して物事を進めていく役には立たない。

▼そこで、インフォメーションは出来るだけ量をたくさん集める必要があるけれども、インテリジェンスの次元になるとむしろ大事なのは、それらを取捨選択し、優先順位を設定し、相互関連を見極めて立体的に組み立て直すといった知的操作を通じて質を高め、「そうか、肝心要はここか!」と煮詰めていくことである。それには我々ジャーナリストが日常使い慣れているいくつものテクニック(技法)があるので、その一端を伝授しよう。

――というのがゼミの趣旨だった。

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学校教育のあり方を変えるのが先では?

日本の教育システムは、ひたすらインフォメーションを詰め込んで、誰もが皆と同じ最低限の知識だけは身につける(例えば極端な話、重要な年号を暗記して受験に備える!)ことを求めるばかりで自分の頭で考えて他の誰も思いつかないような独創的な発想に立ち至ったり、思考が突然変異を起こして飛び跳ねたりすることを推奨していない。

例えは悪いが、巨大鶏肉工場で鶏が身動きも出来ない狭いケージに閉じ込められて配合飼料と成長促進剤と抗生物質を口に押し込まれるようなやり方が、100年も続いてきた。

欧米では、例えば英国の私立学校に息子を通わせた知人から聞いた話だが、ある学年に達すると夏休みに提携先の仏アルザス地方に短期交換留学する制度があり、それに備えて何でもいいから自分でリサーチしてテーマを見つけ、それを持ってアルザスを訪ねなさいと指導される。そのテーマが今までに前例がないユニークなものであったとすると、その生徒は物凄く褒められて英雄扱いさえされるのだという。

もう一つ、米ハーバード大学のビジネス・スクールで教えたことがある教授から聞いた話では、2年間でMBAを取得する修士コースの場合、2年生に上がるスクリーニングで篩い落とされる比率は日本人学生が一番多いという。一流の国立大学を出て一流の官庁や企業に入って将来のリーダーとなることを嘱望されるエリートが派遣されて来ているはずなのに、どうしてなのか。

彼らは詰め込み式のインフォメーション教育は潜り抜けて来ているから、例えば明日の授業のテキストとなる某経済学者の本があるとして、そこにどういうことが書いてあるかを理解し、要領よく頭に叩き込むことは得意なのだが、実際の授業ではいきなり「この先生の学説が正しいとして、これで先週来のNY株価の暴落を説明できると思うか?君の意見はどうだ?」という具合に始まってしまう。

超応用問題のインテリジェントな議論に噛み込んで、少しは気の利いた考えを披露して講師やクラスの仲間を「ホ、ホーッ」と思わせることが出来ないのなら、俯いて聞いているだけということになる。

欧米ではそのように、小中学校の頃から自分なりの見識を築いて人前で堂々と述べることが推奨され、大学、大学院の高等教育ともなれば専らインテリジェンス能力の研鑽に集中する。

日本は今なお文化的にはまるっきり発展途上国なので、大学に入ってさえもまだインフォメーション授業が平気で行われている。そこから何とかしないと、政府機関の部屋の看板を掛け替えただけでインテリジェンスが生まれると思ったら大間違いである。

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直感力 × 想像力 × 論理力

高野ゼミでは、こういう「インテリジェンスの三角形」という自作の図を示し、これを右回りでも左回りでも自由に高速回転させられるように訓練すると、その真ん中にインテリジェンスが宿るようになる、と教えた。

      直感力=体
     するどさ
     ↑↓ ● ↓↑
  想像力=心 → 論理力=頭
  しなやかさ ← たしかさ

論理力は、インフォメーション詰め込み教育の中でもある程度までは鍛えられる。とはいえ、一般的な形式論理学的な静的な思考方法ではダメで、弁証法論理学を学んで動的な思考方法に鍛え直すことが必要になる。

今時は、それこそハーバード大学の「ハーバード・ビジネス・レビュー」という雑誌でも弁証法的思考を身につけることの重要性を強調する特集を組んでいるほどで、本格的にやろうと思えばヘーゲル、マルクスから紐解かなければならないが、まあ差し当たり毛沢東の『矛盾論』を読めば十分だろう。

私どもの若い頃は毛沢東が延安の洞窟で行なった講義録『実践論・矛盾論』が必須の一般教養で、岩波文庫にも国民文庫にも収録されていたが、とっくの昔に絶版となったままなのは残念なことである。

偽物や代用品が横行する世の中でいちばん衰弱が激しいのは直感力で、五感の中でも視覚と聴覚しか使わないという人が増えている。五感がフルに働かなければ「第六感」などひらめくはずもない。これを蘇らせ鍛え直していくには、何によらず「本物」に接することである。

例えば、テレビで見て「いいなあ」と思った人には電話して直接会いに行くとか、月に一度は博物館・美術館に行くとか、あるいはロックでもジャズでもクラシックでも生で聴くコンサートに行くとか、である。

想像力も減退著しい領域で、これは取り敢えず、「歴史的=時間的」と「地理的=空間的」とで想像力を拡張する訓練を始めるしかない。

例えば、インフォメーション教育で与えられる「日本史」像と言えば、縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安……と続くものと決まっているが、それは実は「本土史」、もっと正確には「大和史」の時代区分に過ぎず、沖縄県で昔から使われてきた高校の副読本『琉球・沖縄史』を開くと、最初に「日本史の構造図」が出てきて、「沖縄・先島」=琉球、「本土」=大和、「北海道」=蝦夷地、が日本史を構成する3本柱として同じ太さで描かれていて、ど肝を抜かれる。

しかも面白いことに、与那国島から種子島までの琉球列島と、鹿児島から福島までの大和と、宮城から北海道、歯舞・色丹までの蝦夷地とはそれぞれ約1,000キロで、日本というのは歴史的にも地理的にも対等なその3要素で構成されているというイマジネーションを得ることが出来る。

そういう訳で、日本が本当にインテリジェンスを出来るようになるには、まず学校教育のあり方を途上国型から先進国型に変革することが必要になるが、そもそもインテリジェンスを教えられる教師がほとんどいない悲惨な現状を思えば、50年、100年かかっても難しいのではないかと暗澹たる気分に沈むのである。

世界の「大学」の歴史を振り返れば、ヨーロッパで言う中世はイスラム世界が文明中心で、859年にモロッコのフェスで設立されたカラウィーイーン大学とか、970年にエジプトのカイロに出来たアズハル大学が先駆で、欧州では1088年イタリアのボローニャ大学、1096年のイングランドのオックスフォード大学、1150年のフランスのソルボンヌ大学などが古いが、それらは皆、カイロのアズハル大学をモデルにして作られたと言われている。

日本の最初は、1868年の慶應義塾、77年の東京大学、82年の早稲田大学などで、700~800年のギャップがある訳だから、日本の大学・大学院が本物のインテリジェンス教育の場になるのは50年、100年どころでなく何百年も先のことかも知れず、となると日本の国家が滅びるほうが先かもしれないということになる。

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まずは戦前の「内閣情報局」を総括すべき

そうは言っても、諦めて放っておく訳にもいかないので、「50年、100年かかる」ところを1年でも2年でも短くするために努力したいと国会が思うのであれば、まずは戦前の「内閣情報局」がなぜにあれほど無力で、国の進路を誤らせ破滅に転がり込むのを止められなかったのかを、きちんと総括することから始めたらどうか。

内閣情報局は、昭和6(1931)年9月の満州事変で内外情勢が緊迫する中、政府内の情報・宣伝機能の統一・強化を目的として、昭和7(32)年に外務、陸軍、海軍、文部、内務、通信の6省の情報関係部局の部長級を集めた「情報委員会」が設置されたのが始まり。

これが昭和11(36)年に内閣の公式の機関となり、さらに12年に総理大臣直属の内閣情報部、15年には内閣情報局に、とんとん拍子で昇格・拡充され、「国策遂行の基礎たる事項に関する情報蒐集、報道および啓発宣伝」のほか「新聞等の出版物や放送に関する検閲」に当たることになった。

しかし、各省からの情報を統合すると言いつつ、実際には「陸海軍の軍事情報とその報道はその範囲外に置かれ」たので、「業務の重点は国内の言論・文化・マスコミ統制に置かれることにな」った。

またこの流れの中で、国策的な通信社を設けて国際情報を蒐集すると共に、日本発のニュースを日本語だけでなく中国語、英語、スペイン語、フランス語で放送し、あるいは占領地で新聞を発行するなど、日本の立場を宣伝し国際世論を誘導することに力を注いだ。

この「同盟通信社」は、上記の情報委員会の提言で昭和11(36)年に設立され、終戦時には海外を含め5,500人を擁する大会社となった。戦後、GHQの下、一般通信部門は共同通信社、経済情報部門は時事通信社、通信と宣伝は日本電報通信(電通)となって今日に至っている。

戦前にはこれとは別に、昭和10(35)年に「内閣調査局」が設けられている。首相の直下で重要政策について調査・建議する「内閣審議会」の下部機関で、「各省庁から派遣された文官だけでなく、陸海軍武官や民間人も自由に任用して政策の統合」を図ると言っても、ここでもまた「軍事・外交に関する権限はなく内政面だけに限定され、また各省庁に対する指揮命令権は持たなかった」。

この内閣調査局が昭和12年4月には「企画庁」に、同年10月には企画庁と資源局を統合して「企画院」に大出世を遂げた。

しかしこの流れを推進したのは満州国建設の中心を担った星野直樹(元満州国国務院総務長官=事実上の首相)や岸信介(元同総務庁次長)を筆頭とするいわゆる「革新官僚」グループで、彼らは国家社会主義的な計画経済を実行するための拠点として企画院を拠点にしようとしたが、東條英機(元関東軍参謀長)ら陸軍は同院を「国家総動員政策の総合統制機関」に仕立て上げようとした。

それに対して海軍が、そこまでの強大な権限を与えることに反対して収拾が付かなくなったため、結局は単に「物質動員」計画の事務を担当するだけの地味な存在に成り下がった。

★ 以上の「」で引用した部分のほとんどは秦郁彦『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』(東京大学出版会、1981年刊)による。

内閣情報局は「国策遂行の基礎たる事項に関する情報蒐集」、企画院は「政策の統合」を第一任務と謳っていて、つまりは国家経営の基本となる戦略的判断と国策の決定に必要な選択情報を政治中枢に提供するインテリジェンス機関になろうとしたのだが、前者は「陸海軍の軍事情報とその報道はその範囲外に置かれ」、後者も「軍事・外交に関する権限はない」というのではインテリジェンスなど出来る訳がない。

その反面で軍事政策に関して全権を握った軍部は、戦略的には丸で無知・無能、戦術的には日露戦争の“成功”に引きずられた陸軍の白兵戦至上主義、海軍の艦隊決戦主義など時代遅れの考えにこだわって失敗し続け、日本を破滅させた。

そのことは名著とされる戸部良一他『失敗の本質』(ダイヤモンド社)などで総括されているので繰り返さないが、その根源は、戦略的理性とも言うべきインテリジェンスが、天皇にも内閣にも軍部にも欠落していたというところに行き着くのだろう。

その結果として、軍部は暴走し、天皇と内閣はオロオロするばかりという中で、内閣情報局は「国内の言論・文化・マスコミ統制」、企画院は「物質動員計画の事務」という、軍部に叱られずに済む末端・瑣末な仕事に励むというところにまで堕落した。

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「国家安全保障局」との「屋上屋」への懸念も

今日、「国家情報局」を新設しても、自衛隊が昔の軍部のようにのさばってその活動を歪めるとは全く考えられない。

しかし戦前と同じく、各省から派遣された(そう言っては申し訳ないが)二流人士の寄せ集めで、親元の各省にモノ言えるだけの権限も力量も見識もない中で、相変わらず外交は外務省、防衛は防衛省、金融・経済は財務省と経産省など本省の“専権”であるからして、「お前らが情報をよこせと言うなら出すけれども、お前らが理解できるのはこの辺とこの辺だけじゃないの」と軽んじられて、大した仕事はできないという今までの弊害はこれからも続くのではないか。

その根本原因は、これまでの内閣情報調査室は霞ヶ関では基本的に「警察の出先機関」と見做されていて、実際、歴代の室長はもちろん警察からの出向者だし、シギント(通信傍受諜報)を担当する防衛省情報本部の電波部長には警察出身で内調を経験した者が就くという慣例が長く続いていた。

またヒューミント(スパイの育成・管理を含む人的接触による情報取得)は専ら公安調査庁と警察の公安担当上がりが担当するが、この人たちは日本共産党や後に出てきた過激派など左翼対策しかやったことがなく、今時はほとんど役立たない時代遅れの存在である。

このように「警察の出先機関」と半ば軽蔑的に言われてきた内調の看板を「国家情報局」に格好よく掛け替えたところで、その前歴が消え、能力が向上する訳ではない。

さらに悪いことに、安倍政権で設置された「国家安全保障局」との競合、もしくは「屋上屋を架す」ことになる弊害も始まる前から指摘されている。首相官邸の直下に「国家安全保障会議」があり、ここでは首相と関係閣僚が「外交・防衛の基本方針を策定し、国防の重要事項を審議する」。その事務を担当するのは「国家安全保障局」で、同局は各省庁に対し必要な情報を求める権限を持つ。

さてそこで、これから新設されるインテリジェンス体制も全くこれと同格で並立する形になり、首相官邸の直下に「国家情報会議」があり、ここでは首相と関係閣僚が「情報活動の基本方針を策定し、重要情報の分析評価を行う」。その事務を担当するのが「国家情報局」で、同局は各省庁に対し必要な情報を求める権限を持つ。

となると当然、「外交と防衛は国家安全保障会議・局の専権なので、国家情報会議・局はそれ以外のことを扱え」という話になるはずで、実際、国家安全保障局の初代局長だった外務省出身の谷内正太郎は「権限が重複していることで、2つの組織が一定の競合関係になり、緊張が生じる可能性はある。……屋上屋を架すようなことはあってはならない」(4月16日付東京新聞)、「インテリジェンス機能は新しく組織を作れば強化できる類いのものではない。……5年、10年単位で専門人材を育てる長期的視点も求められる。腰を据えて全体の制度設計をすべきだろう」(毎日新聞4月15日付)と、深い懸念を表明している。

当たり前で、日本で数少ないインテリジェンスが出来るこういう人の意見を拝聴することもなく法案を出した高市首相も、それにホイホイと賛成票を投じた野党も、罪深い。このままこの法案を押し通すのでなく、日本の将来を決するインテリジェンス機能とは何か、それが戦前も戦後も上手く出来ないのはどういう訳なのかのそもそも論からやり直さないと、この国の先行きはますます危なくなる。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年5月4日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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