いくら稼ぐかより、どこに住むか。京都大学などの研究チームが約3900万人分のデータを分析した結果、社会経済的に不利な地域の住民は、恵まれた地域の住民に比べて自殺リスクが約11%高いことが明らかになりました。しかも、このリスク上昇は個人の所得水準にかかわらず生じていたのです。『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、この最新調査の結果を読み解き、「社会的な死」としての自殺と、これからの地域社会のあり方について考えます。
どこに住もうか? 最新の調査結果
いくら稼ぐかより、どこに住むか?
その重要性を示す、調査結果が公表されました。
分析を行ったのは、京都大学や関西医科大学の研究チームです。
これまでの研究で、社会経済的に不利な地域では自殺リスクが高まることは指摘されていたものの、「個人の所得水準が、どう影響しているのか?」は不明でした。
そこで研究チームは、2015年4月~23年3月の全国健康保険協会の被保険者約3,900万人分のデータを収集し、居住地、所得で変動する保険料区分、自殺者数を集めました。さらに、国勢調査のデータ(年齢構成、雇用状況、住居など)から算出した「地理的剥奪指標(地域の貧困の度合い)」を市町村単位で分析。
その結果、「社会経済的に最も不利な地域の住民」は「恵まれた地域の住民」に比べて自殺のリスクが約11%高かったことがわかりました。
最大の発見は「所得の高いグループであっても低いグループであっても、同じ程度にリスクが上昇していた」点です。つまり、個人の所得水準にかかわらず、暮らす地域の社会経済的環境そのものが、自殺リスクを左右している可能性が示唆されたのです。
残念ながら今回の分析では、「地域の社会経済的な要素のうち、何が、どれくらい影響しているか」はわかっていません。しかし、自殺は単なる個人の問題ではなく、社会的な孤立や経済的困窮、雇用環境の悪化などが複雑に絡み合った「社会的な死」であることが、逆説的に証明されたと言っても過言ではないでしょう。
個人の所得の多寡にかかわらず、地域社会が豊かになるには、何が必要なのか?
地域社会の豊かさを、すべての人たちへ行き渡らせ、分かち合うためにはどうしたらいいのか?
行政はインフラやセーフティネットの整備をどう見直し、私たち一人ひとりはどう支え合うべきか。共助の重要性が、地域社会のあり方を根本から問い直す時が来ているのかもしれません。
調査の続編が公表されたら、また取り上げますね。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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