クリエイターの発信を支える「まぐまぐ」の提供でお送りする新番組『Why So Good?』。毎週、プロフェッショナルや経営者をゲストに迎え、「何をやっているか」ではなく「なぜそれに至ったのか」──成功の裏側にある思考を紐解く30分番組だ。
MC・コメンテーターを務めるのは、元日本マイクロソフト業務執行役員で、これまで800社超の働き方改革を支援してきた株式会社クロスリバー代表・越川慎司氏。アシスタントMCは上條美沙子。今回のゲストは、不動産と金融の融合をビジネスドメインに、不動産会社を中心とするクライアントへ専門的なコンサルティングを提供する澤田コンサルティング事務所 代表・澤田聖陽氏だ。
AIの普及により、情報提供型のコンサルティングは淘汰されていく──。証券会社の代表を経てコンサルタントへ転身した異色の経歴を持つ澤田氏が提唱するのは、経営者と一緒に会社を経営する「伴走型」のコンサルだ。社員には言えない社長の悩みを受け止め、時には社員が言いにくいことも率直に伝える。「コンサルを超えるコンサル」とは何か。自らも2つのコンサルティング会社を経営する越川氏が、同業だからこそ聞ける本音に迫った。
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澤田聖陽のグッド──「コンサルを超えるコンサル」
上條:本日のゲストは、澤田コンサルティング事務所 代表の澤田聖陽さんです。主に不動産と金融の融合をビジネスドメインとされており、不動産会社や不動産関係のクライアントを中心に、専門的な知見に基づくコンサルティングを提供されています。
越川:プロフィールを聞くだけでも興味津々ですね。僕も小さいコンサルティング会社を2つ経営していますので、コンサル業の得なところも難しいところもよく知っています。今日は腹を割ってお話ししたい。まず、この番組は「Why So Good?」ですので、澤田さんがリスナーに最も届けたいグッドなポイントを教えていただけますか。
澤田:はい。今回ご紹介する私のグッドは、「コンサルを超えるコンサル」です。
越川:お、コンサルはAI時代に必要か、という議論の中で。超えちゃうんですね、コンサルを。
澤田:コンサルを超えないと、コンサルは生き残れないと思っています。
越川:面白い。もう少し詳しく教えてもらえますか。
澤田:コンサルティング事業はかなり幅が広く、極端な話、パソコンと電話があれば誰でもできる仕事です。ただ、本当に企業のためになるコンサルができる人は、かなり少ないのが現状です。しかもAIの普及によって、いわゆる情報提供的な”単なるコンサル”は淘汰されていくと言われていますし、私もそう思っています。定義するのは難しいのですが、私の考える「コンサルを超えるコンサル」とは、経営者と一緒に会社を経営するようなコンサル。伴走型が、コンサルの中では一番生き残れるのではないかと思っています。
コンサルであり、カウンセラー──「社長を裸の王様にしない」
越川:経営者と同じ目線で、事業をいかに良くしていくかを総合的に見ている、ということですね。
澤田:コンサルであり、カウンセラーでもある、という立ち位置ですね。誰かに悩みを相談したいというニーズは、いつの時代にもありますから。
越川:経営者は孤独ですからね。今は何かとハラスメントと言われる時代で、社員に強く意見を言うことも難しい。会社や組織の愚痴、社員には言えない悩みを聞くこともあるんですか。
澤田:ありますね。そして、社員が言いにくいようなことも社長に言う、というスタンスでやっています。
越川:僕もコンサルティングで企業に入りますが、一番のコンサルは「嫌われること」だと思っているんです。
澤田:まさにそうだと思います。率直に、社員が言いにくいことも言う。もっと言えば、社長が裸の王様にならないような立ち位置、ということですね。
「社長が、裸の王様にならないための存在でありたい」
越川:ただ、ジレンマもありますよね。社長に好かれた方が契約は更新されやすい。でも、当たり障りのないことを言っていても、経営には何の影響も与えられない。このバランスはどう取っていますか。
澤田:コンサルというビジネスは、端的に言えば「貧すれば鈍する」ビジネスなんです。たくさんお声がけをいただけていれば、一つひとつの会社に対して率直なことが言える。「ここに信頼してもらえないと食べていけない」ではなく、この会社を良くしたいから率直に言いますよ、というスタンスでいられる。その仕事しかない状態だと、どうしても「更新してもらわないと」というせめぎ合いが出てきてしまいます。
越川:コンサル会社を経営していてよく分かります。コンサル側が選択肢をたくさん持っておかないとダメなんですよ。少し偉そうですが、コンサル側が会社を選ぶという気概でやらないと、どうしても相手に合わせてしまう。特に創業社長のお客様だと合わせてしまいがちで、結局「コンサルは何の価値を発揮したの?」と言われてしまう。
澤田:営業しないことが最大の営業、みたいなところはありますね。
AIにできない「感情共有」──何を言うかより、誰が言うか
越川:興味深いのは、経営者が腹を割って悩みを打ち明けるには、相当な関係性が必要だという点です。
澤田:そうですね。いきなり最初から核心に迫るようなことを言うのではなく、まず人間関係を作る。ベタかもしれませんが、一緒に飲みに行くとか。そういうことが、今の時代こそ大事だと思っています。
越川:これですよ、AI時代に必要なコンサルは。AIは情報共有はできても、感情共有ができない。嬉しい、楽しい、悔しいを共有し合える関係性を、飲みの場や一対一の対話で作れるのは人間だけです。同じ答えでも、AIが言った言葉より、感情を共有している澤田さんの言葉を聞こうと思える。
澤田:「誰に言ってほしいか」というのは、確かにありますからね。
越川:何を言うかよりも、誰が言うかが、めちゃくちゃ重要なんですよね。
「AIは情報共有はできても、感情共有はできない」
サラリーマンから証券会社の代表へ──「後悔はないです」
越川:そういう本質を言えるコンサルタントは、なかなかいないと思います。ここに至るターニングポイントはあったんですか。
澤田:私はもともとサラリーマンだったのですが、いろいろとご縁がありまして、投資家の方々からお声がけをいただき、証券会社の代表をすることになりました。そこで培った経営者としての経験は、かなり大きかったと思います。10数年前まではサラリーマンでしたから、最初は会社員の感覚を持ちながらの経営でしたね。
越川:この放送を聴いている方は、会社員の方が多いと思うんです。人間の寿命より会社の寿命の方が短い時代とはいえ、会社員からいきなり証券会社の代表になるのは、相当リスクがあったのではないですか。
澤田:ありましたね。ただ、細かい経緯はいろいろあるのですが、成り行きでそうなった部分もあって。ああいう決断は、勢いみたいなものがないと、なかなかできないのかなと思います。
越川:一番手放したのは「安定」ですよね。
澤田:そうだと思います。ただ、今もサラリーマンの方とお付き合いがありますが、隣の芝生は青く見えるもので、皆さん割と愚痴を言うんですよね。でも私から見ると、サラリーマンは結構恵まれています。
越川:本当にそう思います。特に日本は解雇規制があるので、明日からクビということはまずない。起業して分かるのは、給料日にお金が自動的に入ってくる世界観は、経営者からすると少し羨ましい(笑)。
澤田:経営者は、給料日に会社からお金が出ていきますからね(笑)。
越川:振り返って、そのタイミングで起業したことに後悔はないですか。
澤田:後悔はないです。
越川:すごい。言い切りましたね。
澤田:証券会社の代表をやらせていただいたことが、今につながっていますから。証券会社時代も法人向けの、割とコンサルに近い仕事だったので、そこから自分のコンサルティングへは、わりと自然な流れでした。ただ、独立した後にコロナがあって。企業がなるべく新しいことをやらない時期が半年から1年ほど続いて、あの時期だけは大変でしたね。何より、コロナがいつ終わるのか分からないのが、一番つらかったです。
マイルールは義理人情──「誰かが損をするビジネスはやらない」
越川:この事業を続けていくうえでの、ご自身のマイルールがあれば教えてください。
澤田:私は少し古いかもしれませんが、義理人情を大切にする、というのが一番大事だと思っています。それから、ビジネスで関わった方が、儲けの大小はあっても、それぞれきちんとメリットがあって満足していただける形にすること。誰かが得して、誰かが損するようなビジネスはやりたくない。そこが私の矜持です。
「誰かが得して、誰かが損するビジネスはやらない。それが私の矜持です」
越川:「コンサル」という言葉に嫌悪感を持っている人、全員に聞いてほしいですね。
澤田:コンサルは、割と嫌われていますからね(笑)。
越川:「口を出してお金を取る」とよく言われるんです。でも我々は、課題を解決しないと見返りをいただけない。しかも大手の看板ではなく個人でやるということは、信頼と信用の積み重ねで報酬をいただくということですから。
澤田:本当に、信頼や信用がなくなれば、仕事もなくなります。
越川:僕の感覚では、コンサルが企業に入るとき、従業員の8割はコンサル嫌いです。でも信頼を積み上げられる瞬間が2つあって、1つは、社長にちゃんと正しいことを言っている時。従業員の方から「よく言ってくれた」と評価されるんです。
澤田:社長の代理人のようになってしまうとダメですね。実務をやるのは社員の方々ですから、そこがそっぽを向いてしまうと、結局何も進みません。
越川:もう1つは、成功事例の展開ではなく、逆境と挫折を現場と一緒に乗り越えた瞬間です。環境も条件も違うのだから、他社の成功事例をフレームワークで当てはめてもうまくいかないんですよ。
澤田:まさに私も同じ考えで、「勝ちの法則」は条件がバラバラなんです。でも、いろいろな会社を見ていると、「負けの法則」はほぼ一緒なんですよ。
越川:そう、失敗事例の方が再現性が高い。AIも、成功事例より失敗事例を学ばせた方が精度が上がるんです。
澤田:負けの法則は本当に共通しているのに、残念ながら9割の会社は、そのやってはいけないことをやってしまうんですよね。
越川:(深く頷きすぎて)顎が机にぶつかりました。
上條:危なかったですね(笑)。後半も、澤田さんにたっぷりお話を伺っていきます。
「勝ちの法則はバラバラ。でも、負けの法則はほぼ一緒」
体育会系×コンプライアンス──不動産と金融の”橋渡し役”
越川:プロフィールで興味深いのが「不動産と金融の融合」です。ここに着目した理由は何でしょうか。
澤田:不動産と金融は、非常に近しい業界なんです。不動産はお金を借りなければいけないし、不動産ファンドのような金融商品にもなる。銀行は不動産に融資をするし、証券会社は不動産を金融商品にして売る。それなのに、共通言語で話せていないケースが多くて、間の意思疎通がうまくいかないことがあるんです。
越川:種別が違うんですよね。イメージで言うと、不動産会社さんは鉢巻きを巻いて、成約したらみんなでバンザイして朝まで飲む、ガッツの体育会系。金融機関の方はスーツがパリッとしていて、イエスかノーかをはっきりさせる。僕がルー語を言っても一切笑ってくれないのが金融業界です(笑)。それだと会話が成り立たない。
澤田:そこに間に入れる人間がいると、ビジネスがうまく流れるんです。ただ、それができる人間は結構少ない。だから、その立ち位置が私のビジネスになっている、ということですね。
上條:実際に「そこをやってくれて助かった」というお客様の声もあったんですか。
澤田:おかげさまで、そういうお声もいただいていますし、今もいろいろなお声がけをいただいている状況です。
越川:「入ってください」と言われるのは、不動産会社側ですか、金融機関側ですか。
澤田:9割は不動産会社側ですね。数が圧倒的に多いですから。クライアントは中堅・中小が中心で、独立系で何百店舗ある会社や上場している会社もありますが、いわゆる超大手ではない、というところです。
異例の長期活況、金利上昇──「イケイケ」を止めるのも仕事
越川:不動産会社とひと括りに言っても、悩みは様々だと思います。最近の悩みのトレンドはありますか。
澤田:今の活況がどこまで続くのか、そして金利が上がってきたという環境の大きな変化。経営者の皆さん、悩んでいますね。悩みながらも、走り続けなければいけない業界ではあるのですが。
越川:バブルやリーマンショックを経験してきた経営者は、イケイケドンドンにはなりにくいと思いますが。
澤田:私自身はリーマンショックを経験していますが、今の不動産業界には40代以下の経営者が多いんです。リーマンショックの後に仕事を始めた人たちなので、ああいう経験がない分、イケイケになれてしまうところがある。「それはちょっと怖いよ」とは言うのですが。
越川:それを止めるのが澤田さんなんですね。
澤田:なかなか止まらないんですけどね(笑)。ただ、2012年頃から15年近く続く、異例の長期活況ではありますから。
越川:直近3ヶ月で日経平均が2万円ほど上がっていて、加熱感もありますしね。
澤田:マーケットを30年近く見てきましたが、なかなかこういう相場は見ないですね。
上條:日々いろいろな情報を取り入れながらアドバイスする立場となると、情報収集もすごく大事な部分ですよね。
澤田:情報感度がかなり高くないと、コンサルは成り立たないと思います。生成AIもかなり使いますよ。情報収集だけでなく、ビジネス上でも。ただ、大切にしているのは「100%信じない」ことです。生成AIのアウトプットも、人から聞いたことも、メディアも全部。同じ事象について2つ、3つと見比べると、切り口が違うことがありますから。一つの情報を鵜呑みにしないことが大事だと思っています。
次の一手は「コミュニティ」──掛け算がオンリーワンをつくる
越川:今後、事業で新たにやってみたいことはありますか。
澤田:コンサルは引き続き拡大していきたいですし、もう一つは、コミュニティのようなものを作りたいと思っています。勉強会のような場を作って、その中でコンサルをしながら、個別のご依頼があれば個別にも対応する。自分の田んぼというか、畑というか、そういうものを育てていきたいんです。
越川:その”田んぼ”が、めちゃくちゃユニークだと思うんですよ。不動産だけのコミュニティや勉強会はあっても、澤田さんは証券会社の経営を経験して、金融の視点も持ち、金融機関の支援もしている。証券×金融×不動産を掛け合わせている人は、ほとんどいません。しかも会社員も経験している。掛け算の要素が多い人は、オンリーワンになれるんです。会社員の方々も、目の前の仕事をこなすだけでなく「自分は何を掛け算できるか」という感覚がすごく重要です。そうしたら、澤田さんみたいになれますから。
逆質問「本を出すには?」──越川さんが押した太鼓判
上條:澤田さんから越川さんへの質問もあれば、ぜひ聞いてみましょう。
澤田:越川さんは書籍をたくさん出されていますよね。実はちょうど今、まぐまぐさんからお誘いをいただいて、初めての書籍を出そうかと考えているんです。出版のご苦労や、その後の反響を伺いたいです。
越川:まず反響から言うと、予想外の新規ユーザーが増えます。僕のことを知らない方が、例えば札幌の本屋さんで手に取ってくれる。営業で1時間のアポを取るのも難しい時代に、本なら3〜4時間、自分の考えを聞いてもらえる。新規開拓という意味で非常に効果的です。そして、空気を読まずに言いますが──澤田さんの本は、絶対出ますよ。
澤田:ありがとうございます(笑)。
越川:出版を決めるのは出版社で、その判断基準はズバリ「新規性」と「再現性」なんです。これだけの掛け算は澤田さんにしかできないから、新規性は分かりやすい。そして「あなたが真似たらこうなれる」という再現性を、コンサルティングで実装されている。1冊の本にまとめることは十分できると思います。コミュニティの作り方や膨らませ方も、新規性になります。イノベーションとは、0から1を生み出すことではなく、既存の要素を足し引き掛け算すること。金融と不動産、会社員と経営者──こういう掛け算ができる人が、AI時代に残っていきます。本が出たら、僕も宣伝しますので。
澤田:ありがとうございます。
上條:楽しみにしています。まだまだお話を伺いたいところですが、あっという間にお時間となりました。澤田さん、本日は本当にありがとうございました!
収録後の”アフタートーク”はYouTubeで
本編収録後のアフタートークでは、まぐまぐと進む澤田さんの出版準備の裏側に加え、越川さんの意外な出版デビュー秘話も明かされた。キャンセルになった会議と1本のインタビューから、まさかの講談社デビューへ。そしてコロナ禍に年10冊を書き上げ、『トップ5%社員』が20万部に至るまで──。
さらに、不動産取引に登場する”何十万円の収入印紙”とクラウドサインをめぐる不思議な話、商談中にAIエージェントがトークスクリプトを提案してくれる営業の最前線、AI相手の営業ロールプレイング研修、上條さんの”台本にない質問”まで、本編に劣らず濃度の高いトークが展開されている。
放送後1週間はradikoのタイムフリーで、その後は収録の模様が番組YouTubeでも公開される。本編とあわせて、ぜひチェックしてほしい。
番組概要
- 番組名:Why So Good?
- 放送局:interfm
- 放送日時:毎週木曜25:00~25:30
- 出演:越川慎司氏(株式会社クロスリバー 代表取締役)
上條美沙子氏 - ゲスト出演:澤田聖陽氏(澤田コンサルティング事務所 代表)
- 公式サイト:https://kiyoharu-sawada.com/ - プロデューサー:エダコDX
- ラジオ本編はこちらから https://www.interfm.co.jp/whysogood
interfm(東京:89.7MHz 横浜:76.5 MHz) https://www.interfm.co.jp/ - 番組TikTok(https://www.tiktok.com/@whysogood_radio)
※本記事は、トーク番組「Why So Good?」の放送内容をもとに再構成したものです