復興支援、感謝を歌に=ラグビーW杯開幕日に披露-開催地釜石の小中学生

2019.09.18
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by 時事通信

「ありがとうの手紙」の冒頭部分

「ありがとうの手紙」の冒頭部分

 「ありがとうの言葉だけじゃ この想(おも)いは伝えきれないよ」。ラグビーワールドカップ(W杯)開催地の一つ、岩手県釜石市の小中学生が、東日本大震災の復興支援への感謝の歌「ありがとうの手紙 #Thank You From KAMAISHI」を作った。開幕日の20日に合唱を披露し、感謝の動画も公開する。
 釜石市内の小中学校14校の代表28人から成る「かまいし絆会議」を中心に、2017年から歌の制作を開始。「大切な人への手紙」として全生徒約2000人から歌詞を募り、18年12月に完成した。曲は岩手県内の作曲家が、生徒らと話し合いながら手掛けた。
 歌詞は3番まであり、1番は復興を支援してくれた国内外の人たちへ、2番は仲間や友人へ、3番は家族へのメッセージをつづった。14校の全生徒は、W杯を機に世界への感謝を伝えるため、合唱の練習を重ねてきた。


横断幕にフランス語で「ありがとう」と書く岩手県釜石市の小中学生=8月、同市(市教育委員会提供)

横断幕にフランス語で「ありがとう」と書く岩手県釜石市の小中学生=8月、同市(市教育委員会提供)

 これに合わせた動画も作成。歌は1番を使用し、元気に歌う生徒らの姿と共に、釜石鵜住居復興スタジアムで試合をするフィジーの母語など9カ国語で「ありがとう」と書いた横断幕や、伝統芸能の虎舞などを映像にまとめた。
 動画は19日に動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。20日には、開幕戦のパブリックビューイングなどのイベントを催す市民ホールで上映するとともに、各校から集まった代表77人が合唱する。
 生徒らと共に歌詞を選び、動画の編集も担当した映像監督の下山和也さん(47)は、「物心が付いた時から『復興の時代』を生きている子どもたちは、いろいろな人の支えがあって自分たちの暮らしや町、命があることを理解している。言葉の一つ一つに思いがこもっており、歌う表情にも注目してもらいたい」と語った。
 作曲した佐藤将展さん(60)は「素直な子どもたちの言葉を、暗くもなく能天気でもないメロディーに乗せた。歌詞の字数も計算されていないので一筋縄ではいかなかったが、非常にやりがいがあった」と振り返った。(2019/09/18-13:33)

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