待機児童増加の懸念も=幼保無償化始まる

2019.10.01
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by 時事通信

 幼稚園や認可保育所、認定こども園に通う3~5歳児全ての利用料を、家庭の経済状況にかかわらず原則無料とする幼児教育・保育の無償化が始まった。0~2歳児は低所得者世帯に限り実施。認可外施設などの利用も上限付きで補助される。政府関係者は「安倍政権最大の看板政策」とアピールするが、新制度が刺激となって保育の利用希望者が増え、待機児童問題が深刻化することも懸念される。
  ◇影響「限定的」?
 「保育士の確保が先」との批判を受けながらも政府が無償化に踏み切ったのは、「費用負担の重さが、子どもを産み育てたいという希望を阻む大きな制約になっている」(安倍晋三首相)と判断したため。家族政策に詳しい松田茂樹中京大教授は、子育て世帯が無償化の恩恵を受けるのが「ちょうどお金がかかり始める時期で、その頃にもう一人産むかどうかを(夫婦は)意思決定する」点に着目。新制度の効果は大きいと分析する。
 一方、待機児童は近年減少傾向にあるものの4月時点で約1万7000人と依然高水準で、政府が目指す2020年度末の完全解消は難しい。それでも政府は「無償化が保育の需要増に与える影響は限定的」(内閣府幹部)と説明する。待機児童の9割近くを占める0~2歳児は、無償化の対象が住民税非課税の低所得者世帯に限られているため、というのが主な理由だ。
 しかし首都圏で認可保育所を経営する社会福祉法人の理事長は「机上の話。自治体も含めて行政は危機感がなさすぎる」と批判する。「『3~5歳児が無償になるなら、その分費用が浮く。だから早めに入園させよう』と保護者が考えるのは自然」とみているためだ。
  ◇保護者の意識変化
 無償化後は保育内容に対する保護者の意識が高まることが予想される。たとえば給食。これまで保育料と一緒に徴収されていた副食費(おかずやおやつ代)が、各施設で個別に徴収する仕組みに変わる。ベテラン保育士は「今後は保護者が毎月の支払額を意識するようになるだろう」と話し、食事の質により気を使う施設が増えると予測する。
 日曜保育や0歳児の1日12時間を超える長時間保育などのサービス需要が高まることも考えられ、午前7時から午後8時まで子どもを受け入れることが可能な保育園で園長を務める女性は「家に帰ってお風呂に入れれば、寝るのは夜の9時や10時。本当に子どものためになるのか」と心身の成長への影響を心配する。
 ただ、共働きの子育て世帯への支援は待ったなしの課題。この園長は、無償化だけでなく、国から企業への財政支援など、育休を数年単位で取りやすくするための施策を進めるべきだと強調する。(2019/10/01-00:21)

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