慰安婦像写真使用の作品、展示見合わせ=市展覧会「安全第一」と-三重・伊勢

2019.10.31
0
by 時事通信

三重県伊勢市の美術展覧会で展示が見合わされた慰安婦像の写真を使った作品(右)と写真部分を隠した同じ作品(左)=31日午前、同市

三重県伊勢市の美術展覧会で展示が見合わされた慰安婦像の写真を使った作品(右)と写真部分を隠した同じ作品(左)=31日午前、同市

 三重県伊勢市が、29日から市内で開催されている市美術展覧会で、従軍慰安婦を象徴する少女像の写真を使った作品の展示を見合わせていたことが31日、分かった。主催する市教育委員会は理由について、「あいちトリエンナーレの騒動もあり、市民や観覧者の安全を第一に考えた」と説明している。
 作品は同市のグラフィックデザイナーで運営委員を務める花井利彦さん(64)が制作した「私は誰ですか」というB2サイズのポスター。「表現の不自由」をテーマとして、黒を背景に、赤く塗られた手のひらに石が置かれたデザインで、作品の左上には中国人慰安婦を象徴する少女像の写真をコラージュしている。写真の下には、英語や中国語など4カ国語で「私は誰ですか」と書かれている。
 市教委によると、作品は20日に会場に搬入されたが、展示会の運営委員会で議論された後、鈴木健一市長とも相談した上で、28日に市教委から花井さんに展示見合わせを伝えたという。花井さんは少女像の部分をインクでぼやかす対応をしたが、30日に改めて展示不可が伝えられた。
 花井さんは「こんな問題になるとは思っておらず非常に憤慨している」と述べ、「展示前に検閲するのは憲法違反。若い人の表現の萎縮にもつながる。訴訟も視野に入れている」と話した。(2019/10/31-11:46)

print

人気のオススメ記事