ボランティア不足深刻=「一日だけでも参加を」-台風19号復旧足かせ・宮城、福島

2019.11.05
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by 時事通信

台風19号やその後の大雨でたまった自宅前の泥をかき出す住民=1日、宮城県丸森町

台風19号やその後の大雨でたまった自宅前の泥をかき出す住民=1日、宮城県丸森町

 台風19号の被災地で、災害ボランティアの確保が課題となっている。上陸から3週間以上が経過したが、その間に再び大雨が降ったこともあり、人手不足で浸水による汚泥の撤去が終わらず、復旧が進まない地域も残る。関係者は「一日だけでも参加を」と呼び掛けている。
 宮城県丸森町のボランティアセンターでは、2日までに全国各地から延べ約3200人のボランティアが集まり、水をかぶった家財の搬出や泥のかき出しなど約100件の住民の依頼を完了した。しかし、依頼はまだ300件以上残っているという。
 同町金山地区で新聞販売店を経営する太田昭代さん(68)は、自宅兼店舗の敷地に土砂が流れ込み、機械設備などが使えなくなった。10月30日、ボランティアと共に片付けに追われた太田さんは「ボランティアは順番待ちで、2回目に来てもらうのに10日ほど待った。それでもまだ終わらない」と疲れ切った表情で話した。


台風19号で浸水し、泥が残ったままの倉庫=10月31日、宮城県丸森町

台風19号で浸水し、泥が残ったままの倉庫=10月31日、宮城県丸森町

 センターでは、仙台駅や丸森駅発着のバスを用意するなど受け入れ態勢を強化。スタッフの信岡萌美さんは「多くの方に参加していただきたい」と切望する。
 全国社会福祉協議会によると、今月3日時点で一定数のボランティアを必要としているのは、関東、東北の5県で計12市町村に上る。福島県社協によると、いわき市など被災地区があちこちに点在している自治体で、特に人手不足が深刻という。社協の担当者は「企業などの団体ボランティアと被災地のニーズマッチングをしたり、個人ボランティア用のバスを出したりしている」と説明した。
 全社協全国ボランティア・市民活動振興センター長の高橋良太さんは「被災地が広域にわたり、報道が少ない地域や交通が不便な地域で人手不足となっている」と指摘。「場所によっては、年を越えてもニーズは続くだろう」と話している。(2019/11/05-07:17)

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