楽天モバイルがついにプラチナバンド試験電波発射を開始。かつてNTTドコモが陥った罠にハマるか否か?

Tokyo,,Japan,-,September,11th,,2017.,Man,In,A,Business
 

昨年10月末の悲願のプラチナバンド獲得から半年余り、先月30日に同周波数帯の試験電波発射を開始した楽天モバイル。いよいよ先行3社と同じ土俵に上がる一歩手前の段階にまで漕ぎ着けた同社ですが、今後はどのような展開が待ち受けているのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、かつてNTTドコモが陥ったというケースを上げ、その罠に嵌まらぬよう楽天モバイルが何に注力すべきかについて考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:楽天モバイルがプラチナバンドを試験発射――都心部に点在する「穴」を埋めることはできるのか

楽天モバイルがプラチナバンドを試験発射――都心部に点在する「穴」を埋めることはできるのか

楽天モバイルは2024年4月30日、700MHz帯の試験電波を発射したと明らかにした。今後、試験電波による検証を経て、早期に商用サービスの開始を目指していくという。

リリースによれば「特にユーザー数およびトラヒックの多い都市部において、残されたカバレッジホールを優先して、自社基地局によるプラチナバンドの展開を順次拡大していく予定」とあるため、山間部や離島のエリア化というよりも、都心部の「穴」を埋めていくのを優先していくのだろう。

実際、KDDIとのローミング契約を見直し、ルーラルエリアだけでなく、都心部でもローミング接続しているようだが、auユーザーが多く、トラフィックが集中しているような場所は契約の対象外となっている模様だ。

また、実際に都心部で楽天モバイルを使っていると、例えば、地下街とか高層フロアあたりで電波がかなり怪しかったりする。1.7GHz帯でカバーするよりも、プラチナバンドを活用することで効率的に穴を埋めていくことになりそうだ。

以前、三木谷浩史会長が紹介していたプラチナバンド用の基地局を見ても、これまで設置してきた基地局のアンテナと同じ形状、サイズのところにプラチナバンド用のアンテナを収納するような設計となっていた。

本来、プラチナバンドの電波特性を最大限に生かすならば、基地局の上の方にアンテナを設置し、できるだけ遠く飛ばす設計にするのが一般的だ。

楽天モバイルの場合、ルーラルエリアで遠くに飛ばすと言うよりも、都心部でビルなどの障害物があっても回り込みやすいという特性を生かし、屋内や地下での浸透を狙う方の用途が中心になるのだろう。

先日、Opensignalが調査データを発表していたが、通信速度に関しては楽天モバイルは競合と十分に戦える品質、むしろ他社よりも良い成績をたたき出していた。あとは、面的なカバーをプラチナバンドで着実に埋めていけば、他社をさらに引き離す調査結果になる可能性は十分に高い。

ただ、一方で、プラチナバンドを吹き始めると、端末がプラチナバンドにばかり接続してしまい、トラフィックが集中し、ネットワーク品質が落ちるなんてことも起こる可能性がある。

まさにNTTドコモが陥ったケースだが、楽天モバイルもこれまで1.7GHzの一本足打法でやってきただけに、プラチナバンドという新たな周波数帯を得たことで、4Gのなかで上手いこと1.7GHzと700MHz、さらには5Gと融合し、トラフィックを複数の周波数帯に分散できるかが重要となってきそうだ。そのあたりの制御を「完全仮想化ネットワーク」で裁けるのであれば、同社の評価も高まることだろう。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

石川 温この著者の記事一覧

日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 石川温の「スマホ業界新聞」 』

【著者】 石川 温 【月額】 初月無料!月額550円(税込) 【発行周期】 毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 楽天モバイルがついにプラチナバンド試験電波発射を開始。かつてNTTドコモが陥った罠にハマるか否か?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け