日英、EU離脱後に貿易交渉 自動車関税が焦点

2020.01.28
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by 時事通信

ホンダのスウィンドン工場=2019年3月30日、英南部スウィンドン

ホンダのスウィンドン工場=2019年3月30日、英南部スウィンドン

 【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)離脱後、日英両政府は貿易交渉に乗り出す。春にも交渉を開始し、年内に合意・署名と双方の議会承認を経て、2021年1月の発効を目指す。日英貿易交渉では、自動車関税の撤廃時期が最大の焦点となりそうだ。
 「安倍晋三首相は英国との早期合意を望むと明言しており、その思いはわれわれも同じだ」。英首相官邸関係者は今月上旬、時事通信などの取材に日英交渉への強い意欲を表明した。
 英国はEU離脱後、今年末まで経済・社会への影響を緩和する「移行期間」に入る。昨年2月に発効した日本とEUの経済連携協定(EPA)も当面維持されるが、移行期間が終了すれば新たな協定が必要となる。日程的には厳しいが、両政府は日欧EPAを上回る「野心的な内容」での合意を目指す。
 英国は離脱後に最優先で貿易交渉を行う相手として、EUのほか、日本と米国、オーストラリア、ニーランドの4カ国を挙げた。特に日英間では大きな懸案もないため、「ジョンソン首相は日本と最初に貿易協定を結ぶことを期待している」(英紙サン)とされる。日本との早期妥結を対EU交渉のてこにする考えだ。
 日本は交渉で、日欧EPAでは発効後8年目に完全撤廃となる自動車関税について、即時撤廃を求める構え。一方、英国は国内で約82万人の雇用を生む基幹産業であり、最大の輸出品でもある自動車産業の保護を望む。英国内の自動車生産の約半分をの日本勢3社が占める中、日本メーカーの動向が交渉のカギを握る。
 投資紛争の解決ルールも争点となる。日欧EPA交渉では、日本が環太平洋連携協定(TPP)で導入された、不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」制度を提案。ただ、EUが反対し、最終的に除外された。英国はTPP加盟に意欲を示しているため、同制度を受け入れる可能性がある。(2020/01/28-07:11)

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