困窮学生に食料支援 大学が米、野菜など―希望殺到「今が苦しい」

2020.06.04
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by 時事通信

東京都立大の生活支援ボランティアから食料品を受け取る大学生(右)=5月23日、東京都八王子市

東京都立大の生活支援ボランティアから食料品を受け取る大学生(右)=5月23日、東京都八王子市

 新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入を失い困窮する学生に対し、大学や教員有志らが食料品を無償で配る動きが広がっている。首都圏では緊急事態宣言解除後も希望者が殺到。支援する側は「アルバイト先が営業再開しても収入はすぐに入らない。今が苦しいタイミングだ」と指摘する。
 東京都立大(八王子市)では5月から、教員有志による食料品配布が行われている。3カ所で配った23日には計約150人の学生が訪れ、カンパや寄付で調達した米や野菜、レトルト食品などを、持参した手提げ袋に詰めて持ち帰った。
 受け取った法学部4年の女子学生(23)は、アルバイトのマンション清掃の出勤日が激減し、生活費となる5月の収入は通常の5万円から1万円未満に減った。女性は「自分は影響はないと思っていたが、『外の人を入れたくない』との住民の意向だと聞いた」と明かし、「解除されてもすぐ元通りには働けない。シフトが復活してくれないとしんどい」と訴えた。


学生に食料品を手渡す東京都立大のボランティア=5月23日、東京都八王子市

学生に食料品を手渡す東京都立大のボランティア=5月23日、東京都八王子市

 支援に当たる人文社会学部の野元弘幸教授によると、食料品を求める学生は回を追うごとに増えているという。「アルバイト先が再開しても、給料はすぐには支払われない。学生の経済状況が回復するにはタイムラグがあるだろう」と話す。
 横浜市ボランティアセンターでは、5月22日に市内の学生を対象に米やカップ麺など10日分の食料を配った。当初100人分を確保して告知したところ、希望者が殺到。追加で調達し、当日は約150人に配ったという。若林拓担当課長は「学生は数カ月後にもらえる現金よりも、2~3日先の食べる物が欲しい」と強調する。
 同センターの活動を受け、横浜国立大では6月上旬にキャンパスで食料を配布すると決定。5月25日にウェブサイトで告知したところ、20分で100人から申し込みがあった。椛島洋美副学長は「経済活動が再開されたばかりで、特別定額給付金の支給もまだの今が苦しい状況だろう」と指摘。「様子を見ながら今後も続けたい」と語った。(2020/06/04-07:11)

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