GoToキャンペーンに思い複雑 「地域限定」要望も―自治体

2020.07.15
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by 時事通信

 東京などで新型コロナウイルス感染者が急増する中、政府が「Go To トラベル」キャンペーンを前倒しで行うことを受け、自治体の間では困惑が広がっている。ただ地域の観光業の落ち込みは厳しく、事業への期待は大きい。感染拡大の懸念との間で複雑な思いを語る首長らも多く、全国一斉でなく地域限定の実施を求める声も出ている。
 吉村美栄子山形県知事は「この時期に全国一斉にスタートするのはいかがか。経済には資すると思うが手放しで喜べない」と疑問を投げ掛けた。仲川元庸奈良市長も全国で広範囲に人が移動することを懸念。「エリアを絞り、感染拡大を念頭に置いた上での部分実施が望ましい」とした。
 青森県むつ市の宮下宗一郎市長は「今まで我慢してきたことが全部水泡に帰す」と厳しく批判。観光施設を含む市内施設を閉鎖する方向で検討していると発表した。唯一感染者ゼロの岩手県の幹部も「必要な面もあるが『今じゃない』のでは」と話す。
 一方、仁坂吉伸和歌山県知事は不安を口にしつつ「『リスクがあるから来るな』では自滅する。われわれはコロナ下でも生きて、稼いでビジネスもしないといけない」と指摘。観光客受け入れに「今のところは、安全にむちゃくちゃ気をつけて工夫しながらやるしかない」。
 こうした中で大阪市の松井一郎市長は、旅行予定の人に無料で抗体検査を行う仕組みを検討すると表明。「陰性の人が動ける形を取れば拡大にはつながらない」とし、大阪府にも共同実施を呼び掛けるとした。(2020/07/15-07:05)

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