麻酔科医6人書類送検 東京女子医大2歳児死亡―鎮静剤過剰投与の疑い・警視庁

2020.10.21
0
by 時事通信


東京女子医大病院で2014年2月、手術後の経過観察中に亡くなった男児(遺族提供)

東京女子医大病院で2014年2月、手術後の経過観察中に亡くなった男児(遺族提供)

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年2月、手術を受けた2歳男児が死亡した事故で、警視庁捜査1課は21日、男児に鎮静剤を過剰投与し死亡させたとして、業務上過失致死容疑で当時治療に当たった麻酔科医の男性6人を書類送検した。
 送検されたのは、同病院中央ICU副運営部長だった男性(60)=世田谷区=と、中央ICUに勤務していた38~45歳の5人。同課は認否を明らかにしていない。
 送検容疑は14年2月18~21日、良性のリンパ管腫の手術を受け中央ICUで術後管理中だった男児に、人工呼吸器を着け集中治療中の子供への使用が禁忌とされている鎮静剤「」を投与。心電図の異常や尿量減少など男児の容体変化に適切に対応せず使用を続け、副作用による急性循環不全で死亡させた疑い。
 元副部長らは18日の手術直前にの投与を開始。19日にやめる予定だったが、男児の回復が遅れたため使用を続け、21日までに成人に許容されている量の約2.7倍を投与し、男児は同日死亡した。
 同病院の第三者委員会は15年の報告で、元副部長らはが禁忌薬であるとの認識が薄く、投与中に心電図などの異常が断続的に表れたのに看過したと指摘。投与が長引くと判断された子供には、副作用が弱い他の薬剤に変更するなどの対応を取るべきだったとしていた。
 捜査関係者によると、は禁忌薬だが、医師の裁量で子供に使われる場合もあり、捜査1課は同剤の使用自体に過失はないと判断。手術を主導し、投与も把握していた耳鼻咽喉科の主治医らについては立件を見送った。(2020/10/21-19:23)

print

人気のオススメ記事