「黒塗りせず全て出して」 赤木ファイル提出前に妻―財務省文書改ざん訴訟

2021.06.19
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by 時事通信


森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、赤木俊夫さんが記した「赤木ファイル」の開示を前に、取材に応じる妻雅子さん=5月18日、高知市

森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、赤木俊夫さんが記した「赤木ファイル」の開示を前に、取材に応じる妻雅子さん=5月18日、高知市

  • 森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、自殺した赤木俊夫さんが手帳に挟んでいた国家公務員倫理カード=5月18日、高知市

 学校法人森友学園への国有地売却に関する財務省の公文書改ざん問題で、2018年に自殺した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=が、改ざんの経緯などを記した文書が、23日までに大阪地裁に提出される。国家賠償請求訴訟の原告で妻の雅子さん(50)が、同日の口頭弁論を前に時事通信の取材に応じ、「夫が残したものを黒塗りせず全て出してほしい」と訴えた。
 雅子さんは昨年3月、赤木さんが改ざんを強制され、心労と長時間労働でうつ病を発症したとして提訴。真相解明への強い思いに突き動かされた。
 「赤木ファイル」の存在は、自宅を弔問した元上司が明かした。訴訟では、改ざん強制の経緯を明らかにする重要資料として証拠提出を要求。存否を公にしていなかった国は今年5月、初めて存在を認めた。
 国家公務員の仕事に誇りを持っていたという赤木さん。改ざんに着手してからは「内閣が吹っ飛ぶようなことをしてしまった」と思い詰め、次第に笑顔が少なくなったという。「人間が壊れていくような姿を最期まで隣で見ていた」。雅子さんは「明るくて楽しかった夫との22年間と、(改ざん後の)苦しかった1年間を取り返したい」と話した。
 赤木さんは日頃、「国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?」などと記載された国家公務員倫理カードを手帳に挟んでいた。「この通りに働けば改ざんなんて起こらず、夫が亡くなることもなかったと思う」と雅子さん。全国の公務員に対し、「今も苦しんでいる人は本当のことを話してください」と呼び掛けた。
 国はファイルの一部を黒塗りにする方針だが、雅子さんは改ざんに関わった元上司らの名前は隠すべきでないと考える。開示を機に、「(財務省は)必ず再調査してほしい」と切望している。(2021/06/19-20:38)

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