世界遺産「佐渡金山」で政府苦慮 自民保守系が推薦主張、韓国は反発

2022.01.19
0
by 時事通信


外務省の担当者に決議文を手渡す自民党の高鳥修一衆院議員(中央)。右から2人目は安倍晋三元首相=18日、東京・永田町の参院議員会館

外務省の担当者に決議文を手渡す自民党の高鳥修一衆院議員(中央)。右から2人目は安倍晋三元首相=18日、東京・永田町の参院議員会館

  • 記者団の取材に応じる岸田文雄首相=18日午後、首相官邸

 文化審議会が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の推薦候補に選定した「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)をめぐり、政府が対応に苦慮している。韓国が「朝鮮半島出身者による強制労働の現場だ」と撤回を要求。推薦を主張する自民党の保守系議員がこれに反発し、着地点は見いだせていない。
 同党の保守系有志でつくる「保守団結の会」は18日の会合で、政府に早期推薦を求める決議をまとめた。元首相も出席。会合では「韓国に対して事実に基づき反論すべきだ」との意見が相次いだ。
 世界文化遺産をめぐっては、2015年に登録された長崎・軍艦島など「明治日本の産業革命遺産」でも、韓国が「強制労働の歴史を無視している」と反対。日本側が情報センターの設置などを約束し、一度は折り合ったものの、韓国側が展示内容を問題視し、現在も火種がくすぶっている。
 外務省関係者は今回も、当時と同様の経緯をたどる可能性があると指摘。韓国がユネスコに外交攻勢を強めていることもあり、「政治案件になってしまった。厄介だ」と懸念を示す。
 文化審は選定に際し、「政府内で総合的な検討を行う」と異例の注釈を添えた。推薦には閣議了解が必要で、政府は推薦期限となる来月1日までに判断する見通しだ。
 首相は18日、首相官邸で記者団に対し、「登録を実現する上で何が最も効果的か、総合的検討を行っている」と述べるにとどめ、推薦を明言しなかった。(2022/01/19-07:05)

print

人気のオススメ記事