弔問外交、成果は限定的 岸田首相、「安倍路線」継承アピール

2022.09.29
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by 時事通信


韓国の韓悳洙首相(左)と握手する岸田文雄首相=28日午前、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)

韓国の韓悳洙首相(左)と握手する岸田文雄首相=28日午前、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)

 首相は28日、安倍晋三元首相の国葬参列のため来日した各国首脳らとの「弔問外交」を終えた。首相は安倍氏の外交路線を継承する考えをアピール。国葬への世論の賛否が割れる中、弔問外交の展開を通じて、開催の意義を訴える狙いもあった。しかし、先進7カ国(G7)から首脳の出席はなく、野党内には外交上の成果は限定的だったとの見方が出ている。
 首相は26日からの3日間で、38の国や地域、国際機関の要人と会談。官房長官は28日の記者会見で、「安倍氏の外交的遺産を引き継ぎ発展させる意思を伝え、有益なやりとりができた」と強調した。
 26日にはハリス米副大統領と会い、安倍氏の遺志を受け継ぎ、日米同盟をさらに強化する意向を伝えた。27日にはオーストラリアのアルバニージー首相との間で、安倍氏が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携を確認。インドのモディ首相とも関係の深化を申し合わせ、両国と日米の4カ国の枠組み「クアッド」の存在感を示した。
 ただ、カナダのトルドー首相が国葬直前になって、ハリケーン被害への対応を理由に出席見送りを公表。結果的にG7首脳の出席はなかった。会談の多くは短時間だったため、踏み込んだやりとりは難しい事情もあった。国民民主党の国対委員長は記者会見で「顔を合わせる意味はあったが、今後どう生かすかが問われる」と指摘した。
 首相は28日、韓国の韓悳洙首相と会談し、冷え込んだ日韓関係の健全化に向け、協議を加速することで一致。一方、中国からは非共産党員の万鋼全国政治協商会議副主席が参列し、松野氏と会談するにとどまった。「懸案を話し合う場ではない」(外務省幹部)とはいえ、エリザベス英女王の国葬には習近平国家主席の盟友王岐山国家副主席が出席しており、自民党内からは「格下だ」との声が漏れた。(2022/09/29-07:08)

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