刑法犯件数、20年ぶり増加 コロナ制限緩和影響か―サイバー、虐待は最多・警察庁

2023.02.02
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by 時事通信


【図解】2022年犯罪情勢統計

【図解】2022年犯罪情勢統計

 警察庁は2日、2022年の犯罪情勢統計(暫定値)を公表した。警察が把握(認知)した刑法犯は前年比5.9%増の60万1389件で、20年ぶりに前年を上回った。自転車盗など街頭犯罪の増加が要因で、新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和されたことが影響したとみられる。特殊詐欺やサイバー攻撃、児童虐待も増えており、同庁は「犯罪情勢は厳しい状況にある」としている。
 刑法犯認知件数は、防犯機器の普及や警察の取り締まり強化などで02年の285万件をピークに減少が続き、21年まで7年連続で戦後最少を更新していた。20~21年は新型コロナ対策の行動制限などで街頭犯罪が大幅に減少。22年は緩和によって増加に転じた可能性があり、同庁担当者は「今後も認知件数が増えるか注視したい」と話した。
 22年の街頭犯罪は20万1619件で、前年比14.4%増となった。特に自転車盗や路上での傷害、暴行が増えた。特殊詐欺は20.8%増の1万7520件に上り、2年連続で増加。強制性交等は19.3%増の1656件で、罰則を強化するなどした17年の刑法改正以降で最多となった。性犯罪被害に対する意識の高まりなどが影響している可能性がある。
 サイバー攻撃を巡っては、企業や病院などのパソコンのデータを暗号化し、解除と引き換えに金銭を要求する不正プログラム「ランサムウエア」の被害申告が57.5%増の230件と急増し、過去最多となった。
 虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは7.1%増の11万5730人、配偶者などパートナーからの暴力(DV)の相談件数は1.7%増の8万4493件で、いずれも過去最多だった。ストーカー事案の相談は3%減だったが、1万9129件と高い水準で推移している。(2023/02/02-10:30)

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