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つけ焼き刃の練習は効かない。小学校「お受験」面接の知られざる実態

お子様の将来を案じて、すでに幼稚園児の頃から「小学校受験」を決めるご両親は多いのではないでしょうか。しかし、学校の方針も個性も千差万別で、どこの学校を受けさせればいいのか悩むところです。無料メルマガ『2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>』では、これから小学校受験を控えているご両親必読のアドバイスと、具体的な学校名を挙げ、面接の実態について詳細に解説。春を笑顔で迎えられるといいですね。

小学校受験、面接テストの実態

ほとんどの学校は親子面接ですが、青山学院初等部、立教小学校、学習院初等科、成蹊小学校のようにお子様の面接のない両親面接のところもあります。

面接は、ほとんどの学校で考査前に行われていますが、日本女子大学附属豊明小学校、国府台女子学院小学校のように考査後に、学習院初等科、成蹊小学校のようにお子さんの考査当日に、暁星小学校、早稲田実業学校初等部のように一次試験合格者のみに行う学校もあります。

少し古くなりますが、雙葉小学校は母子面接でしたが、平成20年から父親も参加する親子面接になりました。これは歓迎しましたね。それまでお母さんが1人で苦労していたからです。

また、両親面接であった暁星小学校は、平成25年から親子面接になりましたが、試験間近の9月の説明会で公表しただけに、周りの父母の皆さん方から、「エッ!」といった驚きの声も聞こえ、直前講習に面接の講座を設けた教室もあったようです。

両親面接の学校は、形式に変更がないか、ホームページに目を通しておきましょう。

小学校側が面接をする目的は、ご両親が考え、実行している育児の方針と小学校の教育方針に、共通認識があるか、限りなく同じ方向に近づいているかどうかを知ることです。

まず、大雑把に分けて説明しましょう。

「私どもは、共学で、宗教色のない小学校を希望します」
の場合は、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成城学園初等学校、成蹊小学校、早稲田実業学校初等部、千葉日本大学第一小学校があります。

「共学で、宗教教育をやっている学校が、いいですね」
となると、ミッション系の青山学院初等部、玉川学園小学校、聖学院小学校、仏教の淑徳小学校などでしょう。

「男子だけの学校を考えています」
となれば、立教小学校か暁星小学校です。

「女の子で1人っ子ですから、女子だけの宗教教育をやっている学校が、合っていると思いますけど」
たくさんあります。

ミッション系では、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、白百合学園小学校、聖心女子学院初等科、東洋英和女学院小学部、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、仏教系は国府台女子学院小学部、この辺で勘弁してください。

「女の子だけの学校で宗教教育をやっていない学校を希望します」
の場合は、日本女子大学附属豊明小学校、東京女学館小学校、川村小学校でしょう。

東京女学館大学は、残念ながら来年3月に閉校となります。

「私どもの子は、1人っ子ですから、受験で苦労させたくないのですが」
となると、大学まである小学校を選ぶことになります。この発想は、あまり歓迎できませんが、過保護にならないことを祈っています。

「それがいやなんですよ。生きることは競争です。社会人になる前に、自分の能力を確かめられる受験を体験させておきたいのです!」
となれば高校まである小学校を選べば、いいですね。

暁星小学校、日出学園小学校、昭和学院小学校(短大まであります)、桐朋小学校、桐朋学園小学校、森村学園初等部でしょう。桐朋は、小学校は共学ですが、中学から国立にある桐朋中学校は男子校に、調布市仙川にある桐朋女子中学校は女子校と別学になります。

国立市にある国立学園小学校は、幼稚園と小学校だけの特殊な学園で、千葉にある聖徳大学附属小学校は、中高は女子だけですから男子は受験となりますが、目的は名門中学校への受験でしょう。中学校への進学状況は、ホームページで確認できます。

こういった、大雑把な希望から方向を定めて、それから、それぞれの小学校の教育方針と我が家の育児の方針が、合っているかどうかを検討するわけです。

幼稚舎の教育方針がわかりやすいので、紹介しておきましょう。作文も面接もなくなりましたが、願書には、志望理由を書きますから参考にしてください。

幼稚舎の徳育の根本は、独立自尊の精神にあります。その規範となるものが、「幼稚舎修身要領」(10か条)です。これは通信簿の第1ページにも記してあります。成績よりも前に目を通してほしい大切な事項だという意味です。新1年生になった時に3つの約束をしますが、「幼稚舎修身要領」の中から特に大切なものを取り上げたものです。

1つ、うそをつかない。
2つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
3つ、自分でできることは自分でする。

これは福沢諭吉の精神を表した「幼稚舎修身要領」(10ヶ条)の中から、特に大切な項目を選んだものです。(「子どもと向かい合う教育」 元慶應義塾幼稚舎長 川崎悟郎 著 リヨン社 刊)

普段、子どもにいって聞かせていることを考えると、

「うそをついてはいけません!」
「約束は、守りなさい!」
「自分でできることは自分でしなさい、お母さんを頼っても知りませんよ!」

だとします。

これを破ると、叱り、諭しているとします。そうであれば、お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針は、一致していることになります。

そして、共学が自然だと思っているとします。宗教教育は、両親共に経験がないので、なじめないものがあると考えていたとします。大学まであって、受験戦争に参加しなくて済みますし、学部がたくさんありますから、将来、目指す道が広いのも魅力だと思っているとします。通学に約1時間、しかし、体力、気力ともに心配ないとしましょう。

たくさんお金はかかりますが、頼れる祖父母が健在です。冗談、冗談です。幼児には、「シックス ポケット」があるといわれています。両親には、祖父母が二人ずついて、教育資金となるポケットが6つあるということです。こういう図式ができていれば、面接があったとしても、幼稚舎を選んだ理由を、きちんと胸を張って説明できます。これが、面接の目的です。

幼稚舎の他にも、面接を実施していないのは、桐朋小学校、桐朋学園小学校で、その理由ですが、以前にも紹介しました、桐朋学園小学校の鈴村元校長の話を思い出してください。文言は正確ではありませんが、次のような内容でした。

「大人は、趣味を尋ねられると、本当は、競馬、競輪などの博打が大好きでも、『趣味は、読書と音楽鑑賞です』と平気でいうものです。演技もできます。ですから、やっても無駄なのです。本音をおっしゃいませんから。しかし、子どもを2日間預からせてもらうと、子どもは正直ですから、みんな本当の姿を見せてくれます。育てられている環境は、わかります。ですから、私どもでは、面接をしないのです」(注 桐朋学園小学校のテストは2日間)

その通りではないでしょうか。大人は、猫をかぶりますから、面接は、ニャーニャー大会かもしれません。子どもは正直で、演技をしませんから、育てられている環境を、そのまま見せてくれます。ですから、面接で、つけ焼刃は効かないのです。

また、慶應義塾幼稚舎では、紋切り型のステレオタイプ的な回答が増え、面接をやる意味がないと考え、廃止したと伺ったことがあります。

なお、国立附属小学校では、お茶の水女子大学付属小学校、学芸大学付属竹早小学校(子供のみ)、埼玉大学教育学部附属小学校以外は面接をやっていません。(平成26年12月実施のもので、今年のものではありません)

面接では、付け焼刃は効かないとお話ししましたが、入学試験そのものも、メッキでは駄目なのです。メッキははげるものです。以前、紹介しました、あるミッション系の校長先生の言葉を思い出してください。

「入学試験に必要な知識や礼儀作法なるものを、泥縄式に詰め込み、『受験準備、事足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい」

繰り返しますが、その通りではないでしょうか。赤ちゃんを育てたとき、あれこれと泥縄式に詰め込みましたか、お母さん。そんなばかげたことは、しなかったはずです。子どもの成長に合わせ、一歩一歩、ゆっくりと、一緒に、階段をのぼってきたのではありませんか。その心は、「できるまで待ってあげよう忍の一字」ではなかったでしょうか。小学校は、無理やり受験戦士に育てられた子を望んでいません。

子どもの知育は、子ども自身が、「知りたい、識りたい」と、身体、全体から、ふつふつと湧き出るときに、与えるものであることが大切なのです。モンテッソーリの「その時期に最も活動が盛んになり成長する敏感期」です。お子さんの成長を見極め、学習するためにふさわしい環境を作ってあげるのが、親の役目です。主導権は子ども自身にありです。それを、親が握り締めていないでしょうか。勉強だけではなく、遊びまでもです。

やはり、親は、教育に関して信念というか哲学を持つべきだと思います。しかし、これを言うのには、勇気が必要です。小学校の受験にしても早期教育にしても、私たち親は、子どものためによかれと思って始めますから、「そんなことは、余計なお世話だ!」となりがちです。

そこで、来年1月から、国立、私立小学校の入試問題を紹介し、就学前に何が必要なのかをお話ししましょう。誤った受験準備をしないことが、お子さんのためだからです。

(面接に関する情報は平成27年12月現在のものです)

(次回は、「よくある質問」についてお答えしましょう)

image by: Shutterstock

 

2018さわやかお受験のススメ

お子様の受験を考えているご両親へ、来年の秋、希望する小学校から招待状を頂けるように、お役に立つ情報をお届けいたします。
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