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部屋を借りたら、元・殺人現場。説明しなかった不動産屋を訴えたら?

賃貸物件について毎回ためになる情報を発信してくださると好評の無料メルマガ『不動産屋が教える!賃貸オフィスの借り方虎の巻!』。今回は、いわゆる「事故物件」について解説、仲介業者の目線から事故物件の説明義務期間などを、判例をもとに詳しく紹介しています。

自殺等の心理的瑕疵って、何年後まで説明してくれるの?

日々、賃貸仲介業をしていると、紹介しようと思った物件が事故物件だったことが、よくあります。契約前にきちんと告知がなされているかどうか、そのルールについて調べてみました。

心理的瑕疵の物件とは?

いわゆる、事故物件とも言いますが、この心理的瑕疵のある物件とは、過去に自殺・殺人、火事、事件・事故による死亡、周囲とのトラブル、周囲に反社会的勢力の事務所があるなどの場合に、一般的にそこを使うとなると、嫌悪感を感じる物件のことを言います。

貸すにあたって、難しくなることが多いため、賃貸条件も相場より安く募集していることがあり、気にしない方からすると、いい条件で借りられるのでいいという感想を持つ方もいらっしゃいます。

仲介業者の説明義務責任とは?

仲介で入った不動産業者は、宅建業法35条1項に基づく重要事項説明の中で、契約の目的を達成するために重要な項目を説明する義務を負っています。その重要な項目の中に、心理的瑕疵も含まれてきます。

もし、その説明がないまま契約をし、入居後にわかった場合には、仲介業者の告知義務違反となり、損害賠償の対象になることもあります。

心理的瑕疵は、何年後まで説明が必要?

ここについては、実は明確なルールがないのが実情です。ただ、いくつかの判例がありますので、それを参考にできます。

「自殺があった部屋と同じ建物の賃貸借契約においては、告知義務はない

(東京地裁 平成19年8月10日判決)

「共用部分で自殺があった貸しづらくなったと訴えたところ、賃貸人の主張が減額の上認められた」

(東京地裁 平成26年5月13日判決)

その他心理的瑕疵の判例一覧(不動産適正取引推進機構)
建物賃貸借に関する紛争 – (2)貸主・借主の義務違反、その他 – 心理瑕疵

これらの判例を見ていると、何年後まで告知が必要という明確なルールはないようです。また、ほかの部屋では告知義務はないとした判例もあれば、共用部の自殺が心理的瑕疵として認定されています。

自殺の事実が世間のどれだけ広まったかも影響しているようで、やはり明確な答えはないようですね。

まとめ

実際の実務がどうかという話をすると、心理的瑕疵、事故物件については、告知義務違反を恐れて、普通の不動産会社であれば、違うフロアでも、共用部でも、何年も告知をしているところが多いようです。

また、案件の程度にもよるわけで、病死したケースと、強盗が押し入って殺人事件があって、さらに新聞に掲載されたのでは、程度も違うため、告知期間も変わります。私が以前仲介した物件では、新聞記事も案内時から渡されました。

それから、不動産会社、貸主が知らなかった場合には、告知をしていなくても、損害賠償は認められていない判例が多いようです。そのため、事実を知らない場合には当然説明はありません。

ですから、今借りている物件が実は、事故物件だったということも…、もしかしたらあるかもしれませんね。

image by: Shutterstock

 

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