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15億円の大ヒット。売れなくなった「伝統」が爆売れしだしたワケ

九谷焼と聞くと、「伝統的で敷居が高い」「自分の日常とは関係ないもの」といったイメージを抱いてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、その概念を根底から覆す脅威の「デザイン力」で、大ヒットとなった商品があります。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、いま売れに売れている陶器ワインカップ「九谷物語」の誕生秘話を紹介しています。

九谷物語が飛ぶように売れたワケ

近年、デザインの重要性が叫ばれています。一方、ブランディングの重要性が叫ばれて久しいですが、ブランディングを行う上でデザインは欠かせない重要な要素となっています。

経済産業省企業法制研究会によると、ブランドを「競争相手の製品等と識別化または差別化するためのネーム、ロゴ、マーク、シンボル、パッケージ・デザインなどの標章」と定義しています。ブランドを構成する要素として「デザイン」をあげています。

デザインの成功で売り上げの拡大を実現した事例の一つを紹介します。石川県陶磁器商工業協同組合の陶器ワインカップ九谷物語」です。

長年、販売不振に苦しんでいた同組合は事態打開のため、デザインを活用した異素材との組み合わせによる陶器製品の開発に着手しました。

ところで、「陶器」と聞いて、どのような印象を抱くでしょうか。多くの人は、「伝統はあるけど、なんだか古臭い」という印象を抱くのではないでしょうか。ライフスタイルの洋風化が進むにつれて、家庭で陶器を飾ったり使用したりする機会は減っています。市場は縮小傾向にありました。

そのような環境下において、いかにして陶器を販売すればいいのかを同組合は考えました。試行錯誤していく中で、一つ着眼点を得ることができました。それは「デザイン」です。陶器にデザイン性を持ち込んだのです。

同組合は、現代のライフスタイルに合った商品開発を進めるため、研修所に「パイロットデザイン開発事業」を立ち上げました。第一線で活躍するプロダクト・デザイナーを講師に迎え、商品企画からデザイン、販売方法に至るまでをプロデュースしました。デザイン性を重視した商品開発を行ったのです。

同事業を通じて開発された商品の多くがヒット商品となりました。プロジェクトを通じて商品化された陶器のワインカップ「九谷物語」は、10年間で15万本約15億円を販売する大ヒット商品となりました。

陶器のワインカップは斬新でした。今までにない斬新なデザインが消費者の心を捉えました。

九谷物語は、商品自体のデザイン性の高さもさることながら、パッケージにおいてもデザイン性にこだわりました。商品名の「九谷物語」をプリントするなどデザイン性の向上によるブランドイメージの強化を図りました。

デザイン性の向上によるブランドイメージの強化が功を奏し、同商品は5,000~30万円と高額にもかかわらず、飛ぶように売れました。デザイン性の向上により販売を強化することができることを証明しました。デザイン次第で売り上げが大きく左右されるのです。

image by: 伝統本舗(楽天市場)

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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