普通では手が届かないような高級化粧品も、今やインターネットでは驚くほど安い値段で販売されていたりすることがあります。また、ドラッグストアで購入できる安くて手軽な化粧品で済ませる女性も少なくありません。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、大手総合スーパー・イオンが化粧品売り場の対面販売の再起をかけて乗り出した経営戦略について、著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、今後の展望も踏まえて考察しています。
イオン、専門アドバイザー増員で化粧品の販売強化
こんにちは、佐藤昌司です。2017年1月6日付日本経済新聞は、「イオンは総合スーパー(GMS)の化粧品売り場で専門的な接客をするアドバイザーを、今後3年で2.7倍に増やす」と報じました。
化粧品市場は、ドラッグストアやインターネット通販の拡大により競争が激化しています。加えて、イオンのGMS事業は苦戦を強いられている状態です。化粧品売り場のテコ入れを一つの手段として、状況を打開する考えでしょう。
競争が激化している今、化粧品を店頭に並べるだけでは売れない状況です。そこで、専門アドバイザーによる「カウンセリング」を強化することにより付加価値を加え、販売につなげたい思惑があるようです。
これは、「モノ販売からコト販売へ」の最たる例といえます。カウンセリング体験という「コト」を提供することで、競合との差別化を図る戦略といえます。単に化粧品という「モノ」を販売するだけでは差別化は困難です。
専門アドバイザーによるカウンセリングの強化は、特にインターネット販売に対する対抗策になります。インターネット販売では実際の使用感や使用後の出来栄えの確認ができません。しかし、対面販売であればそれが可能です。カウンセリングは対面接客だからこそできる、付加価値の高いサービスといえるでしょう。
イオンは2014年9月からプライベートブランドの化粧品「グラマティカル」を展開しています。肌の悩み別に対応し、自由にカスタマイズできる高品質化粧品です。カウンセリングの強化により、「グラマティカル」の販売につなげる思惑もありそうです。
今後、カウンセリングやコンサルティングといった提案型の営業スタイルは広がっていくものと思われます。「コト販売」の筆頭格といえるでしょう。特にインターネット販売と競合する業種・業態では、提案型の営業スタイルの強化は避けて通れないといえそうです。
image by: ぬんもさん /(WikimediaCommons)
『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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