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敏腕コンサルが予測する、これが人工知能に仕事を奪われにくい業種だ

日進月歩のスピードで発達しているAI(人工知能)は、私たちの生活を便利にしてくれる反面、職種によっては仕事を奪われるかもしれない、という話を昨今よく耳にします。そんな「人工知能に職を奪われるかもしれない業種」として、よく名前を挙げられているのが、弁護士、行政書士などの「士業」です。さまざまな質問に答えてくれる人気メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江さんは、行政書士を目指していると言うメルマガ読者さんから寄せられた「今後、行政書士で稼げるのか?」という質問に対して、どんな回答をしたのでしょうか?

今後、行政書士に将来性はあるか

Question

質問は以下の4つです。

1. 行政書士の在留外国人の在留関係の代理業務の将来性について
2. 行政書士にはどのような仕事が1番お金になるか
3. 行政書士の仕事をしていき、その仕事をコンサルや他の職域にも発展させていく上で必要な能力、資格について
4. 損害保険等の規制産業の副業解禁の目安

私は法科大学院を卒業したのですが、司法試験になかなか受からず、現在損害保険会社の国際部門で正社員として働いております。司法試験は今年が受験回数制限のためラストチャンスのため、仕事をしながら法律の勉強を続けております。

今年も司法試験に落ちたことを考えて、行政書士や宅建等の法律に関する資格の取得を考えております。先に就職先の目的についての記事を拝見させて頂きましたが、私の目的は唯一、お金を稼ぎたいということです。

1 在留外国人関係の仕事について
私は幸い英語がある程度話せるため、行政書士の友人からこの分野はブルーオーシャンと聞きました。士業の方へのコンサルもされてる永石さんにここの分野が稼げる分野か、具体的にどのようにこの市場に参入するべきか、教えてください。現在は自分の外国人の友人からの口コミくらいしか当てがありません。

2 他の仕事
英語が他の法律専門家等より秀でていることを自負しておりますが、上記の仕事だけでなく、他に稼げる仕事はありますか?行政書士はご存知の通り、法廷には立てないまでもほとんどの法律関係の書類作成の代理業務ができます。この状況で参入すべき市場はどこでしょうか。

3 他の能力
法律関係の勉強を10000時間近くしてきたため、司法試験には受かっていませんが、他の資格に挑戦したいと思っております。何かこれに関連して稼げる資格、能力はありますか。

4 副業について
永石さんが再三おっしゃってるようにこれからは自分から発信しなければならない時代と考えています。ただ、自分から発信するにはどうしても副業が解禁にならないと公に仕事はできません。

行政書士の仕事等はコソコソできるのですが、本格的に自分から発信をする段階を副業解禁と考えているため、そのタイミングを教えてください。私としては年収として500万円くらいを副業で得たいと考えております。

長文失礼しました。ご回答よろしくお願いします。

永江さんの回答

まずわたしは「永石さん」ではないのでお間違えなく・・w

なんで中の2文字を省力する人が多いのかな・・・

質問1から順番にお答えしますと、そもそも在留外国人をターゲットにした時に必要な言語が「英語」かというと疑問なんです。

というのも、法務省のサイトから国籍別の在留外国人の統計を見ると、総数約238万人の内、中国と韓国の2強を含むアジア人が197万人とほぼ9割近くを占めています。英語圏は3%にも満たず、マーケットが非常に小さい。であれば、英語より中国語が堪能な人の方が有利ですよね。でも中国語は在日でできる人も多い。

また在留外国人は大きく「商社や外資系企業等の経営層」と「単純労働者層」の2種類に分けられると思うのですが、行政書士のクライアントになりえるとすると前者ですよね。ただ行政書士が担う法律関係書類の代筆程度であれば、わざわざ新規で探してくるより信頼出来る知り合いに依頼するのではないでしょうか。または会社側で手配する。

次に2つ目ですが、他の仕事としては行政書士より弁理士の方が可能性があると思います。なぜなら近年行政書士が作成代行する官公署への提出書類ってどんどん簡素化・電子化されていて、よほど高度な専門知識がないと専業で続けるのは厳しい職業のうちの一つと言われていますよね。家の近くの運転免許試験場の周辺の行政書士事務所もみんな閉めました。

その点、弁理士は特許や商標権などの取得手続き代行が主な仕事ですが、加えて海外の知的財産権や著作権侵害関連の相談全般が増えているはずです。

例えば外国から自社製品を模倣される等のトラブル対策など、今後増える見込みがある様々なニーズへの対応も出来るでしょう。士業の中ではAIに一番置き換わりにくい気がします。

3つ目の「他の能力」は、2と重なりますが弁理士がおすすめですね。ただ平成28年度の弁理士試験の合格率を見ると6,6%で、同年の司法試験の大学合格率(約23%)より高くなっています。ハードルは高いですが、その分参入障壁も高いため本気でやれば十分戦える分野だと思います。

最後に4つ目ですが、率直に言って「副業で500万円」というのは不可能だと思いますね。おそらく質問者さんは書類を作るだけなら本業の合間に夜でも出来るとお考えかと思うのですが、この手の仕事で一番大事なのは営業力なんです。

お客さんと直接顔を突き合わせて丁寧に打ち合わせをし、信頼関係を築くから高い報酬をいただけるのであって、夜にネットだけで片手間に出来るような仕事なんてまともな金額は請求出来ませんよ。それで年に500万なんてぶっちゃけ夢物語レベル。

長くなりましたが、まとめると専業で行政書士を続けるのは今後非常に厳しいため、英語スキルと法律知識を活かすなら弁護士よりハードルは高いですが弁理士を目指した方が可能性があるというのがわたしの意見です。

image by: Shutterstock

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