「継続は力なり」と言いますが、どんなことでも毎日続けることはなかなか容易ではないですよね。それでも「今度こそは絶対にやり遂げたい!」と決意をした方のために、無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者・谷原誠さんが、ご自身も実践しているトレーニングや勉強などを「習慣化」するための一風変わった方法を明かしています。
継続はなぜ苦しいか?
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
私は最近、自宅で、平均週6回の筋トレが習慣になっています。久しぶりのトレーニングだったので、ちゃんと続くか不安はありましたが、何とか2年程度、続けることができています。しかし、トレーニングの前に「今日はやりたくないな」「1日くらい休んでも、明日やればいいか」という気持ちになったことも一度や二度ではありません。
この「1日くらい」は、悪魔のささやきです。読者の皆さんも、トレーニングにしろ勉強にしろ、この気のゆるみから、なし崩し的に「やらない期間」が伸び、いつしか「やらなければ」という気持ちすら消え、挫折してしまった経験がある方が多いのではないでしょうか。
継続することの最も難しいのは、いつもの行為を始める、いわば「0」から「1」に進むときの心理的ハードルにあります。いったん重い腰を上げ、動作を始めると、その後は慣性の法則のようなものが働いて、最後までこなすことができるものです。勉強でも、仕事でも、同じですよね。
私は、トレーニングを継続するため、この人間の「弱さ」を前提として、ある方法を実行しています。それは、始める際の心理的ハードルを限りなく低くするための、何気なくできる、全くきつくない最初の動作を決めることです。
私のトレーニングでは、ストレッチがその動作にあたります。ストレッチなら楽に、むしろ気持ちよくできますので、軽い気持ちで始められます。しかも、とても簡単にできる手首のストレッチです。そこから順番どおり行っていきます。とりあえず、手首を曲げてしまう、という簡単な行為を始めることが大切です。
余談ですが、最近のトレーニング理論では、筋トレにおいてストレッチを行うと効果が薄れてしまうという説もあるそうですが、私にとっては、筋トレで最大効果を上げることより、「継続」の方の優先順位が高いので、ストレッチは私にとって重要な意味を持っています。
しかし、その手首を曲げる、ということすら面倒な日もあります。そこで、ストレッチを始めるとき、決まった音楽を流すようにしています(ベタですが「ロッキー」のサントラです)。
まず、音楽を流してしまいます。そうすると、「やらないと」という気持ちになるよう習慣付けているのです。そして、ある決まった曲が始まるまでにストレッチを終え、軽いウエイトでウォームアップを開始します。
決まった曲が始まると、「あっ、ウォームアップの時間だ」と、強制的に筋トレを開始するよう習慣付けているのです。ここまでくると、もう後へは引けません。まるで「パブロフの犬」のように、体が勝手に、最後までトレーニングをやりとげる体勢になるのです。
思い出してみると、私は司法試験の勉強も同じような方法で行っていました。勉強も、毎日分厚い本を開き、読み始める際にハードルがあります。気持ちが乗らず「ちょっとテレビをみよう」とか、「漫画を読もう」とか、ずるずると無駄な時間を過ごしてしまうものです。
そこで私は、夜寝る際に、片付けず、その日に勉強が進んだところで、本を開いたまま寝るという方法を考えました。また、ノートも途中まで取った状態で開いておき、筆記用具も机の上に置いておきます。そうすると、次の日、机に座るだけで勉強を始める体勢となり、ハードルが下がります。
また、起きる時間に勉強のテープをセットしておき、起きた瞬間から、すでに勉強を始めている、という精神状態を作るようにしました。
人間はそもそも意志が弱いもの。しかし、それと同時に、習慣化した動作は、いったんやり始めれば、最後までやり遂げられる強さも持っています。皆さんも、「今回こそは挫折したくない」という行動があるのなら、「0から1」への低いハードルを意識的に設定してみてください。
「人は繰り返し行うことの集大成である。だから優秀さとは、行為でなく、習慣なのだ」 (アリストテレス)
今回は、ここまでです。
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