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驕る自民は久しからず。歴史的大敗で安倍総理「一寸先は闇」状態

7月3日未明、自民党の下村博文都連会長は、都議選での大敗の責任をとり東京都連の会長を辞任する意向を示しました。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』の著者・嶌信彦さんは、今回の自民党の敗因は「安倍一強体制」とその驕り体質にあったと厳しく指摘。これを機に一強体制が一挙に崩れる可能性も捨てきれないとしています。

自民惨敗の都議選 ─安倍一強体制に風穴─

都議選は都民ファースト(以下、都民F)」の大勝となり、公明党などを合わせた小池支持勢力で過半数を制した。都知事選は、他の地方選と異なり各党とも国政選挙並みに全力をあげて戦った選挙選だったから、この結果は今後の国政にも大きく影響するはずだ。私はこれまでも安倍政権はすでにピークを過ぎこれからは衰弱してゆくと書いてきたが、一強体制は一挙に崩れてゆく気配も濃厚だ。

安倍首相は都議選を終えたら、まず閣僚人事などに手をつける方向で動いているが、これだけ大敗すると人事案も難しくなろう。すでに党内から安倍首相の驕りや稲田防衛相など安倍側近人事にも批判が強い。安部一強体制のもとなら、それらの批判もねじ伏せることができたが、これほどの負け方になると人事構想も大きく変えざるを得ないのではないか。国民に人気の小泉進次郎氏を抜擢するなど思い切った手を打ち、清新さを打ち出して局面を変えたい思いだろう。

しかし今回の敗因は、安倍首相の一強体制とその驕り体質にあったとみる向きも強いだけに、小手先の人事改革で国民の空気がかわるかどうかも疑問だ。むしろ安倍首相の姿勢や発言口調がもっと謙虚になることを求められているともいえよう。

反省迫られる安倍政権の驕り

また、今回の選挙を機に安倍政治の実績も一つ一つ点検されるかもしれない、安倍政治の強味は外交にあり、特にアメリカとの同盟関係の強固さにあるとみられてきた。しかしトランプ新大統領は、既存の常識にとらわれず何を言い出すかわからないところがあり、安倍政権もただ追随していれば安心というわけにはいかない流れに変わりつつある。貿易や安保問題で日本にさらに負担を求めてくる可能性は対韓国、対中国などへの対応をみても大いにあり得ることだ。

また、日本国民の安倍一強体制に対する見方も微妙に変化してくるように思える。来年秋までには本番の衆院選挙もある。安倍首相はその衆院選に勝利して憲法改正首相任期の延長などを目算しているが、果たして思惑通り進むかどうか。政界はだんだん「一寸先は闇」の状況を呈してきた。ただ安倍政権にとっての救いは、結局民進党は受け皿にならないことがまたも明らかになったことだろう。

フランスでは新党の39歳の新人・マクロン候補が大統領に当選し時代の変化を世界に示した。日本でも新党の都民Fが大勝したが、これも時代の変化を示しているのか、それとも安倍一強体制への反発なのか、今後の国政への影響がみものといえよう。

image by: 首相官邸

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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