業績アップのために自社ホームページは必須、などと言われて作ってみたものの、閲覧数がまったく伸びない…。そんなお悩みを持つ担当者の方、多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者でコンサルタントの梅本泰則さんが、すべての業種のお手本になるという「若狭塗り箸」の製造販売会社のHPを紹介するとともに、なぜその内容が優れているのかについて記しています。
参考になるホームページ
ホームページを持っているスポーツショップは全国で3割もいないでしょう。しかも、その内容が充実しているお店ともなるとその半分にも達しないような気がします。スポーツショップの典型的なホームページは次のような構成です。
- トップ画面
- お店のセールスポイント
- ショップ紹介
- スタッフ紹介
- おすすめ商品
それぞれのお店ごとに工夫はされていますが、なかなかじっくりと見ようという気になりません。それだけの魅力がある内容のページが少ないからです。これでは、せっかく作ったホームページがもったいないことになってしまいます。
やはり、ホームページはお客様にお店のことを分かっていただいたり共感していただくことが大切でしょう。そのためには、商品や売場やスタッフの写真を載せるだけでは不十分です。「お店の思い」や「こだわり」を語らなければいけません。「お店の歴史」を語ることも効果的です。また、「お役立ち情報」を載せることも必要でしょう。さらには、お店のブログを書いたり、Facebookページと連動させることが効果的なのは、言うまでもありません。
私は、スポーツショップの皆さんには、このようなホームページにしましょうと訴えています。そして先日、またそんな機会がありました。そのための参考材料を探していた時です。とても参考になるホームページに行き当たりました。いえ、それはスポーツショップではありません。
見つけたホームページ
そのホームページは、「株式会社兵左衛門(ひょうざえもん)」という会社でした。
ご存知でしょうか。「兵左衛門」は、福井県小浜市にある、箸の製造販売会社です。創業1921年といいますから、100年近くの歴史があります。年商は10億円、従業員80人の会社です。
実は、私がこの会社のことを知ったのは、「かっとばし!!」という箸の記事が載ったからです。「兵左衛門」では、プロ野球12球団で使われて折れたバットを再利用して箸にしています。ですから、スポーツ業界とは少なからず縁のある会社です。この「かっとばし!!」がどんな商品なのかと思い「兵左衛門」のサイトを訪問しました。ページを見て、正直ビックリさせられました。ものすごくセンスのいいホームページだったからです。
もっとも、「かっとばし!!」がメインの商品ではありません。伝統的な若狭塗の箸が主力商品です。ページからは、なんだかお店のこだわりが伝わってきます。静かで落ち着いたサイトです。ページをめくっていくと「お店の思い」や「こだわり」が書かれています。「お役立ち情報」も満載です。ブログのデザインや内容にも引き付けられます。そこで、それらがどんな風に紹介されているか、少しだけ抜き出してみることにします。
兵左衛門のホームページ
「お店の思い」は、このように書かれていました。
昨今、日本人の箸の使い方がとても乱れてきています。そこで兵左衛門は、毎日の食事がもっとおいしく、もっと楽しくなる方法を考えました。
知られていない箸のことをもっと広く皆さんに伝え、いつまでもつきあっていける箸を作り続けていくということ。兵左衛門を通して、皆さんと一緒にいつもそばにいる空気のようなその存在を、ずっと大切にしていきたい、と私たちは強く願っています。
豊かな自然のめぐみを一生懸命育ててくれた人や、愛情いっぱいのおいしい料理を作ってくれた人に感謝の想いを込めながら「いただきます」「ごちそうさま」が言えるように、私たち兵左衛門は、感謝の心遣いが表れる、そして皆さんが正しく持てるお箸を作っています。
「こだわり」は、こうです。
箸をひとつつくるだけでもさまざまな工程をへて完成します。
兵左衛門では、昔からの技法をそのまま受け継ぎ、ひとつひとつ丁寧に手作業で作り続けています。
身体にやさしい天然素材だけを使っています。兵左衛門では安全・安心・健康に配慮し、天然の木地に漆を摺込み塗りをほどこした、身体にやさしい箸をつくっています。
遠い昔からこの国に伝わってきた天然素材で作りあげた、安全で質の高い温もりある箸は、私たち兵左衛門自慢の逸品です。
兵左衛門では、口に入るお箸は「食べ物である」という認識のもと、混じりけのないピュアな漆を「ヴァージン漆」と商標登録し、「製造するお箸の箸先には、ヴァージン漆しか使用しない」という高い安全基準を設け、お箸づくりをしています。
「お役立ち情報」も充実しています。例えば
- 弥生時代からの箸の年表
- 箸の語源
- 箸の正しい持ち方
- 箸の正しい取り方
- 箸使いのタブー(35)
- 箸にちなんだことわざ
- 箸の素材
- 漆の特性
といったところです。毎日使っている箸ですが、知らないことばかりが書かれています。スポーツショップのホームページにもこうした内容を書くことは可能ではないでしょうか。いえ、取り扱い商品が多い分、さらに多くのお役立ち情報が載せられます。
また、「兵左衛門」にはネット販売のページもありますが、自社サイトです。楽天やヤフーではありません。これがまたおしゃれなデザインと来てますから、憎いです。本当に居心地の良いホームページだと言えます。
あなたも、こんな「兵左衛門」のページを参考にしてはいかがでしょう。そして、お客様が何度も訪れたくなるホームページにされてはいかがでしょう。
■今日のツボ■
- ホームページを魅力的な内容にしないと、お客様は見ない。
- 「兵左衛門」のホームページは参考になる。
- 「お店の思い」や「お役立ち情報」をしっかりと載せる。
image by: お箸の兵左衛門オンラインショップ