統一教会の最高機密文書「TM特別報告」は全体で約5000ページに及び、まだ約2000ページが未公開とされています。高市早苗首相は国会で「自身への言及32か所だけ読んだ」と答弁し、「韓国の文書」として矮小化する姿勢を見せました。しかしこの文書には、天皇制廃止という国家体制の変更まで視野に入れた政界工作の実態が記されています。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では、著者で衆院議員・ジャーナリストの有田芳生さんが、この文書の本質と高市政権の疑惑に鋭く迫っています。
高市政権が恐れる「TM特別報告」の未公開部分
日本政府は統一教会の最高機密文書である「TM特別報告」を過小評価し、まるで「出所不明」の「怪文書」扱いをして、政治的に葬り去りたいようだ。
高市早苗総理は、3月16日の参議院予算委員会で、蓮舫議員の質問に対して、「TM特別報告」を「韓国の文書」として、自分が登場する32か所だけ読んだと答弁した。だがこれは認識が根本的に誤っている。総選挙前にはテレビで「出所不明」と公言したが、逆に何かを隠したいのではないかと疑ってしまう。
「TM特別報告」とは、
(1)2018年から23年までの期間に、日本の統一教会会長や天宙平和連合(UPF)会長などが、韓国の韓鶴子総裁にあてて書いた報告書であり、
(2)彼らが「渉外」として安倍晋三総理など政治家にいかに接近して、協力関係を結んだかを詳しく述べたものであり、
(3)韓国の教団にとっては、政界工作の「モデルケース」として活用するものであって、
(4)日本の政治を教団の支配下に置くため、将来は自然に天皇制を廃止して、信者の国会議員や総理を誕生させるといった荒唐無稽な、しかし宗教的には究極の目標として、自民党などの政治家に接近し、工作することを、初めて明らかにしたものである。
この文書は韓国の刑事事件で証拠採用されており、いま流出しているのは、3212ページ分であり、全体ではまだ約2000ページが公開されていない。その内容が明らかになれば、日本の教団から韓国への送金規模、ラスベガスでのカジノでの出費額、韓国での政界工作の実態なども明記されているようだが、何よりも2023年以降の日本政治家への工作実態などが白日のもとに晒される可能性がある。
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高市早苗首相と教団の接点
高市早苗総理は「TM特別報告」で32回の言及があったことについて「期待」が述べられていただけだと逃げた。それはそうだ。
高市早苗議員が総裁選に出たとき、安倍晋三総理が期待していたので、教団にとっても期待するという文脈だからだ。問題は高市早苗議員が、かつて『世界日報』で5回インタビューを受けていたというところにはない。「一般紙」を謳って与野党の国会議員に接触してきたのだから、22年の安倍銃撃事件以降とは違って警戒心が薄くても当然だ。
しかし高市総理の疑惑は、教団が期待した政治家に巧妙に接触を図っていくところにある。ましてや安倍晋三後継として期待していたのだから、政治家「高市早苗」周辺にターゲットは定められた。それがダミー団体「世界平和連合奈良県連合会郡山支部」によるパーティ券購入(2012年、2019年。合計10万円)であり、挨拶状の送付(16年)である。高市早苗議員が自民党の総裁選に初めて出馬したのは2021年だから、そのずっと前から教団は接触を図っていたことがわかる。
だが2022年の自民党調査に、『世界日報』の取材は答えたとするが、パーティ券や挨拶状などの報告はなされていない。
「UCゲート事件」を問わない異常
高市自民党の総選挙圧勝の国会状況にあって、野党のなかでも、メディアでも、スキャンダルを取り上げることが問題であるかのような奇妙な空気が生まれている。だが統一教会の最高機密文書「TM特別報告」が初めて明らかにしたのは、彼らの政界工作の究極の目的が、天皇制廃止という国家体制の変更をあからさまに表明していたのだから、アメリカのウォーターゲート事件にも匹敵する「UC(統一教会)ゲート事件」なのである。
日本政治とメディアの貧困がここにも現れている。
※ 本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2026年3月20日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で