突然ですが、あなたがお店の経営者だとしたら、その「強み」は何かをスムーズに即答できる自信はありますか? 今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者でコンサルタントの梅本泰則さんが、お店の強みとなりうる10個の要素と、それを活かすことで店舗の業績アップに繋げる方法を紹介しています。
チャンスに活かすお店の強み
以前、「強み発見会議」のことをお話したことがあります。従業員の皆さんに、お店の強みを書き出してもらい、その中から5つほど選んで「お客様へのお約束」として商売に活かすという提案でした。
お店の強みを明確にすることは、とても大切です。ですから、「経営計画書」を作るときにも必ずその作業を行うことをお勧めしています。そして、先日30名ほどの小売店さんが集まった勉強会で、それぞれのお店の「経営計画書」を作っていただく時間がありました。
あなたもご存知のように、私が提案をする経営計画書は「理念」「目標」「外部分析」「内部分析」「ドメイン」「商品戦略」「価格戦略」「流通戦略」「プロモーション戦略」「計数計画」で構成されます。今回の勉強会でも、皆さんに頑張っていただいてそれぞれの項目について考えていただきました。
そして、その作業の一環で、「内部分析」の一つとして考えていただいたのが、お店の強みは何かということでした。普段から「強み」を考えておられるお店にとっては、それほど難しい課題ではありません。とはいえ、多くのお店にとっては、いきなり考えるのは簡単ではないようでした。そこで、今回は10個の項目について、お店の強みを考えていただくことにしました。
お店の強みの例
その10個とは、「立地」「店舗」「経営者」「従業員」「販売力」「接客力」「商品力」「情報力」「企画力」「技術力」です。
例えば「立地の強み」は、市の幹線道路沿いに位置し、30万人の商圏がある。「店舗の強み」は、50年の歴史があり、地元での知名度が高い。また、入りやすく、親しみのある店舗デザインである。「経営者の強み」は、勉強熱心で、経営や財務に通じ、周囲からの信頼が厚い。「従業員の強み」は、明るく熱心なスタッフが多く、チームワークも優れている。「販売力の強み」は、商品勉強会を頻繁に開催し、商品知識が豊富である。そして、競技者へのトレーニング方法のアドバイスができる。「接客力の強み」は、社員教育をしっかり行い、店長以下接客能力が高い。「商品力の強み」は、サッカースパイクの品ぞろえは、地域一番である。「情報力の強み」は、ホームページやメルマガを使っての情報発信能力が高い。「企画力の強み」は、商品POPの作成に優れ、商品のアピール力がある。「技術力の強み」 はグローブの型付け技術は、県内で一番である。といったことです。
これら、自分のお店の強みが分かれば、次はこの強みをチャンスに活かすことを考えます。
チャンスに活かす
チャンスとは、どういうことでしょう。チャンスとは、いわば「スポーツ業界の流れ」のことです。たとえば、これからのスポーツ業界の流れは、次のように考えられます。
・さらにインターネットの活用が広がる
・商品のカスタマイズ化が進行する
・インダストリー4.0によるIT化が進む
・スポーツ庁の政策によりスポーツ産業が拡大する
・大手メーカーさんの戦略で、流通構造が変わっていく
・後継者不足などにより、中小小売店の数が減っていく
・他業界からの参入が増えてくる
などといったことです。そして、これらのことをチャンスとしてとらえ、新しい商品やサービスを取り入れたり、売り方を変えたりすることで、お店の成長につながっていきます。
例えば、企画力や販売力の強いお店ならば、お店独自のオリジナル商品を作って販売につなげることが可能です。また、ネットの得意なお店ならば、自店だけでなく、他店のホームページやネットショップの構築サービスを事業展開することだって考えられます。そしてまた、情報発信力の強いお店ならば、小さなメーカーさんの商品を積極的に取り扱いお店から情報発信をしていくのも方法です。その他にも、顧客データ管理に強いお店は、そのシステムを販売することが出来るかもしれません。
このような方法を考えて実行すれば、強みをチャンスに活かして、業績向上につなげることが出来るでしょう。そのためにも、お店の強みをしっかりととらえ、どこにチャンスがあるかを考えることが必要です。
■今日のツボ■
・自店の強みを考えることが大切である。
・業界の流れをチャンスとしてとらえる。
・強みをチャンスに活かせば、業績がアップする。
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