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広瀬すずインタビュー「続編の話を聞いて周りが引くぐらい泣いてました(笑)」

末次由紀の大ヒットコミックを、広瀬すず主演で実写映画化し大ヒットした『ちはやふる -上の句-』『ちはやふる -下の句-』。その続編『ちはやふる -結び-』がいよいよ公開されます。前作に引き続き、主演を飾るのは、映画、ドラマ、CMと引く手あまたの人気女優、広瀬すず。誰もが認める、人気実力ともに若手トップクラスの若手女優を、MAG2 NEWSが取材してきました。

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末次由紀原作、ブレイクのきっかけとなったシリーズ完結編

業界内では、「これから制作される青春映画の脚本は、まず初めに彼女の前に通される」とまで噂されるほど人気の広瀬すず。先の第41回日本アカデミー賞でも最優秀助演女優賞に輝き、若手俳優の中で人気実力ともにNo.1にのぼりつめた。そんな彼女の映画作品の中で、間違いなく代表作と言われるのが『ちはやふる』シリーズだ。広瀬すずの初主演作にして、名実ともに大ブレイクを果たすきっかけにもなった思い入れの深い作品。今回は、そんな広瀬すずの愛情がたっぷり伝わるインタビューをお届けします。

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──続編の話を聞いたときの印象を教えてください。

広瀬すず:あまり覚えていないんです。前作の舞台挨拶の舞台上で聞いて、みんなが引くぐらい泣いてしまいました(笑)。またみんなといられる!という、自分の喜びがすごく大きくて。絶頂の幸せがまた続くんだという感覚でした。泣きすぎて本当に覚えていないんですけど(笑)、嬉しくて、嬉しくて、あれほど嬉し泣きしたのは、今のところ、人生最初で最後です。

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──時間が経って、みんなと再会したわけですが、印象は変っていましたか?

広瀬すず:いい意味でまったく変っていませんでした。でも、ちょっと大人になったのかも。前作のときは、寝ずに遊ぶ勢いで、みんなと常に何かをしていたかったんです。でも、この作品の現場に3年ぶりに入ったら、みんなの目標が「無理をしない」になっていました(笑)。前作では、誰かの誕生日があると、こっそり買いものに行って、プレゼントをあげたり、顔面パイみたいなどっきりをしたり(笑)。それにトランプやUNOなど、現場から帰ったら絶対みんなでホテルの誰かの部屋に集まっていました。1人用の部屋に、7、8人でぎゅうぎゅうに座って。でも、今回はそれが1回もなかったんです。みんなよっぽど無理をしていたんだなあって(笑)

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──今回は誰の誕生日もなかったんですか?

広瀬すず:私の誕生日がありました! でも、みんなスルーでした(笑)。その日は終わるのが遅かったので、これからみんな来るかな?と思いつつ、シャワーに入っていたら、誰も来ないまま誕生日を迎えていました。

人の輪に入るのが苦手。でも今回は積極的にみんなとご飯に

──本作では佐野勇斗さんや優希美青さんなど、新しいキャストも登場します。広瀬さんが率先してご飯会を開催されたそうですね。

広瀬すず:私自身、もともと人の輪に入っていくのが苦手なタイプで、人を引っ張っていくこともできないんですけど、別の現場で一人だけ年が離れていて、なかなか輪に入っていけないことがあって。ただ、そのとき主演の方がごはんを食べに行こうって誘ってくださったんです。一緒にテーブルを囲んで食事をする時間があると、いろんな話ができて距離が縮まると思いました。そういう環境を作ってくださってとても嬉しかったですし、それからすっと輪に入れるようになったんです。

その方は別の現場でも積極的にみんなでごはん会を主宰されていて、「それはどうすればできるんですか?」って聞いたら、「すずが監督やプロデューサーにやりたいと言って、意図が見えたらできる。助けてくれる人たちだから。それに主演にしかできないから」とアドバイスしてくださって、今回はよし!自分の出番だと、プロデューサーさんに「回転寿司に行きたいです」とお話して、みんなで行きました。その子の好きなものがわかったし、そんなセレクトをするんだ!って会話も生まれたし、性格や趣味など話が広がって、壁がなくなったのがとても嬉しかったです。

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プライベートでもこの作品のメンバーに相談しています

──壁がなくなって距離が近づくと、作品への影響も大きいですよね。

広瀬すず:そうですね。みんなの遠慮がなくなりました。距離感だったり、自分がやりたいことをちゃんと受け入れてくれるから、安心感や心強さがありました。これまで自分の中にあった瑞沢の姿を、新しい二人の中にも見ることができたし、自分の中にある瑞沢の存在の大きさを二人にも感じてほしいと思って。それは千早(ちはや)の感覚なんですけど、そういう感情が自分の中に生まれました。

──お話を伺っていると、広瀬さんの中でのこの作品の大きさを感じます。

広瀬すず:すごく大きいです。もちろんほかの作品も大切で大好きですけど、初主演の映画がこの「ちはやふる」で自分のスタートという意味で思い入れが強いです。それが3部作にもなって、新たに参加してくださる新キャストの方々がいて、すごいことになっているなと。プライベートでも、一番相談していているのは、この作品のメンバーなんです。なかなかそういう作品には出会えないのかなって。少女漫画の実写化が多い中、3部作となって、こんなに続いた映画は『ちはやふる』だけなのかなと、自分の中で誇りになっています。

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──お芝居で返せたものはあると思いますか?

広瀬すず:作品の中心にいさせてもらっているので、千早が面白くなかったら、映画が面白くならないと思います。なので、映画を観てくださった観客のみなさんが、面白かったと言ってもらえることで監督やスタッフさんに少しでも返せたらいいなと思ってますが、わかりません(笑)。まだ力不足だと感じることもあって、大丈夫かなって思います。だから、この映画の宣伝を頑張ろう!と思っています(笑)

高校生を卒業して成長したこと

──本作の撮影に入る前、もう現役の高校生じゃないから戻れるかなとおっしゃっていましたが、そこは大丈夫でしたか?

広瀬すず:わかりません(笑)。どうなんでしょうか。ぎりぎりまだ大丈夫だと思うんですけど、現役の頃にやっていた感覚が残っているので、そこからの変化は自分でも映像を見て感じましたし、まったく同じではなかったです。でも、それはきっと良い変わり方だなと自分でも思いました。わりと環境や役によって思い切り顔が変わるタイプなんです。そこが良い意味で自分でもわかって、そう思えたので個人的には安心しています

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──何年かの間にほかの作品を経験して、年齢的にも成長しているし、自信も出てきて顔に出てきているのでしょうか。

広瀬すず:そうだと思います。役のトーンによって、私生活から何からいろいろ変わるんです。前の作品のときは、毎日楽しい!楽しい!だったんですけど、それこそ今の連ドラ「anone」だとみんなと会っても役のトーンを引きずってしまって。でも、以前よりは、自分は大丈夫っていう安心感が増えた気がします。

自分でも笑っちゃうぐらい泣いてばかりでした

──ドラマチックなシーンがたくさんありましたが、撮影していて一番心が揺れたシーンは?

広瀬すず:太一(野村周平)の幻が見えるシーンと、試合で机くんがみんなに頭を下げているシーンです。机くん(森永悠希)のシーンは朝撮るから、前日の夜段取りだけしようという日があったんですけど、涙が止まらなくなってしまいました。撮影すべて含めて、一番泣いてしまって、瑞沢かるた部が今のレベルになったのは机くんが一番努力しているからなのに、頭を下げるなんて馬鹿野郎!!って涙が止まらなくなってしまって(苦笑)。着替えながら、メイク落としながら、号泣していて。森永くんが「なんですずが泣くんだよ」って言って、二人で号泣していました。自分でも笑っちゃうぐらい泣いてしまって。太一の幻が見えたシーンでも、過去のことが蘇ってきて泣けました。その過去のシーンで泣いたのと同じぐらいの涙が出てきましたね。長回しで1分、2分ずっと泣くシーンだったんですけど、終わったら、顔がマスカラだらけになっていました。終わったら、結構泣いたなと思って(笑)

──競技かるたのシーンについて教えてください。久しぶりだったと思いますが、いかがでしたか?

広瀬すず:2年前にやっていたので、みんなレベルアップしてましたね。ただ私も実際に元クイーンの方と練習で戦って、1枚取れたんです。その瞬間、スタジオ中で拍手が起こって、しのぶちゃんから取る感覚はこれなんだ!ってわかって嬉しかったです。

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──ほかの高校はジャージが多いですが、瑞沢は袴でたすきをかけるシーンがかっこよかったです。

広瀬すず:たすきを借りて、家で練習するようにって言われてずっと練習しましたが、たすきをかけるシーンはものすごく必死でした(笑)。私の振り袖が長くて、うまくハマらなくて。短いとパンッとできるんですけど、長いと難しいんです。どうしうようと思っていたら、OK!と言われて、え?と思ったら太一を撮っていて、私じゃなかったという(笑)。

──広瀬さんのお話から作品への愛情がビシビシ伝わってきました。完成作を客観的に観られていないかもしれませんが、感想を教えてください。

広瀬すず:初号の試写を周平くんの隣で観たんですけど、周平くんがずっと喋っていたので、もう1度観たいんです。本当にうるさくて(笑)。でも、言うことが面白いので、私も笑ってしまって。今回、太一のシーンが多くて、照れがあるのか、想像以上にうるさくて。もうちょっと細かくもう一度観たいと思っています。でも、この作品はやっぱりいいなって思いました。取材をしてくださる方もみなさん愛情たっぷりで、私も嬉しくなることが多くて。愛しかないから、嬉しいなと思って。誰かのために、原作ファンの方のために、観てくれる人のために、というよりは、自分のためにやっている作品なので、そういう作品がたまにあってもいいなと思って。

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千早とともに成長した3年間を振り返って

──この時間はもう戻ってこないんだなっていう切なさも感じました。

広瀬すず:ああ、それ今、言っちゃいましたね(笑)。そうなんです。奏ちゃん(上白石萌音)との出会いは屋上だったのですが、同じ屋上で奏ちゃんが千早に「宝物です」と伝えるシーンがすごく好きで。助監督さんにも「広瀬すずと上白石萌音史上、歴史に残る名シーンだよ」って言われたのですが、この3年間はもう戻ってこないんだって一番実感した場面でした。実は撮影の折返しの段階だったんですけど、オールアップした気分になって萌音ちゃんと「お疲れさまでした」って言っていたぐらい(笑)。この3年間の大きさや『ちはやふる』への思い、みんなへの思い、今自分が立たせてもらっている環境だったり、いろんなものを思い出していたら、「宝物です」と言ってくれて、なんていい映画なんだろうって。切なさもあるけど、幸せだなって思って。この3年間は本当に大切な時間です。

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──千早と一心同体になっていたと思いますが、今、改めて、広瀬さんにとって千早はどんな存在ですか?

広瀬すず:ずっと愛おしい存在ですね。ムカつくぐらいかわいいなって思うし、こんな女の子になりたいなって思います。ある種、憧れるし、こんなひたむきに自分の思いをまっすぐ持って、全力を注いでかっこいいなって思います。だけど、ちょっとずれているのが、また愛くるしいなって。『上の句』『下の句』も通して、自分の思いでばーっと動いて、太一にボロクソ言われて(笑)、悪くいうと自己中なところもあると思うんですけど、2年経って千早も大きくなって、こんな感じで自分も成長できていたらいいなって、自分と重ね合わせる距離感でいました。すごい素敵な女の子だなって今、改めて思います。

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インタビュー・文/杉嶋未来
撮影/Filter J

 

広瀬すず(HIROSE SUZU)

1998年6月19日、静岡県生まれ。2012年雑誌「Seventeen」のオーディションでミスセブンティーンに選ばれ、専属モデルとしてデビュー。13年ドラマ「幽かな彼女」で女優デビュー後、同年公開の映画『謝罪の王様』で映画初出演。15年放送のドラマ「学校のカイダン」では初主演を務めた。『海街diary』(15)での演技が高く評価され、数々の映画賞で新人賞を受賞。ほか主な出演作に、『バケモノの子』(15)、『四月は君の嘘』『怒り』(16)、『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』、『三度目の殺人』、『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(17)などがある。ドラマ「anone」(日本テレビ系)に出演中。2018年は『ラプラスの魔女』、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が公開待機。

 

information

『ちはやふる -結び-』

3月17日(土)より全国公開

監督・脚本: 小泉徳宏
出演:広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、優希美青、佐野勇斗、清原果耶、松岡茉優、賀来賢人、松田美由紀、國村隼ほか
原作: 末次由紀(講談社「BE・LOVE」連載)
配給:東宝
(C) 2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社
ヘアメイク:牧田健史
スタイリスト:三浦真紀子

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