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「100億あげちゃう」PayPayがモバイル決済市場で苦戦するワケ

ソフトバンクとヤフーが共同出資しているモバイル決済サービス「PayPay」が、支払額の20%あるいは全額を還元するという「100億円あげちゃうキャンペーン」を、12月4日から実施することを発表。その大盤振る舞いぶりが話題になっています。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんも、間近に迫ったキャンペーンの開始が待ちきれないというご様子ですが、そのいっぽうで“QRコード一本で決済サービスを提供するつもり”だという「PayPay」の方針については、一抹の不安を覚えると、自らのメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で述べています。

PayPayが100億円キャンペーンでQR決済市場に殴り込み━━「非接触決済はやらない」に勝ち目はあるか

PayPay100億をあげちゃうというキャンペーンを12月4日より展開する。PayPayで支払うことで、支払額の20%が戻ってくるという。また、40回に1回の確率で、10万円まで、支払額が全額戻ってくるキャンペーンも実施する。この確率はYahoo!プレミアム会員なら20回に1回、ソフトバンクスマートログインを設定済み、またはワイモバイルサービスの初期登録済みのYahoo!JAPAN ID設定で10回に1回、全額戻るというから驚きだ。

PayPayに対応した店舗のなかには、ビックカメラなどの家電量販店も存在する。個人的には12月4日になるまで大きな買い物は控え、キャンペーンに備えようと思う(12月3日から10日まで海外出張なのが悔やまれる)。

LINE Payの決済手数料無料と発表した時も驚いたが、今回も正直言って、たまげてしまった。PayPayはサービス開始したものの、会見なども行わず、ひっそりとスタートしたので「本当にやる気あるのか」と思ったものが、逆にやる気がありすぎて驚いた。ただ、ソフトバンクとヤフーの共同出資の会社であれば、アメリカ・ブラックフライデーや中国・独身の日に比べて、全く盛り上がっていない11月11日の「いい買い物の日」をターゲットにして始めてもよかったのではないか。

実際のところ、支払額の20%として100億円が還元されるということは、ざっくりいって500億円がPayPayで支払われるということになる。キャンペーンは2019年3月末までであり、それまでに500億円が流通し、キャンペーンが終わってしまうのか、それとも追加でキャンペーン額を増額するかも注目と言えそうだ。

100億円あげちゃうといっても、その100億円はPayPayでしか使えないものと思われる。サービスを認知させ、一気に普及させるには良くできたキャンペーンといえそうだ。

ただ、質疑応答で気になったが、PayPayとしてはQRコード一本で、決済サービスを提供するつもりだという点だ。中山一郎社長は「バーコード決済と非接触決済は並存すると思う」として、今のところ非接触決済には対応するつもりはないとした。

LINE Payは「スマホ決済の本命はFelica」として、QUICPayでの支払いに対応している。

普段からApple PayやGoogle Payを使っている立場とすれば、やはりQRコード払いは手順が面倒臭いと思う。確かに、店舗側にとってみれば手数料がかからず、導入できるメリットは理解できるが、ユーザー側のメリットがほとんどないというのが欠点でもある。

支払額の20%が返ってくるとあれば喜んで使うが、そんな大盤振る舞いのキャンペーンが永年、続くものでもない。キャンペーンが終われば、非接触決済に戻ってしまうことは十分に考えられる。特にコンビニでは支払い方法が複数から選べるだけに、QRコード払いはかなり不利な立場になりそうな気がしてならない。

キャンペーン終了後にPayPayがどんな次の一手を仕掛けてくるかが気になるところだ。

image by: PayPay公式サイト

石川 温この著者の記事一覧

日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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