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寂れ果てていた温泉街を露天風呂によって復活させた「鏡の法則」

「自分がして欲しいことを先に行なえば、徐々に相手も応えてくれるはず」と頭でわかっていても、なかなか思い切って行動に移せないものです。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを! 』では著者で長く人材育成に関わってきた石丸智信さんが、「鏡の法則」を生かし廃れた温泉街を個性的露天風呂街に復活させた事例を紹介しています。

温泉街全体が活性化した、ある旅館の経営者がとった行動とは

以前、「理想の会社の創り方」というテーマの講座を聴講する機会がありました。その講座の中で、講師から「鏡の法則」について、事例を交えながらの講義がありました。講義の中で、鏡の法則とは、自分がやってほしいことを相手にまずやること、ということでした。本号では、講義の中で挙げられていた鏡の法則の事例を交えながら考察していきたいと思います。

鏡の法則の事例として挙げられていたのは、ある温泉街での事例でした。ここからは、この事例について紹介していきます。

以前、この温泉街は、寂れていて、それぞれの旅館やホテルが、お互いに競争している状態だったそうです。この衰退している温泉街を何とかしたいと、1軒の旅館の経営者が立ち上がりました。

この経営者は、「この温泉街を露天風呂の温泉街にしたい」と考えて、まず、自分の旅館に洞窟のような露天風呂を造りました。そして、周りの旅館・ホテルにも、「露天風呂を造り、お互いに協力しましょう」と呼びかけるものの、その当初は、協力を得ることはできませんでした。しかし、そのうちに、1軒、2軒と協力してくれる旅館・ホテルが現れて、24軒の旅館・ホテルがある中で、22軒の旅館・ホテルがそれぞれに特徴を持った露天風呂を造っていきました。

あと2軒の旅館・ホテルとは、なかなか協力を得ることができずにいました。そこで、22軒の旅館・ホテルの人たちは、「この2軒の旅館・ホテルから協力してもらうにはどうしたらいいだろうか」と話し合い考えて、「仲間なのだから2軒の旅館・ホテルの応援をしよう」ということになりました。そこで、2軒の旅館・ホテルの宿泊者でも、22軒の旅館・ホテルの露天風呂にも入浴できるようにお風呂を開放しました。

こういった協力・応援してくれる姿を見て、2軒の旅館・ホテルも露天風呂を造ることになり、この温泉街の全旅館、全ホテルが露天風呂を持つことになりました。

この温泉街では、協力応援という風土ができ、すべての旅館・ホテルの露天風呂を利用できるように、宿泊者に入湯手形を発行しています。また、この温泉街では、外の通路のことを廊下と呼んでいます。

それぞれの旅館・ホテルに携わっている人たちが、この温泉街を訪れる人はみんなのお客様だ」という見方をしています。だから、他の旅館に宿泊する人たちであっても、その旅館まで案内するようになっているそうです。このような活動もあって、この温泉街は、雑誌の人気ランキングで1位になったこともあるそうです。

この温泉街の事例からも「自分がやってほしいことを相手にまずやるという鏡の法則が活きていることを感じることができます。

まず、最初に立ち上がった旅館の経営者は、「この温泉街を活性化したい」「露天風呂の温泉街にしたい」というイメージがあったのではないかと思います。そのイメージを実現していくために、率先して自分の旅館で露天風呂を造りました。その行動が、周りの旅館・ホテルにも浸透していって、大部分の旅館・ホテルが露天風呂を造り、協力していきました。

最後まで協力を得ることができていなかった旅館・ホテルに対しても、まず相手を応援しようということで、露天風呂を開放していきました。その行動が相手に影響を与え、最終的には、たった一人の旅館の経営者のイメージを実現することができました。

まさに、自分自身が見本となって示していくことの重要性を感じました。

私自身もそうですが、相手が協力してくれないなど、「相手に対して自分がこうやってほしい」と思うことと違ったりすると、「相手がやってくれないことに視点を置いて考えてしまいがちです。

しかし、これから自立・自律型人財へと成長していく上では、この事例の旅館の経営者が実践したように、自分がやって欲しいと思うことは、まず、自分が率先垂範して示していく姿勢が大切になってくるのではないでしょうか。

image by: 黒川温泉観光旅館協同組合 - Home | Facebook

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【著者】 いしまるとものぶ 【発行周期】 週刊

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