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科学者が解説「天然=なんでも体に良い」が大ウソな客観的証拠

油成分の流動パラフィン・石油系界面活性剤・防腐剤のパラベン、こうした化学成分はこれまで「自然派」から散々非難の的とされてきました。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、「天然由来の化粧品は無条件に素晴らしい」というまやかしを科学的に検証し、あくまで自身の体との相性で決めるべきだと強調しています。

安全性の低い天然成分と安全性の高い合成成分

未だに「天然成分だから体に良い」「合成品を使っていません」「無添加!何が無添加なのか不明なんてうたい文句は化粧品をはじめ、謎に寿司までいろいろなところでこうした言葉が使われています。

さも合成品が悪といわんばかりですが、天然由来の成分のほうが安心できるという心情もわかります。天然の植物ホホバ科(シモンジア科)の実からとったホホバオイルと石油から精製して得られた流動パラフィンでは同じ無色透明な油で触った感じも同じです。

しかしどちらが入っている化粧品がいいか?と言われたらなんとなくホホバオイルを選んでしまうのは、文系だろうが理系だろうが分子構造までイチイチ考えてなければ天然素材をとってしまいそうな気はしますねw

実際、ホホバオイルのほうが角質への浸透は多少高いらしいですが、そもそも角質が油脂不足になっている状況、乳液をつけないといけない状況というのは肌のバランスが崩れているので、皮膚科にいって適切な薬をもらって改善した方がよいというのは以前から何度も話をしているところです。

分子構造的にみれば、完全に精製された流動パラフィンはグレードによってはベビーオイルとして赤ちゃんの肌に使っても安心なぐらい精製されています。また保湿剤として使われるカルボマーやワセリンも同じ石油由来です。

では天然物は、例えばホホバオイルもオリーブオイルも二重結合を多く持つので、日光などでそこから分子構造が変わったりちぎれて変な脂肪酸が出来上がったりと、必ずしも安定した素材ではないと言え、肌にめっちゃ合う人もいるし、めっちゃ合わない人もいます。

また複雑な成分になると、天然由来の抽出工程で余分な成分を含有してしまったり、アレルゲンを排除しきれないことなどもあり、天然=なんでも体に良いというのはやはり信じるべき言葉ではありません

結局は、精製度や使い方の問題で、天然か合成かはどうでもよくて、商品自体を実際に使ってみて、その変化をよく自分で観察して「自分にはあっているか?ということを自分で考えることです。

「あの人が言ってるから良い」「あの会社なので良い」というのはあくまで参考にする程度で、短絡して考える事をやめてしまうと、思わぬ穴に落ちることになるわけです。

例えば初めて使う化粧品やシャンプーなどは、3日~2週間くらいで影響は見えてきます。故に、初めて使う商品には使い始めた日をマジックで書いておくだけでいいのです。そうすれば、もし謎の肌荒れが起こったらそれの原因を究明するのが見える」ので、絞りやすくなっていきます。

人の体質、肌質は人によって全然異なります。それ故、日用品選びというのは自分との対話がめっちゃ大事なのです。

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image by: Shutterstock.com

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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