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アホウドリよりアホウな生物は何か?絶滅と再生が問いかける我々人類の責任

地球では今この瞬間も、新しい生命が発見される一方で、多くの生命が姿を消しています。その背景には自然環境の変化だけでなく、人間の活動が深く関わっているケースも少なくありません。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、絶滅宣言から奇跡的な回復を遂げたアホウドリの歩みから、人類の過去と未来の向き合い方について考えています。

アホウドリよりアホウな人類

地球上には確認されているだけで約180万種を超える生物がいますが、これは氷山の一角であって、まだ人類に発見されていない新種の生物が800万~1000万種はいると推定されています。そのため、今も世界では数多くの新種の生物が発見され続けています。2カ月前の5月13日に配信した第358号のメルマガでは、トカラ列島に生息する野鳥のムシクイが新種だったと確認されて「トカラムシクイ」と名づけられた、という記事を掲載しましたが、こんなに小さな日本でも、毎年のように複数の新種の生物が発見され続けているのです。

そうは言っても、さすがにゾウやキリンやライオンのような大型動物の新種が、これまで人類に発見されずに生きて来たことなど考えられません。今も世界で発見され続けている新種の大半は、微生物から昆虫までの小さな生物です。しかし、今回の日本の「トカラムシクイ」のように、それまでは他のエリアのムシクイと同種だと思われていた既存種が、DNA検査の結果、独立した別種だと判明したような例も多々あるのです。その結果、今も世界では、微生物や昆虫だけでなく、野鳥や魚類、爬虫類や両生類などの新種も発見され続けているのです。

そしてその数は、ナナナナナント!年間に約1万5000種~2万種なのです!毎年、こんなにたくさんの新種の生物が発見され、DNA検査によって新種だと確認され、正式に登録され続けているのです。ああ、なんと素晴らしいことでしょうか!ブラボー地球!ブラボー太陽系第3惑星!‥‥なんて喜んだのも束の間、ここからはいつものように「それなのに、嗚呼それなのに、それなのに」と五七五調で嘆きますが、世界では毎年、約4万種の生物が絶滅し続けてもいるのです。

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あたしたちが暮らしているこの地球では、毎年、2万種もの新種の生物が発見され続けている一方で、既存の生物は毎年、その倍の4万種も絶滅し続けているのです。そして、この生物絶滅の原因は、人類による森林の伐採や海の埋め立てなどによる生息地の減少、人類による環境汚染、人類による密猟、人類が持ち込んだ外来生物の影響など、そのほとんどが人類由来なのです。

そのため、まだ地球上に人類が誕生していなかった約2億年前には、絶滅する生物は「1000年間に1種」だったのです。そして、約20万~30万年前に現生人類のホモ・サピエンスが誕生してからも、人類は長いこと他の動植物と同じく「共存共栄」をしていたため、絶滅する生物は年間に1種程度でした。しかし、人類が生物界の覇者となり、1700年代にイギリスで産業革命が起こった頃から、人類に由来する生物絶滅が地球のあちこちで発生するようになりました。

この日本でも、ニホンオオカミ、エゾオオカミ、ニホンアシカ、ニホンカワウソ、オキナワオオコウモリ、リュウキュウカラスバトなど、多くの日本固有の動物が絶滅してしまいました。日本の国鳥であるトキも、日本の固有種は絶滅してしまい、現在は中国から譲り受けた中国産のトキを繁殖させているのです。

‥‥そんなわけで、世界を見渡すと、1700年代の「蒸気機関」から1800年代の「内燃機関」、つまり「ガソリンエンジン」が誕生してから生物絶滅に拍車が掛かり、1900年代へと急加速して行きました。そして、1800年代には年間に数種だった絶滅種が、今から50年前の1975年には「年間1000種」にまで膨れ上がったのです。しかし、それでも金儲けのための環境破壊と愚かな戦争を繰り返す人類によって、50年後の現在は「年間4万種」にまで拡大してしまったのです。

で、日本の絶滅危惧種の歴史を振り返ってみると、東京の約600キロ南に位置する鳥島(とりしま)を繁殖地としていたアホウドリも、とっくに絶滅したと見られていました。日本人は江戸時代後期から、上質な羽毛を目当てに繁殖期に鳥島に飛来するアホウドリを乱獲していましたが、アホウドリはその名の通りに人間が近づいても逃げないため、600万羽もいたアホウドリは、わずか20年ほどで狩り尽くされてしまったのです。

いや、正確には「狩り尽くしてしまったと思われていた」のです。1949年、鳥島を訪れたアメリカの鳥類学者が、洋上からの双眼鏡による観察調査の結果、「アホウドリの絶滅」を宣言したからです。しかし、その2年後の1951年、鳥島の測候所のスタッフが生き残っていたアホウドリを再発見したのです。その数、わずかに15羽でした。一度は絶滅が宣言された貴重な鳥ですから、国はすぐに保護活動を開始しました。

1958年にはアホウドリを国の「天然記念物」に指定し、1962年には「特別天然記念物」に格上げし、「トカラムシクイ」の時もお世話になった日本の鳥類の味方、公益財団法人「山階(やましな)鳥類研究所」などとともに保護活動を続けて来たのです。そしてこのたび、その「山階鳥類研究所」から、6月8日付で素晴らしい公式リリースがあったのです。それは、1951年に再発見された時には「わずか15羽」だった鳥島のアホウドリが、ナナナナナント!「1万羽以上に回復!」というものでした!

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鳥島のアホウドリ繁殖地のモニタリングを担当している「山階鳥類研究所」の富田直樹研究員によると、鳥島には初寝崎、子持山、燕崎という3カ所の繁殖地があるそうです。繁殖期を迎えたアホウドリは、上空から自分の繁殖地を見て、仲間がいると安心して降りて来るので、まだ数が少ないうちは、本物そっくり作ったアホウドリの模型「デコイ」を目立つ場所に置いたりしたそうです。また、繁殖地の環境を守るための保全活動も続けて来たそうです。

こうした努力が少しずつ実り始めて、鳥島のアホウドリの推定個体数は、1992年には500羽、2000年には1300羽と増えて来ました。そして、2025年から2026年に掛けての現在の繁殖期は、ヒナの数が前年度の2割増しの1591羽、オスとメスのカップルは2114ペアで4228羽、繁殖前の6歳以下の若鳥が5248羽、計1万1067羽のアホウドリが鳥島にいると推定されたのです。

わずか15羽の生き残りが、75年間の保護活動によって1万羽以上に回復したのですから、これほど素晴らしいことはありません。しかし、もともとは600万羽もいたわけですし、その大半をたった20年で狩り尽くしたのも人間なのです。そして、その4倍近い75年を掛けても、もともとの600万羽にはほど遠い1万羽までしか回復できなかったのです。

環境省の最新の「レッドリスト2026」でも「絶滅危惧II類」に分類されているアホウドリをレッドリストから外すには、この鳥島だけでなく、小笠原諸島や尖閣諸島など他の島のアホウドリの個体数も増やさなくてはならないと、富田研究員は言及しました。そして、自分勝手な人間に少し皮肉を込めて、次のように指摘しました。

富田直樹研究員「乱獲で個体数が激減し、一度は絶滅宣言まで出たという、人間の『アホウ』な歴史を名に持っているとも言えるのがアホウドリです。激減の原因を作った人間の手による個体数回復の試みの成果も、こうして出つつありますが、今回の1万羽はまだまだ通過点に過ぎません。これからも保護活動を続けていく必要があるのです」

■山階鳥類研究所のプレスリリース
https://www.yamashina.or.jp/hp/p_release/images/20260608_prelease.pdf

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image by: Shutterstock.com

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